陶芸教室 夢工房あすか

大分市内にある陶芸教室のブログです。
  大分市南春日町12の8
  電話 097‐545‐3581

ろくろを始める/2月の新作

2023-03-02 21:33:07 | 陶芸の基本 (ろくろ編)
  
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ろくろを始めたばかりの佐藤(恵)さんの作品。ぐい吞みです。
ろくろコースに入ると最初は左手親指で土取り (土寄せ) の練習をします。
まず土殺し (芯出し) の練習をして、
ある程度芯出しが出来るようになったら、
頂部を平らにして左手の親指を真ん中に押し込み
親指を手の平の方に動かして穴を広げます。2,3回ほど行います。
半筒型にします。それから、右手の親指と中指で胴体を挟み摘まみ上げて
荒挽きをします。次に両手の中指で胴体を挟んで薄く引上げながら形づくりをします。

左手の親指による土取りの練習です。第一段階です。
普段やることがない左手の親指の動かし方を練習します。
親指だけで土取りをして作った作品が次の 二つです。
土取りの量が少ないのでぐい吞みしか出来ませんが、
左手親指の動かし方を覚える必要があるのです。





2日目は右手の中指で土寄せをする練習過程に入ります。
左手の親指で半筒形に土寄せをしてから、次に右手の中指を真ん中に
押し込んで、穴を広げて少し大き目の半筒形にします。何回も中指で押し込んで
穴を広げて土取りをします。この土取りの量で作品のサイズが決まってきます。
ろくろ挽きした作品は、乾燥、素焼き、本焼きをすると 15%くらい縮みます。

左手の親指と右手の中指で土取りをしてから荒挽きをして、
それから両手の中指で胴体を薄く引き上げて仕上げたものが次の作品です。
土取りの量が足りないので小さな湯呑み程度しかできませんが、
中指で沢山土寄せができれば大きなサイズの湯呑みが出来るようになります。
まだ、2日目ですからこの程度です。これからです。
出来上がった作品は小さな作品ですが、白化粧泥で粉引きをしたり、
ドット模様を入れたり、笑顔マークを入れたり可愛く仕上げています!


 


尚、左手の薬指で土取りをしてから、バイ挽きと言って
平らなお皿状に広げてから半筒形に立ち上げるやり方もありますが、
プロでないと難しさがあるのでお勧めしてません。最初から半筒形にします。

ブログのカテゴリーの 「陶芸の基本」 シリーズで基本的な作り方を紹介しています。
拙著 『生活にうるおいを与える食器づくり』 の内容を要約して開示したものです。
次の記事は閲覧者が大変多くなっています。

 ■ ろくろの基本 / 菊練りのやり方
 ■ ろくろの基本 / 土殺し(芯出し)のやり方
 ■ ろくろの基本 / ろくろの挽き方
 ■ 手びねりの基本 / 玉づくりのやり方


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「陶芸の最も基本的な所から、
比較的細かいポイントに焦点を合わせて紹介してあるので、
かゆい所に手が届くといった感覚で非常に役に立ちます。
少し学んだ経験がある人でも改めて得るものがあるのでは。
作品集もどれも素敵ですね。」


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一度は読んでほしい、ためになる役に立つ陶芸の手引書です。
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急須の持ち方を知ってますか?/豆知識

2022-12-21 19:15:50 | 陶芸の基本 (ろくろ編)
 
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独身の部下に急須をあげたいと次男が言ってきた。
冬はお茶がいいと言ったら、急須がないと言われたらしい。
教室の納戸のなかを探してみたら、小さな急須が出てきた。


 


私が新宿の陶芸教室に通ってた頃に作った初期の作品だ。
可愛い急須だが、ゆうに一人分は入る。色調もよさそうだ。
若い者にはこれくらいでいいだろうと・・・。

ただ、急須の注ぎ口は細い方がいいのだがこれは太い。
さらに肝心な取り付け位置が少し低いではないか。注ぎ口は
蓋のかかり部よりも上になるように取り付けなければいけないのです。

急須づくりを始めた頃に
聞きかじりで作った作品なので未熟さが出ている。

それにしても、持ち手が短い、そして太い?
なぜこんな持ち手を作ったのだろう?? 未熟さ故か。
もやもやした気分で自問していたら、翌日にひょこっと思い出した。
今回のようなことでもなければ思い出すこともなかっただろう。

