陶芸教室 夢工房あすか

大分市内にある陶芸教室のブログです。
  大分市南春日町12の8
  電話 097‐545‐3581

素焼きで乾燥も/意外いや意外。そんなこと出来るのです!

2022-09-11 23:10:55 | 乾燥、素焼き、本焼きのこと
  
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 ■意外いや意外。そんなこと出来るの?!/素焼きで乾燥も

8月の新作は桐木さんのリム鉢と円形の平皿です。
21.5㎝径のリム鉢はリムの鎬模様が整然としていて瑠璃色が映える。
円形のプレート皿は23.5㎝径。練り込みの変化もいい! 素敵な作品です。





この二つの作品は、削ったばかりのものをそのまま素焼きをしました。
乾燥をしてません。え~っ、そんなことが出来るの? と思われるでしょう。
意外や意外なことにそれが可能なのです。

削り終わったばかりの作品を窯入れして素焼きしても割れも出ないのです。
教室では、削ったばかりの作品もその日に窯入れをして素焼きをしています。

素焼きの窯に削りたての作品を入れるのは、
最初は不安がありましたが、トライしてみたところ、
きれいに焼き上がったのです。それからは度々やってますが、
底が割れたことは一度もありません。きれいに焼き上がります。

電気窯では均等に昇温されるからです。自然乾燥させてから素焼きを
した方が不安はないでしょうが、自然乾燥よりも割れることがないのです。

削ったばかりの今回の桐木さんの作品がこちらです。この数時間後に
この作品を素焼きの窯に入れて乾燥を兼ねて素焼きしました。
尚、円形平皿はたたら作りで、成形 4時間後に窯に入れて素焼きしました。

 

教室の電気窯はシンポ製の 12 kWの DAM 12C型。
素焼きの時は 1時間で 80℃まで昇温されます。
室内温度を 20℃とすると 1時間で 60℃昇温されることになります。
1分間に 1℃の昇温になります。10分で10℃のアップですから行けそうですよね。

陶芸では乾燥に悩まされますが、削ったばかりの作品も素焼きの時に
窯に入れて素焼きをしていますが割れや歪みが発生したことはありません。
全体が均一に緩やかにリニアに昇温されるからだろうと思います。
そのようなことで、削ったばかりの作品も素焼き窯に入れているのです。

自然乾燥させていると割れることがたまにあります。
底が割れる要因は色々考えられますが、気温の変化も大きいように感じています。
梅雨時などジメジメしている時などは割れるケースが多いのです。
また、普段でも乾燥が無事に終わったと安心していると、
翌日に底切れが出ていることがあります。びっくりします。
生徒さんが時間をかけて作った作品だけにショックで困惑する。

削り終わったばかりの作品もその日に素焼きする窯に入れてますが、
底に厚みのある作品や、土締めが弱そうな作品は除外しています。
このような作品は自然乾燥させても S字状に割れるケースが多いのです。
不安を感じる器はきちんと乾燥させてから素焼きをしています。

教室の電気窯は、素焼きでは 1時間で 80℃に昇温しますが、
若干ですが昇温時間を落としたパターンも自作してます。 それは、
1時間で 70℃に昇温するパターンです。たいして変わりはありませんが、
削ったばかりのサイズの大きなお皿などは、このパターンで素焼きをしています。
焼成は素焼きも本焼きも深夜割引電力で 10時間以内に行っています。

尚、この窯には乾燥用のパターンもあります。乾燥は 200℃まで。
この乾燥用のプログラムは 1時間で 40℃に昇温するようになってます。
素焼きの時はこの 2倍の速さで 1時間で 80℃に昇温するようになっています。
生乾きの作品が多い時は乾燥のプログラムを使った方が安心でしょう。
教室では乾燥のプログラムは一度も使ったことがありません。

因みに、本焼きは 1時間に 160℃の昇温です。素焼きの 2倍の速度です。
素焼きは 700℃。本焼きは最高温度を 1,240℃で行っています。

素焼きで乾燥させた方が、自然乾燥させるよりも、
器全体が平均的に乾燥してくれるので大丈夫感があります。
教室のこのやり方は経験的なものですが、活用できるのではないでしょうか。


