令和2年1月1日付け“日本農業新聞”に、東京大学院教授 鈴木宣弘氏の記事が、以下のとおり載っていた。
『 日本の食料自給率は、種や肥料の自給率の低さも苦慮すると、38%どころか10%あるかないかで、貿易が停止したら、世界で最も餓死者が集中する国が日本だと米国の大学でも試算している。
今こそ、国内農業生産を増強しないといけないのに、逆に、国内農業は生産コスト倍増でも農産物の価格は上がらず、米も牛乳も減産が要請され、この3月までに廃業が激増しかねない危機にひんしている。
国の政治が、「今だけ、だけ、自分だけ」の日米のオトモダチ企業に取り込まれ、農業や国家を収奪しかねない構造を打破するには、農協、生協、労組などの協同組合、共同体的な力が奮起する必要がある。
「防衛費5年で43兆円」プラス「敵基地攻撃能力強化」の一方で、「農業消滅」を進めてしまったら、「兵糧攻め」で日本人の餓死は本当に現実味を帯びる。
農業の壊滅は、関連産業や農協の終焉も意味する。われわれは「運命共同体」である。今日から消費者も、安くてもリスクのある輸入食品から国産に切り替えよう。地域のいい種を守り、生産から消費まで循環的に農と職を支えるネットワークづくりを、学校給食における地場産の公共調達を核に進めよう。
お金を出せば食料を輸入できる時代は終わった。不測の事態に国民の命を守るのが「国防」なら、農業を守ることこそが安全保障。食料にこそ数兆円の予算を早急に付けられるよう、「地域のタネからつくる循環型食糧自給(ローカルフード)法」や「食料安全保障推進法」の成立を期待したい。』
この記事を読んで、日本の食糧基地と言われる十勝の農業や畜産業を考えた。十勝でも、ウクライナ戦争によって肥料や飼料の値上がりにより離農が増えてきており、その影響の大きさが分かる。
これからは、地域社会の持続的発展を第一とする道を追い求めていこう。その意味で十勝は、「農業」という宝を持っているので、その宝をどのように活かしていけば良いか、行政機関を巻き込んで考えていこう。
農業用語辞典によれば、”食料安全保障“とは、「予想できない国内外の様々な要因によって食料の供給が影響を受けるような場合のために、食料供給を確保するための対策や、その機動的発動のあり方を検討し必要な準備しておくこと」と書かれている。
いまウクライナ戦争が行われ、日本の農業は肥料や飼料、燃料などの生産資材が高騰し、その基盤が根底から揺らいでいる。“国富在農”といったのは、日露戦争で活躍した乃木希典将軍であったが、この言葉の重要性をもう一度考えてみよう。
「十勝の活性化を考える会」会員
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