十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

学問と政治

2022-06-09 05:00:00 | 投稿

 

先日、岩波新書“学問と自由“の本を読んだ。この本には、2020年10月に起こった日本学術会議会員の任命拒否のことなどが書かれていた。この事実は、現代日本に生きる私たちにとって重大な事件であった。

当時の菅義偉政権は、何を恐れてこの暴挙に及んだのか。学問の自由と独立を侵し法に違背してまで、なぜ6名の任命拒否をしたのか、学問の自由はどこまで守られるべきなのか、政治の介入は許されるのか。

事態の発覚から2年余りが過ぎた今、この問題に関するメディアなどでの議論は少なくなりつつあり、すでに終わったと思う人もいるかもしれない。ただ、事の本質は決して一過性のものでもなく、日本学術会議という組織だけに関わる問題でもなく、日本の問題である。

ポスト真実」の時代において、学問が果たすべき役割だけでなく、権力と法の関係、政治と専門家の関係といった民主主義の根幹をなす価値観について、私たちは再考すべき時を迎えているといえるのではないだろうか。

真実とは、や偽りでない本当のことである。一般的には、社会で合意して共有できる公的で社会性を有する事柄を真実という。なのに、今の政治を見ていると、有る物を無いといったり、無いものをあるといったり、真実がゆがめられている。

古くは「パナマ文書」、最近では「森友・家計問題」、「桜を見る会」など、真実が明らかにされないままでうやむやにされてしまっている。

昔、国会で“記憶にございません”という言葉が流行った。時間の経過で記憶が薄れるのはやむを得ないが、日本人の特徴である「事なかれ主義」や「無関心」がまん延しているのが心配で、明日の日本を築く子供たちが真似をしなければと思っている。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻も、メディアで取り上げることが終わると忘れ去られるかもしれない。ただ、人間は辛いことや悲しいことを「忘却」できる能力があるからこそ、生きていけるのかも知れない。

しかし、ウクライナ戦争はまだまだ続く予想で、この戦争やコロナ禍に伴うインフレで食品の800品目以上の値上げが予想されるほか、貧富の拡大や富の偏在などが国民の身に振りかぶってくることから、忘れ去られることは無いだろう。

「十勝の活性化を考える会」会員


うばすて山

2022-06-08 05:00:00 | 投稿

 

うばすて山とは、年老いて働けなくなった者を役に立たないから山に捨てる山のことである。民話では、ある息子は泣く泣く年老いた親を山に捨てようとするが、結局、捨てることができず密かに家の床下にかくまって世話をする。

そして、殿さまが隣の国からいくつかの難題を持ちかけられ、解けなければこの国を攻め滅ぼすと脅されるが、その息子はそれらの難題を、年老いた親の知恵によって見事に解いてみせる。

老人のすばらしい知恵のおかげで国を救われたことを知った殿さまは、老人を役に立たないものと見なす間違った考えを改め、その息子と老人にたくさんの褒美を与えると共に、老人を大切にするようになったという民話である。

先日、これに関連している認知症のビデオを見たが、本人とその家族の実態を見て、明日は我が身のことであり大変勉強になった。

このビデオでは、役に立たなくなった70歳の本人とその子供、孫が出ていた。少子高齢化で老々介護は当たり前の現実があり、自ら介護施設に入所するか、自宅で誰が介護するかは、大きな社会問題になるだろう。老人になれば誰でも“忘れる”ことを自覚すべきで、私も71歳であるからすでに忘れやすい前期高齢者の老人になっている。

さて、現代のうばすて山とは、如何なるものであろうか? 私には道内に3人の子供と4人の孫があり、認知症であるから施設に入るかもしれないが、今のところ世話にならずに済んでいる。

10年前、脳出血を罹患し体が不自由で、週1回の機能回復型デイサービスを利用しており、少しずつではあるが体力もついてきている。この経験を活かして、「当事者が語る認知症」の講演を行なったが、出席者に参考となったかどうかは分からない。人間は生きている限り、他人の役に立つことが大切だと思っている。

「十勝の活性化を考える会」会員


森林の伐採

2022-06-07 05:00:00 | 投稿

先日、帯広市と幕別町の境を流れる“札内川”の愛国大橋付近の川原に、犬の散歩のために行ってきた。それで驚いたのだが、橋の付近にあった森林が約500メートルにわたって伐採されていたのである。

森林や木の伐採は、これだけではない。自宅の近くにある鬱蒼と茂った200メートルの公園の木々も、一部を残して伐採されていたのである。倒木被害や防犯予防のために伐採されたと思うが、地球温暖化の観点から少しガッカリである。

森林などは、世界の温室効果ガス総排出量の30%近くを吸収しており、森林破壊や山火事の防止を通じて、二酸化炭素の吸収量を増やすことは有効な地球温暖化対策となる。

人間にやさしい地球を作るための持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年の国連総会で採択されたもので、20300年までに全世界で達成を目指す国際的な目標のことである。その目標の13番目に、「気候変動に具体的な対策を」とある。森林の伐採が、持続可能な開発目標にはいるとは全く思われない。

