先日、職場体験事業を立ち上げるに際して、愛媛大学のS先生に教えを乞いに行ってきました。
まず、私たちが何を目指し、何がやりたいかを説明させていただきました。
S先生は忙しい時間を割いていただいたのにもかかわらず、私たちの不器用な話を丁寧に聴いてくれました。
松山市では既に中学二年生の職場体験学習があります。
にもかかわらず、社会教育の切り口で類似事業が必要かという議論もあります。
しかし、もっと小さなうちから職場体験をさせた方がいいのではないかという考え方もあると思うのです。
そうはいっても、具体的にどのような手法がいいのか悩んでいました。
そこで私が、「仕事は大変だということを子どもたちに知ってもらうのは必要ですが、それだけでは勤労意欲は将来、わかないんじゃないかと思うのです。大事なのは、やりがいや苦しくてもギャラが出るから耐えれるといったことじゃないかと思うんですが、そのこと(今の職場体験学習に)が欠けているような気がするんです。」
「なるほど、でも大人が思っているほど子どもたちは、そのことを知らないんじゃなくて、その反対に仕事というのが大変なものだということを小さなうちからよくわかっているんじゃないでしょうか。それは、身近にいる父親たちが疲れて帰ってきて本当にしんどい姿を見せているから、よく理解していると思うんです。」
「そうか、どんな寡黙な父親でも疲れているときは背中に出ますよね。」
「そうなんです。いま、問題として考えなければならないことは、疲れて帰ってきても父親がイキイキとしていたとしたら子どもたちはどう受け止めるでしょうか。それができていないということが問題なんじゃないでしょうか」
「なるほど。」
「そこで、視点をまったく切り替えてですね、昔、NHKで『働くおじさん』という番組があったの覚えてますか?」
「ああ、ありましたね。」
「あれがヒントになりませんか。『輝くおじさん探し』みたいなことができませんか。仕事は、しんどい。でも、それでも輝いているおじさん。そんなおじさんに触れることができたら、その子どもたちはの将来って変わると思いません。」
「目から鱗が落ちるという思いです。持ち帰ってもっと練り直してみます。」
私たちが目指さなければならないことが、明確に見えてきました。
部下たちをいっしょに連れて行っておいてよかったと今日ほど痛感したことはありません。