4月だというのに連日25℃を超える夏日のお遍路風景と里山散歩でした。
そのお遍路さんとは46番札所、浄瑠璃寺で出会った。
久万からの長い山道を降りて来て、木蔭で一息入れている姿が目に留まった。
「暑かったでしょう」と一声かけて写真を撮らせてもらった。
神奈川からの歩き遍路さんだった。
ちょっと田中泯に似た、そこにいるだけで雰囲気のある渋い面立ちに惹かれた。
冒頭の休息の一枚を撮らせてもらって
「ありがとうございました」と礼を言って離れると、
そのお遍路さんは本堂の前で取り出した尺八を吹き始めたのだ。
驚いて、引き返し、その姿に魅入られたようにシャッターを切り続けた。
この人は絵になる(笑)
その後も続々とお遍路さんが訪れる。
春四月、巡礼シーズン到来。
ここでも盲目の御主人に寄り添った御夫婦と出会えた。
撮影許可をお願いすると、快く応じて頂いた。
朱塗りの杖の先達さんに導かれた団体遍路さんは岡山県からだった。
こちらは女性の先達さんだった。
浄瑠璃寺は戦没者慰霊塔周辺に牡丹園がある。
その牡丹園の萎れた花を摘んで境内の池に浮かべている。
さながら夏の蓮の花園同様、浄土の風景を演出している。
ちょうど花を摘んできた住職の奥さんが、ニコニコ笑顔で説明してくれた。
そして「ほら、ここに孵化したばかりの蜻蛉が」と指差す。
なんと水面に浮かべた牡丹の花に孵化した翅の伸びきらない蜻蛉の姿が。
その手前には抜け殻になったヤゴの姿があった。
極楽浄土の原色の彩の中に生命の連鎖を観るようだ。
今日の日のハイライトは、この風景だったと思う。
帰路はお大師伝説の八ツ塚群集古墳に立ち寄り、金鳳花や薊の野辺の花咲くお地蔵様の姿を。
田圃の神様の一本樹も瑞々しい若葉の色に輝いていた。
間もなく近郊の田圃に水が入り、一面の水郷風景が出来(しゅったい)する。
たった一つの札所で出会った人々にも人生が有り、歴史もある。
その切り取りは「思い」だろう。
写真に関しては金鳳花のことをふと考えただけ・・・
これだけ美事な構図は撮ることが出来なかった。
一本樹も主体にしていますね。
ランスケさんの写真対する技術、創造性が垣間見えます。
そして祈りを捧げる人たちと共通する思考に改めて感心しました。
うわつさんの御指導の成果なのか。どんどん写真が上手くなってゆくのが分かります。
毎朝、楽しみに拝見していますよ。
私も新たなテーマ、「祈りの風景」への作画法が少しづつ形になり始めました。
初めはお遍路さんに声をかけることに勇気がいりました。
でも誠意を持って対応していると、それに応えてくれる人が多いことに気づきました。
そして、その人の「祈りの物語」に耳を傾けることです。
巡礼の旅を続ける人は、何らかの物語を抱えていますから、
その一端でも垣間見れれば幸いです。
それが、その人の顔や祈りの所作から滲み出てくるものだと思っています。
そんな人との出会いも、このテーマの楽しみです(笑)
しばらく季節の自然写真と並列して、このテーマを掘り下げてみます。