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長方皿の反りの防止策/裏方作業

2022-09-08 22:40:50 | 乾燥、素焼き、本焼きのこと
  
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 ■ 長方皿の反りの防止

今回は裏方の作業を書いてみよう。
前回掲載した足立さんの長方皿も生徒さんが
知らない所でこんな気遣いをしています。

タタラ(板)づくりの長方皿のプレートは乾燥時に反りが出るのです。
反りやゆがみを抑えるのに陶芸家の人たちもいろいろと苦心していますね。

円形の板皿の場合は、ゆがむことはほとんどないので
安心なのですが、正方形や長方形の四方皿は反りやゆがみが出ます。
長方皿は中央部分が反り上がるのです。緩やかなアーチ状になるのです。

足立さんのオーバル皿は縦横の寸法の長短差も少ないので、
反りが少ない形状なのですが、その前に作ってた桐木さんの
同じようなお皿には若干ですが盛り上がりがみられたのです。

それで、今回は乾燥段階で作品を窯入れする時に使う棚板を支える
支柱(ツク)を重石がわりに中央に置いて乾燥させたのです。

 

これで盛り上がりを抑えることが出来ました。 21.5㎝×15.5㎝ のお皿です。
このくらいの長短の差であればツクを重石に置くだけで反りが抑えられます。
板の厚みなどから反り具合を想定してそれに見合った重さのツクを置きます。

ワンサイズ大きいツクでもよかったように思います。
ただ、重すぎてもあまりよくないのではないかと思っています。

縦横の寸法の差が大きい長方皿の場合は、角が盛り上がったりするので、
反りを抑えるのがかなり難しくなりますが、以前にも紹介しましたが
角張った四方皿の場合は四隅の角から乾燥が進み収縮してゆがむので、
四隅の周りに切れ端の土で囲うようにして均等に乾燥するようにしています。

教室ではこのようにいろいろな工夫して反りを抑えています。
教室では作品の下には新聞紙を敷かないようにしています。
参考書や他の教室では新聞紙を敷いているケースが多いですね?

また、厚みのある長方皿の場合には、乾燥が均等に進むように裏底に
鎬(しのぎ)という溝を何本か入れて反りや歪みを抑えるようにしてます。
四隅も土で囲って自然乾燥させてます。こんな工夫をして乾燥させてるので、
教室の作品では長方皿や正方形の皿でも反ったりゆがんだりした作品はほとんどありません。

 

プロと人たちはムロという室でゆっくりと時間をかけて乾燥させてるようです。
教室ではそんなことは出来ないのでこのような防止策を講じて自然乾燥させてます。

長方皿の反りは科学的な解明がなされてないのですが、
誰か研究者が陶土の乾燥時の挙動を解析してくれるといいのですけどね。
私がテストをした結果は以前に2回にわたってブログ掲載しています。



反りは陶土がよく締まっていると少ないので、タタラ機でロール圧延した
タタラを使うとゆがみも抑制できますが教室には圧延機は置いていません。
もう一つ思い出したので追記しますが、反りは陶土の粒度も関係するので、
タタラ作りで平皿を作る時は出来るだけ粗めの土を使ってもらうようにしてます。

タタラ作りのプレート皿は反りはしないかと乾燥が終るまで気になりますが、
反らずに乾燥すれば焼成時に反ることは電気窯ではまずありません。

また、陶芸ではどのような器の場合でも、釉掛け時に
裏底に撥水剤をつけてから釉掛けをしてもらい、釉掛け後に
撥水剤に残った釉薬をスポンジで拭き取ってもらいますが、
拭き取りが足らないケースがあるので、念を入れて私が
一つひとつスポンジをかけてから窯入れをしています。

少しでも釉薬が残っていると棚板に作品が溶着するのです。
棚板に作品が溶着すると作品を取り外す時に作品が壊れますし、
棚板も傷みグラインダーで補修をしないといけなくなるのです。

どこの教室の先生もこの拭き取りは厳しく注意するところですね。
溶着すると折角の作品も駄目になりますし、棚板も補修しなければならないので、
念の為に私はどんなちいさな小物でも一個一個スポンジで丁寧に拭き直して窯入れをしています。
それでもくっ付くことがありますが、大事には至ったことはありません。

生徒さんが知らないところでこんな所にも気を使っているのです。
この記事は生徒さんも読んでくれるといいですね・・・。

(備考) たたらの語源はいまだに不明ですが、陶芸での呼称は、
    日本最古の製鉄所が島根県にある『たたら製鉄』ですので、このインゴットや
    圧延板から「たたら作り」と言われるようになったのではないかと推量してます。


