四国の屋根と云われる峰々の紅葉が終わり、山里近くまで下りてくると、
一足先に山に冬の訪れを告げる霧氷や初冠雪の知らせが届く。
この季節の面白いところは、里から山の高嶺まで、季節を遡るような体験ができること。
色づき始めた街から里、紅葉真っ盛りの山の中腹、そして白く冬の衣装を纏った頂きへと至る
垂直移動の時間を遡る旅。
当初は御来光の滝へ月夜のテン泊予定だった。
ところが一向に雨が降らない。
月末に降った雨も滝の水量を増すほどではなかった。
水枯れの滝では、月光に浮かぶ虹も朝日射す虹も望めない。
風景写真は臨機応変に。
週末の寒気の訪れに望みを託し、山道を駆け上がり瓶ヶ森へ。
紅葉は1200m付近から1000m付近が今を盛りに青空に映える。
見上げる筒上の稜線が白く覆われている。
石鎚の頂きは雲の中。
冬枯れの林道をさらに走り、瓶ヶ森へ。
終日、厚い雲が稜線を覆い、時折雲間から光芒の射す黄昏だった。
氷見二千石原に張ったテント内で気温0℃。
翌朝の戸外で氷点下2℃だった。
まだ冬山シーズンの鳥羽口に立ったばかり、羽毛の寝袋に包まれば快適な睡眠が訪れる。
その夜のために選んだ本は、宮本輝の「約束の冬」(文春文庫)再読。
冬の訪れを告げる「飛行蜘蛛」の話は、この場所で風に乗ってやってくるカミキリムシの存在を知った夏の思い出と重なる。
(バルーニングと呼ばれる空飛ぶ蜘蛛は、この秋、墓場尾根の夕映えの撮影時に南尖峰の突端で待機している時に目撃しました。
キラキラと虹色に輝くものが幾つも風に乗って飛ぶので何かと訝ると、夕陽に輝く蜘蛛の糸でした。
上昇気流に乗ってフワリ虚空に浮き上がる虹色の蜘蛛の糸は、欧州において「天使の糸」と呼ばれるように何か現実離れした光景でした)
こういう物語の寓意を為すような意匠の設定が、あいかわらず巧い人だ。
どんどん話に惹き込まれてゆく。
迎えた朝、凛とした寒気が降りる。
白く立ち込めた霧が晴れず、男山から女山へ移動。
風の方向に切っ先を尖らせた氷の造形、海老の尻尾が樹々の枝先を覆う。
今シーズン初めての霧氷は、なかなか見事な冬の衣装を纏う。
まだ夜の明けきらぬ薄明の稜線には幾人もの写真ヤさんが待機。
今年は海へ出張っているYさんとは久しぶり。
「風雪ながら暮らし」の流雲さんは先週の剣山に続いて今週も霧氷の石鎚から瓶ヶ森へ。
しかし、同じ場所にいたのに、私と流雲さんの見ていたものが、こんなに違うなんて。
流雲さんのブログを見ていると、本当に好い刺激になる。
宇和島のZさんは5日連続の瓶ヶ森。
「もう一日ねばったら」と私がそそのかし結局六日間の滞在となった。
山の写真ヤさんは半端じゃない(笑)
山渓のフォトコンでは常連だったMさん(HN二三歩さん)とも本当に久しぶり。
早速、コメントを寄せていただき、ありがとうございます。
三浦さんも二日連続の出動。
12/7(金)20:00、NHK四国スペシャルで三浦さんの案内する石鎚の自然が放送されます。お楽しみに。
さて、今回のハイライトは夕暮れの石鎚山上で起きた。
大山行男の富士山写真のように、
石鎚山上へ落ちようとする夕陽がもたらした気象現象、傘雲と彩雲の織りなすめくるめく時間だった。
う~ん、こんなときめきの時間が突然訪れるから、山はやめられない。
山がもたらすマジック・アワー。
今週末は迷ったのですがreturnmatchを済ませ
来週からは全て瓶通いとします
一から出直し、やはり戻ってしまったようです
山はやめられない・・・・正にその通り!
一枚目の画像が、少し陽が昇ってから西黒森方面のガスが切れた瞬間です。
石鎚方面は厚い雲の中(哀)
でも三つ重ねの傘雲(ちょっと変形)の夕映えが撮れたので全てオーライです(笑)
まずは幸先の良い冬山シーズンの幕開けです。
石鎚は12月からが本番と考えています。
11月いっぱいの林道閉めまでは、瓶ヶ森が面白い。
misaさん、また瓶で会いましょう。
綺麗です
misaさんも燃えていますね~♪
うわぁ~
うわぁ~
こんな写真が欲しい。
若いときには、何度も冬の瓶を観ていましたが、こんな情景に出会ったことがあっただろうか?
ウーーン、ヤッパシこの風景は私の青春の瓶の風景。
ありがとうございました。
流れ星さんも言っていたけど、高知は山野草の宝庫ですね。
さすがに牧野富太郎を育んだ場所です。
11月の瓶ヶ森は、冬の山岳風景を手軽に楽しめます。
karinaさんもmisaさんと御一緒にどうぞ。
地芳峠方面のトンネルが開通して、ずいぶん近くなったと言っていました。
その気になれば、いつでも観られる風景です。
ぜひ鬼城さんも誘ってどうぞ。
青春の思い出にするには、まだ早過ぎます(笑)
瓶からの石鎚、定番ですが、表情が刻々と変わる。2000m近い山の特徴ですね。それの切り取りは、相変わらずお見事としか言いようがない。雲の流れ、霧氷、素晴らしい。
確かに地方には土着の神を祀る固有の祭りもあるのでしょうね。
(そして消えようとしている祭りも)
鬼城さんの民俗学的興味の尽きないフィールドですね。
宮本常一のように日本全国を巡る旅に期待が膨らみます。
私も残りの時間を、故郷の消えようとしている自然を記録に残すことに費やそうと思っています。
あと10年頑張れるかな?