皆さん、正しい急須の持ち方を知ってますか。
通常は右手の手の平で持ち手を握って、左手を蓋に添えてお茶を注ぎますね。
正統な急須の持ち方は、持ち手を右手の人差し指と中指の間で
横から上下に挟んで、蓋を右手の親指で押さえて注ぐのです。



 


知らない人が多いのではないでしょうか。
多分、急須の正しい持ち方を知ってる人は殆んどいないのでは。
写真のように右手の二本の指で横から挟んで持つのが正しい急須の握り方なのです。
挟み方は、人差し指と中指を持ち手の奥まで差し入れると持ちやすいのですが、
二本の指の第一関節と第二関節の真ん中あたりで握ると上品にお茶を注げます。

制作した当時に、このようなことを耳にしたことがあったので、
最初は、持ち手(取っ手)を短くして作ってたのです。そして、
二本の指がフィットするように取っ手を捩じって作ったのです。
ただ、それ以降は持ち手を長くして作るようにしたので、
本来の急須の正しい握り方をすっかり忘れていました。

東京の老舗デパートの三越本店や高島屋日本橋店などの
茶道具売り場で聴けば、この正しい握り方を教えてくれるはずです。

この急須を若い独身の男性が使えるかなとも思ったのですが。
最初に正しい握り方を教えることも大事かなと思ったりしてるのです。
まあ、上司の支店長からもらう急須だから大事に使ってくれるでしょう。
急須の持ち方は、飲料会社の社員としても知っておいてもよい豆知識かも。
雪の多い寒い新潟だし、急須で温かいお茶を飲んで体を温めて仕事にも励んでもらおう。

もう一つ蘊蓄を、急須の蓋の置き方にも正しい向きがあるのです。
蓋の穴のある方を注ぎ口の方に向けて置くのが正しい置き方なのです。

茶葉が対流を起してお茶が美味しくなるのです。見た目もいいですね。

ちなみに、蓋のかかり部の作り方は、
常滑焼の急須づくりの名人の人間国宝の三代目の
山田常山さんの息子さんに直々に教えてもらったやり方なのです。
教えてくれる訳がないのですが、たまたま三越本店でご本人が急須の
個展とデモンストレーションをやっていたのです。じい~っと見ていたら、
陶芸をやってるのなら、もう一度やってみるからとそばに呼び寄せてくれて
再度見せてくれたのです。一瞬の技を頭の中に叩き込んだつもりでしたが、
実際にやってみたら全然思い出せなかった。試行錯誤していたらその内に
出来るようになりました。かかり部を内側に折り込んで作るやり方なのです。
息子さんも常滑の急須づくり四代目・山田常山を襲名しています。





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陶芸の基本/ろくろ実践編(その2)/連載14

2021-05-04 00:35:00 | 陶芸の基本 (ろくろ編)
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 ■ 陶芸の基本/ろくろ実践編(その2)

前回の 「ろくろ実践編」 の続きです。
ろくろが上達してくると大鉢なども制作します。
華道を習っている木本さんは池坊の華道展用に大鉢の花器をろくろ挽き。











 ※ 後方のプチな花器も木本さんのろくろ作品。

 素焼きした作品に霧吹きで釉掛け。





この花器にお花を生けて 「池坊の華道展」 に出品。
映えますね! お花とのバランスもグー。いいですね!

 
 



「手びねりと電動ろくろの基本編」 を 14回にわたって連載しました。陶芸の技法編はこれで終了しますが、暫らく休憩してから「陶芸の用具」 についても紹介したいと思っています。ケイカル板など参考になる用具類を紹介します。ご期待下さい。

 (パソコンの調子が悪くなってきた?? ちょっと心配だ ・・・ )


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陶芸の基本/ろくろ実践編(その1)/連載13

2021-05-02 09:20:30 | 陶芸の基本 (ろくろ編)
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 ■ 陶芸の基本/ろくろ実践編

「陶芸の基本/ろくろ編」 を 5回にわたって連載しました。多くの方に読んでいただいて参考にしてほしいと思っていますが、ブログへの訪問者が数ヶ月ほど前から半減しています。どうしたんでしょうね? 私のブログに限ったことではなく全般的な傾向のようですが、コロナに引きずられているのでしょうか。重苦しい気持ちになりますが、そんな気持ちは発散させて、明るくあかるく、笑顔でいたいものです。

今日は、ろくろ編の締め括りとして生徒さんの作陶の様子と作品を参考にアップしましょう。この作陶の風景や作品なども皆さんの刺激になれば嬉しいです。皆さんも陶芸に取り組んでみませんか。陶芸を学んでみませんか。ものを作る楽しさを経験してほしい。継続することによって生活にもメリハリがつき、生活がいっそう充実した愉しいものになりますよ!~!

生徒さんの作陶時の様子はほとんど撮影してないのですが少しありました。2回にわたってその一部をアップしましょう。木本さんの作陶の様子とその作品です。 木本さんは教室の最初の生徒さんの真紀ちゃんの友達です。長く教室通っていましたが、3,4年前に結婚してから休んでいます。センスのよい生徒さんでした。手びねりでも素敵な作品を沢山作っています。 近い内に “作品回顧展” にも登場します。

1.ロクロを始める!
木本さんが最初にロクロ挽きした時のゆがんだ器。



ゆがみを上手に生かしてアート的なコーヒーカップに仕上げてます。記念にもなりますね。

2.慣れてくると、自在に!
こんな素敵なマグカップなども作ってます。

 

 

3.経験を積んでからは、大鉢も!
華道展に出品する為に大鉢花器をロクロ挽き。これは次回にアップしましよう。大きく羽ばたきます。愛称はトントンです。智子さんです。みんなに親しまれていました。


 

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陶芸の基本(ろくろ編)/土殺し(芯出し)のやり方/連載 12

2021-04-30 08:11:33 | 陶芸の基本 (ろくろ編)
 
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  陶芸の基本/ろくろ編 「土殺し (芯出し) 」 のやり方
  (元祖陶芸?! 目から鱗が落ちる!)


手びねりや電動ろくろの基本について理に叶った解説をしている参考書は殆どありません。掲載されてる作品などは素敵ですが、内容は写真やイラストの説明をしているだけで、やり方についても何故そうするのかと言うことも書かれていないのです。恐らく修行や独学などで身に付けたものなのでしょう。最近は陶芸の入門書自体が減ってきています。役に立たないからなのです。

You Tube なども以前は陶工さんの動画もあったので、それなりに参考になるものもありましたが、最近は誰でも You Tube 動画を出せるようになったせいか、独りよがりなお粗末な恥ずかしいものが多い。どんな動画かと一度は覗いて見ますが、二度と見る気がしないと言うか目をつぶりたくなるような動画です。ひどいものです。海外の人などが多く見てるようなので恥ずかしさを感じます。陶芸を知らない人がみたら迷路に入り込むでしょう。ますます陶芸離れが進むのではないかと危惧しています。

そんなこともあり自費出版で陶芸の本を上梓しましたが、陶芸の基本を広く知ってもらうためにブログでも開示することにしました。

「手びねりの基本」 については 7回にわたり解説しましたが、引き続き 「電動ろくろの基本」 についても連載して解説をします。

電動ろくろ編では、最初に 「ろくろのやり方、挽き方」 を掲載し、次に 「菊練り」 のやり方を開示しましたが、今回は 「土殺しのやり方」 を開示します。目から鱗が落ちるでしょう。これで電動ろくろがスムーズに出来るようになります。

内容は、私が学んできたことや、15年間にわたって教室で教えてきた陶芸の基本の基です。それは作陶の基礎になることです。ベーシックなオーソドックスな陶芸を学んでほしい。理に叶った手法を伝えて行きたいと思っています。陶芸への最後のご奉公だと思っています。そして、陶芸ブームが再来し、正道な道が開かれて行くよう願っています。

今回の 「土殺し (芯出し)」 と前回掲載した 「菊練り」 が出来ないと、ろくろ挽きは出来ません。この二つは最初は少し難しく感じますが、理にそったやり方をすれば短期間で出来るようになります。「菊練り」 や 「土殺し (芯出し)」 を文章で説明するのは難しいことですが、具体的に解かりやすく解説します。理に叶ったやり方でないと文章には書けません。作陶写真はろくろを始めて 3回目の桐木さんです。2.3㎏ の陶土で行っています。尚、陶芸では芯出しをすることを 「土殺し (つちごろし) 」 と言います。

 ■ 土殺し (芯出し) の仕方

土殺し・芯出しは、陶土を正円(真円)の形に整えて中心を出す為に行います。電動ろくろは回転によって成形するので、左右対称の正円形 (真円形) にしないと成形が出来ないのです。これから論理的に具体的に解説をします。電動ろくろの回転は “時計回りの右回転” とします。

1.菊練りした陶土をろくろ盤の上に置きます。
2.両手で陶土を叩いて形を整えます。( 最下部を左手中指で締めます)



3.次に、左手の手の平に水を付けて陶土の頂部から全面を濡らします。
4.右手の手の平も陶土の右側面に当てておきます。ろくろを回しながら行います。
5.陶土の全面に水が行き渡るように両手の平の平で馴染ませます。すべりをよくします。2~3回ほど行います。
  
さあ、これから 「土殺し・芯出し」 です。延べ上げをします。

6.陶土を両手の手の平で挟みます。
7.両手の手の平で陶土を挟んで上に延ばします。ここからが肝心です。
8.まず、“右手の肘” を “右足の太もも” の上に置きます。そして、“右手の手の平” を陶土の下にあてます。時計盤の “4時” のあたりにあてます。
9.次に、左手を右手の向かい側に添えます。時計盤の “10時” のあたりです。
10.右手を4時、左手を10時の位置で陶土を挟みます。これからが本番です。両手にグッと力を入れて陶土を挟み込みます。




11. “右足の太もも” と “右肘” に力を入れて、両手の手の平で陶土を挟み込みます。
12. “右手の小指の手根部 (つけ根) ” のラインで陶土を押し込みます。両手の “小指” のラインで陶土を挟み込むと陶土が上に延びてきます。(ここが一番難しいところです。何回もトライしましょう)
13.グ~ッと満身の力を込めて両手で挟み込みます。右足の太ももで押します。小指のラインが少しずつ凹んできます。
14.凹んできたら、挟む力を緩めずに両手を少しずつ上にあげます。陶土が上に伸びます。延びて行く陶土を追っかけるように両手を上げるのです。





15.なかなか上に延びませんません。何度もトライしましょう。力をいれます。
16.その内に陶土が上に延びてきます。両手で挟んだまま少しずつ両手を上げます。
17.陶土が延びて高く細長になります。左手は右手の手の平へ納まるようにします。
18.陶土が上に少し延びます。少し延びたら再度、両手を下にあててさらに細く高く延ばします。
19.細く延びるまで繰り返し行います。少し慣れてくると 3、4回ほどで陶土が元の1.5~2倍くらいの高さまで高くなります。(これを延べ上げと言います)

次は 「延べ下げ」 です。これは楽に出来ます。

20.上に細長く延べ上げたら、今度は延びた陶土を元の砲弾型 (釣鐘型) に戻します。(これを延べ下げと言います)
21.陶土を下げるときは、 “右手の手の平” を陶土の上部の “側面” にあてて握ります。
22.右手の親指は 親指の “指紋部か第一関節部” を陶土の頂部に置きます。
23.“左手” は、右手の向かい側の面の下部に置きます。回転したまま行います。
24.両手を上と下にあてたら、右手の手の平で陶土を 11時の方向に押して倒します。弓なりになります。そうすると陶土が自然にスルスルっと下へさがります。下げるのは簡単です。
  (写真はろくろを始めて3回目の生徒さんです。右手の手の平は、写真の位置よりももう少し下に置いて前に倒しましょう)





25.元の砲弾型に戻ったら、また延べ上げを始めます。何度も同じことを繰り返します。
26.何度も上げたり下げたりを繰り返していると、両手のブレが止まります。陶土の芯が出たのです。陶土が左右対称の正円形(真円形)の円錐になったのです。土殺しの終了です。

最初は両手、両腕が左右にぶれます。両手のブレがなくなるまで行います。何度も行って下さい。要領がつかめるようになります。要領がつかめると 3、4回ほど上げ下げして芯出しが出来るようになります。慣れてくると2回ほどで芯出しが出来ます。


