ドラマなので多少の脚色や演出があるぶんはかまわないのだが、最近の大河ドラマは、あまりに史実を逸脱したことが多すぎる。
今年の「龍馬伝」も例外ではなく、たとえば、岩崎弥太郎と坂本龍馬が幼馴染という設定自体、大嘘なのだが、それは、まぁ、許せる。
しかし、今日の「龍馬伝」はないんじゃないか、と思う。
土佐藩の大御所、山内容堂に大政奉還の建白書を書かせるため、坂本龍馬は土佐に戻ってくるのだが、その容堂と龍馬の間を、あの後藤象二郎が取り持ち、挙句の果てには、容堂の書いた大政奉還の建白書を前に、龍馬と後藤象二郎が握手するという演出がなされていたのだが、これは、とーてもとんでもないんじゃないか、と思う。
幕末最大の謎といわれている龍馬暗殺事件であるが、その黒幕の一人として後藤象二郎の名前があるのは有名な話である。
後藤が龍馬暗殺をしなければならなかった動機として、大政奉還の提言の功績を独り占めしたのをバラされたくなかった、というのである。史実では、山内容堂に大政奉還の建白を薦めたのは後藤象二郎単独の行為で、その際、後藤は、これが龍馬の発案であることを黙っていて、あたかも自分ひとりの手柄であるようにしていたらしい。その功績があった故、後藤は維新後、政府の要人になれたわけである。
もし、本当の大政奉還の立役者である龍馬が生きていれば、後藤としては非常に都合が悪い訳で、それ故、龍馬暗殺を企てたというのが、後藤象二郎黒幕説の粗筋である。
しかし、今日の「龍馬伝」の展開では、この後藤黒幕説は成り立たなくなる。
龍馬暗殺は、坂本龍馬の生涯における一大事件であるだけではなく、前述したとおり、幕末最大の謎とまでいわれている大事件である。その大事件の大きな要因のひとつを、こんな感じで潰しちゃっていいのかね。
しかし、かく言う私は、ブチブチ文句を言いながら、一応、毎週「龍馬伝」を見てしまっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます