日本は環境先進国であるという幻想が、近頃怪しくなってきた。
「地球温暖化」と共に「生物多様性」は、現在世界が取り組まなければならない緊急事案
の大きな2本の柱になりつつある。
今まで当たり前のように消費してきた天然資源が、急速なスピードで枯渇してゆく。
60年代まで年間1種程度だった生物種の消滅が、現在は年間4万種が消滅するという。
それは、そのままの数字ではない。
地球上の生命は単体で生存できるものはなく、それぞれが相互依存している。
4万種が消滅するということは、その生命に依存する多くの種も同様に危機を
迎えているということだろう。
身近な例で云うと、セイヨウミツバチの大量死に伴なう
大規模な農作物の供給不足が記憶に新しい。
ミツバチの授粉に頼る農作物(植物)の多くが媒介する生物種の消滅で
果実を結ぶことが出来ず共倒れすることになる。
このような生物多様性の経済的効果を数値化する動きが、世界の潮流になりつつある。
「生態系サービス」と名づけられた天然資源が私たちの暮らしに及ぼす恩恵を
数値化したシステムは、EUにおいてスペインの公共事業を差し止めさせるほどの
効力を発揮している。
あの温室効果ガス削減に頑強に抵抗してきたアメリカでさえ、
山火事を引き起こした鉄道会社に対して、その火事による物的損害ばかりでなく
森林のもたらす生物多様性に対する損失(その森林生態系を復元するための費用)
をも賠償させたという話だ。
この開発事業に際して、その事業にともなう生態系の損失を
また別の場所で復元させるという「生物多様性オフセット」
もグローバル企業が避けて通れない世界的潮流と云えそうだ。
さて生物多様性のホットスポット(人類が優先的に生物多様性保全に努力を傾ける場所
として選定された世界の34箇所)に選ばれた日本の現状はどうだろう?
日本中の海岸線と河川をコンクリートで埋め尽くし
一度破壊した場所に「人工渚」や「親水公園」を造ってお茶を濁す行政。
あいかわらず強制力のある目標値を出せずに「企業努力」ばかりではもう限界にきている。
日本の主要企業100社の内、生物多様性に関するガイドラインや方針を策定している
企業は、わずか9社。
生物多様性を原料などの調達方針に反映しているのは6社に過ぎないという。
企業の環境報告書などで、生物多様性に言及していない企業が25社もあったいう。
世界で急速に進展する「生物多様性関連ビジネス」の潮流から
日本の企業は遅れをとっていると著者は警告する。
40億年ほど前に最初に地球に誕生した生物から始まり、
地球上で過去5度の大絶滅があったという。
そして現在、第6の大絶滅に向かっているといわれる。
第6の絶滅は、過去5度の絶滅とは質的に異なる。
それは湿地や熱帯林などの破壊が急速に進んでいる点だ。
過去の大絶滅の後、500万年から1000万年の間に新しい種が生み出されてきた現場は、
湿地や熱帯林だったといわれている。
これら「進化の揺り籠」ともいわれる生態系が破壊されるということは、
代替種を生み出す進化の能力が大きく損なわれている可能性があることを意味している。
最後に「バイオダイバーシティ生物多様性」の著者であるエドワード ウィルソンの
同書の序文より…
「生命の形の多様さ、それはこの惑星の最大の驚異だ。
生命圏はさまざまな形の命が複雑に縫い合わされたタペストリーのようなものである。
10億年以上にわたって多様な形の生命を育んできた環境を我々は急速に変え、
破壊していることにたいする緊急の警告を伝えたい…」
「地球温暖化」と共に「生物多様性」は、現在世界が取り組まなければならない緊急事案
の大きな2本の柱になりつつある。
今まで当たり前のように消費してきた天然資源が、急速なスピードで枯渇してゆく。
60年代まで年間1種程度だった生物種の消滅が、現在は年間4万種が消滅するという。
それは、そのままの数字ではない。
地球上の生命は単体で生存できるものはなく、それぞれが相互依存している。
4万種が消滅するということは、その生命に依存する多くの種も同様に危機を
迎えているということだろう。
身近な例で云うと、セイヨウミツバチの大量死に伴なう
大規模な農作物の供給不足が記憶に新しい。
ミツバチの授粉に頼る農作物(植物)の多くが媒介する生物種の消滅で
果実を結ぶことが出来ず共倒れすることになる。
このような生物多様性の経済的効果を数値化する動きが、世界の潮流になりつつある。
「生態系サービス」と名づけられた天然資源が私たちの暮らしに及ぼす恩恵を
数値化したシステムは、EUにおいてスペインの公共事業を差し止めさせるほどの
効力を発揮している。
あの温室効果ガス削減に頑強に抵抗してきたアメリカでさえ、
山火事を引き起こした鉄道会社に対して、その火事による物的損害ばかりでなく
森林のもたらす生物多様性に対する損失(その森林生態系を復元するための費用)
をも賠償させたという話だ。
この開発事業に際して、その事業にともなう生態系の損失を
また別の場所で復元させるという「生物多様性オフセット」
もグローバル企業が避けて通れない世界的潮流と云えそうだ。
さて生物多様性のホットスポット(人類が優先的に生物多様性保全に努力を傾ける場所
として選定された世界の34箇所)に選ばれた日本の現状はどうだろう?
日本中の海岸線と河川をコンクリートで埋め尽くし
一度破壊した場所に「人工渚」や「親水公園」を造ってお茶を濁す行政。
あいかわらず強制力のある目標値を出せずに「企業努力」ばかりではもう限界にきている。
日本の主要企業100社の内、生物多様性に関するガイドラインや方針を策定している
企業は、わずか9社。
生物多様性を原料などの調達方針に反映しているのは6社に過ぎないという。
企業の環境報告書などで、生物多様性に言及していない企業が25社もあったいう。
世界で急速に進展する「生物多様性関連ビジネス」の潮流から
日本の企業は遅れをとっていると著者は警告する。
40億年ほど前に最初に地球に誕生した生物から始まり、
地球上で過去5度の大絶滅があったという。
そして現在、第6の大絶滅に向かっているといわれる。
第6の絶滅は、過去5度の絶滅とは質的に異なる。
それは湿地や熱帯林などの破壊が急速に進んでいる点だ。
過去の大絶滅の後、500万年から1000万年の間に新しい種が生み出されてきた現場は、
湿地や熱帯林だったといわれている。
これら「進化の揺り籠」ともいわれる生態系が破壊されるということは、
代替種を生み出す進化の能力が大きく損なわれている可能性があることを意味している。
最後に「バイオダイバーシティ生物多様性」の著者であるエドワード ウィルソンの
同書の序文より…
「生命の形の多様さ、それはこの惑星の最大の驚異だ。
生命圏はさまざまな形の命が複雑に縫い合わされたタペストリーのようなものである。
10億年以上にわたって多様な形の生命を育んできた環境を我々は急速に変え、
破壊していることにたいする緊急の警告を伝えたい…」
生命の多様性〈上〉 (岩波現代文庫) | |
Edward O. Wilson,大貫 昌子,牧野 俊一 | |
岩波書店 |
生命の多様性〈下〉 (岩波現代文庫) | |
Edward O. Wilson,大貫 昌子,牧野 俊一 | |
岩波書店 |
生物多様性とは何か (岩波新書) | |
井田 徹治 | |
岩波書店 |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます