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モーターサイクル・ダイアリーズのエンディング、タイトルロールで流れた音楽が、ずっと耳に残って忘れられなかった。
まったく偶然、この音楽と巡り会った。「Al otro lado del rio」 Jorge Drexler
チェ・ゲバラの青年時代、アルゼンチンからベネズエラまでの南米大陸縦断の旅をザラついたロード・ムーヴィ・スタイルで描いた傑作。
あのポンコツのノートンのバイクに跨り、荒涼としたパタゴニアの大地やアンデス越えの旅の日々、そして旅の途上で新大陸の救いようもない貧困を目の当りにする若き日のチェ。
旅の終わり、飛び立つ飛行機の機影を見送りながら暗転。エンド・ロールで流れる音楽に完全に心を奪われた。
長く過酷な旅が終わり、心がからっぽになっているとき、
静かに慰撫するような旋律と囁きは、心の襞に深く沁み入るようだった。
是非、映画と共に長い旅の時間を過ごし、あの旅の終わりの放心のなかで、この音楽に耳を傾けてください。
やっぱり、この映画は紛れもなく傑作だ。
永遠の革命家、チェ・ゲバラの青年時代の旅を感傷的に描いているかもしれない。
それはプロデュースのロバート・レッドフォードによるところが大なのでしょうね。
南米中の女たちと寝てやるんだという若者らしいお気楽な旅立ちが
旅の途上で次第に南米の救いようもない現実を目の当りにする。
後半、ハンセン病療養所で過ごした日々がチェを変えたのは間違いない。
ダンスパーティー、誕生日の夜のスピーチ。
「この旅で痛感しました。無意味な国籍で私たちは別れているけれど、南米大陸はひとつの混血民族で形成されていると」若き革命家の誕生です。
そして対岸へ夜の河を泳いで渡るシーンが胸に迫る。
翌朝、朝靄の河を旅立つ情景が限りなく美しい。
もちろんラストシーン、DC3ダコタの機影を見送る旅の盟友アルベルト・グラナーダの姿が80歳を越えた現在に姿に重なるシーンのにはグッ来る。
所詮、私たちは安穏とした先進国で暮らしている甘ちゃんだ。
R・レッドフォードのセンチメンタルなフィルター越しの革命家の旅の軌跡に想いを馳せるしかない。
エンディングロールで流れた「Al otro lado del rio 」は、この映画で唯一、アカデミー歌曲賞を受賞していました。