2020年、菅義偉首相は所信表明演説で、日本は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言した。このような脱炭素社会の形成は、森林の伐採を見る限りでは不可能だろう。

それでは、日本はどうすべきであろうか。温室効果ガスの排出をゼロにすれば良いのだろうが、経済がダウンするので国民が満足しない可能性がある。すべてが良ければ良いが、そうとはならないので取捨選択とならざるを得ない。

川原や公園は国有地なので、森林の伐採は国の予算で行なわれる。そして、その公共投資で潤う企業や従業員もいるのは事実である。だから、自分にとって何が大切なのかを取捨選択することが必要である。これで思い出すのが、ケネディー大統領の演説である。

彼は、「あなたの国があなたのため に何ができるかを問うのではなく、あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」と述べたのである。

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チャシ

2022-06-06 05:00:00 | 投稿

チャシは、アイヌが築いた城であって高い場所に築かれ、などで周囲と切り離された施設である。チャシはアイヌ文化の中でも重要な位置を占めていると考えられているが、アイヌによる文献史料が存在しないため、詳しいことがほとんで分かっていない。

チャシの総数は不明であるが、北海道のチャシ跡は約500カ所が確認されており、チャシの分布は道南道東に多く、特に根室釧路十勝日高地方に集中している。これは、江戸時代前期のアイヌ部族の首長であったシャクシャインらが和人と戦う中で、多くのチャシが築かれたのではないかと推測されている。

ところで、日本の城というと「武士の城」をイメージする人が多いだろう。しかし、南北に長い日本列島の城を「武士の城」だけを思い浮かべてはいけない。北東北から北海道、そして北方領土には、アイヌの人々が築いたもう一つの城「チャシ」があり、沖縄には琉球の人々が築いた「グスク」がある。

グスクとは、奄美群島から八重山諸島地域にかけて多数存在する遺跡本土戦国時代の武士の城とは異なり戦いに備えた建築物とは限らず、館や拝所であったと考えられるものもあり、地域や時期により形態や呼び方に違いがある。

琉球王国のグスク及び関連遺産群は、沖縄本島南部を中心に点在するグスクなどの琉球王国の史跡群から構成される世界文化遺産である。2000年に、日本で11件目の世界遺産として登録されている。2000年に、日本で11件目の世界遺産として登録されている。

これら三つの城は、少なくとも16世紀から18世紀にかけて併存したという。これほど多様な城がひとつの国に同時にあったのは珍しいそうである。

日本の城は武士の城、チャシ、グスクからできた複合的なものであった。武士の城を代表する姫路城と沖縄のグスクがそれぞれ世界遺産に登録されているのに対して、アイヌの人々のチャシだけが、世界遺産になっていないのは問題ではないかと思う。

ウポポイ(民族共生象徴空間)には、チャシをイメージした迷路があったが、アイヌの歴史や文化を知らしめるために、もっと来店客に説明すべきだろう。

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ガーデニング

2022-06-05 05:00:00 | 投稿

 私の趣味は、ガーデニングである。40歳の時から始めたので、かれこれ30年になる。宿根草を主体に100種類余りを植えているが、いつの間にか無くなるものがある。その中で珍しいものはといえば、何といっても“ヤチボウズ”である。

(参考:庭のヤチボウズの写真)

半世紀前、帯広市緑ヶ丘公園など何処にでもあったが、地球温暖化による土壌の乾燥化でほとんど見られなくなった。学芸員の話によると、帯広市野草園の植物は、この半世紀余りで土壌乾燥化のために約4分の1が減ったそうである。

ガーデニングをやっていて思うことは、植物が減る理由には、日当り、含水率、養分など、土壌が適しないことである。このために植物に詳しい指導員の話を受けて、先日、土壌を入れ替えてみた。指導員によると、宿根草は最低5~10年に一度は植え替えないとダメになるそうである。

また、宿根草には年数がたつと株分けしないと死んでしまう植物もあるという。具体的には、庭には鯛釣りソウ(別名:ケマンソウ)があったが、古くなってダメになってしまった。株分けすると元気を取りもどして繁茂している。植物も新陳代謝が必要で、まるで人間の親、子供、孫を見ているようだ。

植物には強いものと弱いものがあり、ササやギョウジャニンニクなどの野生種のものが強く栽培種のものが弱い。野生植物は自然環境に適応するために、成長の促進や抑制などを自分の力で成し遂げる能力を持っているそうだ。太陽の光や温度を敏感に受けとめ、いつ芽を出しいつ花を咲かせるかの制御を自分で行なっている。

なお、野生とは動植物に使われる言葉で、人間の場合には野性的な人などと使われる。テニスの大坂なおみ選手は、日本人と外国人(ハイチ人)の混血で、野生的であるからすごいのである。最近、野性的な男性が減り野生的な女性も増えたように感ずるが、それが人口減少の理由のひとつでなければ良いと思っている。動物と植物は共存共栄していかなければならないが、適者生存であるのは動植物の世界も同じだ。地球上には、約九百万種の動植物が生存していると言われているが、環境汚染や地球温暖化などから減り続けている。かけがえのない地球を考えると、動物も植物も生存していける持続可能な環境が大切であると思っている。

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