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タタラ(板)の乾燥の考察(その2・総括)

2020-11-09 09:03:00 | 乾燥、素焼き、本焼きのこと
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前回、タタラ(板)の 「乾燥時の反りを抑制するテスト」 を行いましたが、今回は抑制効果のあった方法を再検証しました。
陶土の粒度が粗い方が反りが少ないので、今回は反りが生じやすい粒度の細かい陶土(60~80メッシュ)で再テストをしました。
なお、丸皿は、粗めの土も細めの土も反ったことがほとんどないので、反りやすい長方形のベタ皿でテストを行っています。

前回と今回の二度にわたるテストで、次のように乾燥させると反りが抑えられることが確認できました。両面をきちんと土締めすることが前提になります。

 1.裏底を平らなまま、四隅を陶土で囲って自然乾燥
 2.裏底をカキベラで削って、波型にしのぎ(鎬)の溝を入れて自然乾燥
  (四隅を囲ったものと、囲わなかったもの2種類)

以上の 3枚は反りが有りませんでした。タタラは半板にべた置きして乾燥してます。
教室では乾燥時に新聞紙は敷きません。新聞紙を敷くと新聞がしわくちゃに縮むので、陶土に微弱ながら縮み応力がかかるように思います。



 (裏返した写真/乾燥後)


尚、反りを抑える為の通例となっているしのぎ(鎬)の溝については、
前回は、木ベラで押さえて溝を入れたので、無理なストレス(応力)が陶土に残り、反りが出たようなので、
今回は、裏底をカキベラで掻き取り溝を入れました。これが良かったようです。しのぎを入れる方が無難でしょう。
しのぎは掻きベラで掻き取ってを入れるようにしましょう。又、しのぎは直線で線彫りしても良いと思います。

また、前回はケイカル板の上で乾燥させたタタラは、意外にも反らなかったのですが、今回は下記のとおり大きく反りました。
ケイカル板での乾燥は難があると思いますが、両面をケイカル板で挟んで乾燥させると乾燥も速くて、いいかもしれません。



板厚は薄いと反りやすいので、ある程度の厚みが必要になります。テストでは薄めの 6 mm厚で行いました。縁の亀裂は今回もありませんでした。

また、今回は 「重し」 を置いたテストは行っていません。
半板などを重しに置きサンドイッチにして乾燥させると反りが抑えられますが、乾燥にかなりの時間を要します。
梅雨時などは乾燥に 1ヶ月ほどかかるでしょう。教室ではスペースもないので対応し難い面があります。生徒さんのタタラ作品の乾燥では毎回少し神経を使っています。

尚、平らなタタラ作品に足を付けて本焼きすると、釉薬が掛かってるので垂れたり反ったりします。
足を取り付ける場合は、四本足をバランスよく取り付けるか、下駄履き形にするか、四角い囲い高台を取り付けるかなどの方策が必要です。
足や高台付きの 「まな板皿」 を作るのは難しいことです。

陶土の挙動をつかむことは難しいですが、皆さんもテストをしてみられるとよいでしょう。

ちなみに、9月の生徒さんの新作でアップしたタタラ作りの長方皿は全く反りがありませんでした。
周囲を丁寧に縁立てしていると比較的に反りにくいのですが、乾燥の時は上記テストと同様に 4隅を土で囲って自然乾燥させました。
裏面にはしのぎの溝も入れています。その作品を再アップしましょう。 50メッシュ(目)の白土で、焼き上がりサイズは 13 ㎝ × 23 ㎝ × 5.5 ㎜ 厚です。





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作品乾燥の考察(その1)

2020-10-16 10:48:23 | 乾燥、素焼き、本焼きのこと
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近い内にブログに 『陶芸の基本の作り方』
  (元祖陶芸?! 目から鱗が落ちる!)
を連載する予定ですが、その時に、削った直後の素焼きや、
タタラづくりの平皿の乾燥についても記述しようと思っていた
のですが、お二人の陶芸家の方が、同じテーマの記事を
載せていましたので、この機会に少し触れて見たいと思います。
陶芸教室の例です。

 ■ 器の乾燥について

 1.乾燥なしで素焼き
教室では、削ったばかりの作品も、
その日に窯に入れて素焼きをしています。最初は不安が
ありましたが、底などが割れたことは一度もありません。

電気窯は均一に温度上昇するからです。乾燥させてから素焼きした
方が不安がないでしょうが、自然乾燥よりも割れがないようです。

教室の電気窯はシンポ製の 12 kWの DAM 12C型です。この窯は
素焼きも本焼きも 10時間以内で焼成します。深夜割引電力対応です。

素焼きの温度は、一般的には 1時間に 100℃まで昇温させるよう
ですが、この窯は素焼きでは 1時間で 80℃まで昇温されます。

又、自作で 1時間に 70℃まで昇温させるパターンも作っています。
削ったばかりの器で、底が広いサイズのものや、底に厚みが
ありそうな器の場合は、この低昇温モードで素焼きをしています。

尚、窯に入れる時は一応は大丈夫かなと削り具合などをみてから
入れてますが、自然乾燥させるよりも、電気窯で素焼きして乾燥
させた方が、平均的に乾燥をしてくれるので大丈夫感があります。

ただ、土締めが弱い傾向の生徒さんの器は、底切れの頻度が高い
ようなので、自然乾燥させてから素焼きをするようにしています。
また、底に厚みのある器も自然乾燥させてから素焼きをしています。

この窯にも、乾燥モードもありますが使ったことはありません。
このモードは 1時間で約 40℃の昇温です。5時間で200℃まで昇温。

教室では、削り終わった直後の生乾きの器も素焼きの窯に入れてますが、
生乾きの作品の数が多い場合は、蒸発する水分量が多くなるので、窯に
負担がかからないように乾燥モードを使用する方がよいでしょう。

ちなみに、本焼きでは 1時間に 160℃まで昇温されます。
素焼きの 2倍のスピードで昇温するように設定されています。

以上は教室でのこれまでの窯焚き経験です。

 2.板皿の乾燥
9月30日のブログに「板皿(タタラづくり)」の作品をアップしました。
その時にタタラ(板)づくりについて、次のようなことを書きました。

反りを防ぐ為に裏底にしのぎという溝を入れます。
そして、乾燥の時に四隅をタタラの切れ端で囲います。
角から乾燥して盛り上がるので、それを抑えます。

反りを防ぐ為に重しを置いているケースもたまに見掛けますが、
押さえ込んでいいものか半信半疑なのでやったことはありません。
ムロなどで時間をかけて乾燥することも場所もないので行ってません。
新聞紙は下に敷かないようにしています。板にベタ敷きで乾燥します。

均一に乾燥させて反りを防ぐのは難しいことですが、
乾燥の悪い梅雨時などは反りや割れも生じやすいようです。
また、薄いと反りが出やすい。ある程度の厚みが必要ですが、
粗めの陶土を使うなど陶土の選定にも考慮が必要です。

平たい長方皿を作る時は誰しも人知れず苦心するところです。
肝心なことは陶土を良く締めておくことです。締めが悪いと反ります。
タタラ機という圧延機を使うと良く締まるのですが持っていません。
丸皿は周囲から均一に乾燥するので、反ることは少ないです。

以上のことをブログに書きましたが、数日前からその検証を始めてます。



粗めの土でやった結果では、ベタ敷きするとまったく反りがありません。
又、ケイカル板の上にベタ敷きした板も全く反りがありませんでした。
試しに、半板を重しとして上に置いたのも反りがありませんでしたが、
乾燥にかなりの時間を要しました。ケイカル板も、重しも今までに
やったことがありませんでしたが、反りを抑える効果がありました。

再度、粒度の細かい土でテスト中ですが同じ傾向が見られます。
なお、通例的になっている裏底に木ヘラでしのぎ(溝)を入れたもの
は、それほどまでに効果が感じられなかったのは思案どころです。

今回はベタ皿でテストしましたが、縁を立ち上げると反りやすくなります。
土の挙動はつかみづらいところがありますが、同じような傾向にあります。

また、反りの発生は、陶土の粒度や、厚み、サイズ、形など
でも変わってきますが、同じような傾向を現すでしょう。
ケイカル板の上で乾燥させるのは思った以上によかった。
小さなサイズのケイカル板を揃えるのもよいかもしれません。

一つ補足しますと、素焼きや本焼きで底切れすることがありますが、
ほぼ分からない程度に補修してあげてます。ほぼ補修ができます。

(追記) 
タタラの反りについては、再検証テストの結果を
11月9日のブログに総括しましたのでご参照下さい。 


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