勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「VISITORS」 佐野元春

2011-06-05 05:02:34 | 音楽
前作の「SOMEDAY」でのブレイク後、その世間の喧騒に背を向けるように、単身、ニューヨークに渡り作り上げたアルバム。
当時の評価としては賛否両論で、少なくとも一般的には批判的な意見が多かったように思う。
それは、このアルバムの内容が、世間が規定していた前作「SOMEDAY」の延長上のものと違っていたである。
個人的にも、それまで「SOMEDAY」をまるでバイブルのように聴き狂っていたこともあり、それだけにNYで作り上げてきたというこのアルバムへの期待も高かったこともあり、その内容にすごく違和感を感じ、同時に佐野元春というアーチストに対する興味も、急速に薄れていったという記憶がある。

しかしながら、今となっては、日本のアーチストとしてはヒップホップやラップをとりあげた最も初期のアルバムであり、ある意味、このアルバムを基点に、日本のロックシーンは大きく前進したように思われるという、歴史的な作品であるとは思うが、そういう新しい要素は、まだこの段階では、NYのものそのままに紹介することは日本では受け入れがたいと考えたのか、かなり消化不良な内容ではあると思う。






「ユニオン・ツアー1991」 YES

2011-06-05 03:33:34 | 音楽
タイトル通り、YESの91年のユニオン・ツアーを収めたライブ盤。
このユニオン・ツアーというのは、ボーカルのジョン・アンダーソンを中心としたYESの黄金期のメンバーとリーダーのクリス・スクワイアを中心とした現在進行名のYESのメンバーとにYESが分裂・対立していた、所謂、YESの南北朝時代といわれる状態から、その分裂・対立していた2つのYESが合体するという、おそらく今の自民・民主の大連立実現よりも予測不可能、かつ信じられないような状態が実現したときで、レコード会社の思惑も多分に影響はしているのだろうが、ツアーの評判そのものは、その内容や演奏の出来不出来よりも、音楽的な評価は二の次の、まさしくお祭り騒ぎ的な盛り上がりがあったように記憶している。

実は、この時の来日公演に私は行っているのだが、そういう世間の盛り上がりとは裏腹に、ライブそのものは、あまり盛り上がらなかったように思う。

さて、今回のこのライブ・アルバムだが、実際のライブでの体験と同様、あまり盛り上がらないような内容になってしまっている。
演奏そのものは、ここしばらくのライブ・アルバムのそれと比べると、はるかに上質のものが続くのだが、いかんせん、選曲がよくない。8人体制というこの時期独特の編成を意識してか、YESとしての作品よりも、各自のソロの作品が多く収録されており、YESというバンドの楽曲としては数曲が収められているのみで、結果、それがアルバム全体の印象を散漫なものにしてしまっている。