 ★ ポイント (目から鱗が落ちる) は、

次に、どこにも書いないことを書きます。聞いたこともないと思います。目から鱗が落ちます。細かなポイントです。コツが解かります。理にそったやり方をすれば無駄な時を費やすことなく短期間で修得できます。拙著 『生活にうるおいを与える食器づくり』 にはこのキーポイントが詳述されています。

1.土殺しは力が必要です。両手で陶土を挟んで押し込む時は、“右足の太もも” で “右腕” を押します。そして、陶土がズレないように左手で受けて止めるます。「右足の “太もも” と “肘” 」 に全神経を集中させて行って下さい。力がない人でも出来るようになります。右手を右足の太ももで 10時の方へ押して、向かい側を左手で受けて、土殺しを行うと容易に出来ます。プロの人たちは、真横から両手で陶土を挟んで土殺しをする人たちが多いですが、腕力がないと大変です。尚、右肘を右の太ももにつけるのは土殺しの時だけです。左肘はももにつけません。左脇を少し締めるようにします。

2.最初の段階では、陶土を挟んで上げていると、途中で上の断面が破断されることがあります。細くなってくると両手で挟んでる箇所が止まってしまうのです。下の部分だけが回って切断されるのです。切断された土玉は切り離します。土玉が何個も出来ることがあります。誰でも経験することです。上に行くにしたがって陶土が細くなるので、挟む力も徐々に緩めてやらなければなりません。中間部くらいきたら挟む力を緩めましょう。右肘も右足の太ももから徐々に離します。

3.土殺し ・芯出しは、陶土を 「芯から上げ、芯から下ろす」のです。これが基本です。両手で挟み付けると、陶土に求心力が働いて土が中心から上に延びて行くのです。火山が噴火するようなイメージです。尚、回転が遅いと求心力が発生しませんので、土殺しの時は回転を速くしましょう。

4.延べ上げした時に頂部にクレーター状の凹みが出来ることがあります。表面の土しか上がってないからです。陶土を挟み時は、挟み込まれた陶土が中心から火山を噴火させるようなイメージで力をいれて挟み込んで下さい。頂部に凹みが出来なくなればOKです。菊練りの良否を判定する目安になります。陶土を芯から上げて芯から下ろさなければいけません。これが一番大事なことです。

尚、クレーター状の凹みができた時は、空洞が出来るので、すぐに右手の手の平の手根部(つけ根)で中心に向かって押し込んで平らな面にして下さい。

5,土を延べ下げするときは、陶土を 「11時の方向」 に前に押し倒します。弓なりに傾けます。そして、弓なりになった所を回さないように、首振りを止めてあければよいのです。自然に下がります。遠心力が求心力に変わるのです。回転していると遠心力が働きます。曲げた所が遠心力で首振りを始めます。この首振りを止めてあげると求心力が働き陶土が中心から吸い込まれるように下がって行くのです。「遠心力を求心力に入れ替え」 ればよいのです。下向きに押さえつけてはいけません。

試しに、自分の首を傾けて回してみましょう。そして、それを右手で止めてみて下さい。力が首にかかるのが解かりますね。“遠心力” が “求心力” に変わったのです。回転力が首に移動したのです。

延べ下げの時も、弓なりに傾けた陶土が回転するのを止めてあげれば、陶土が自然に下がるのです。中心から巻き込まれるのです。こう言うことは何処にも書いてありません。聞いたこともないと思います。見よう見まねで慣れで覚えてきている世界なので理屈を知らないのです。全てに理屈があるのです。論理的に理に叶ったやり方を行えば短期間で出来るようになります。理にそった陶芸を行いましょう。

ちなみに、陶土を手前に倒し傾けて回るのを止めてあげても陶土は自然に下がります。欧米の陶芸家は手前に引いて傾けて下げています。陶土を手前に引いて傾けて首振りを止めるか、前方に押して傾けて首振りを止めるかの違いだけなのです。日本人と欧米人の違いでしょう。また、欧米人は左回転でロクロ挽きをしています。

このポイントを理解していれば誰でもすぐに、土殺し・芯出しが出来るようになります。コツが掴めます。

6.菊練り、土殺し・芯出し、 ロクロ挽きも、女性は 2㎏、男性は 2.5㎏くらいの陶土の量で行うとよいでしょう。芯出し後に数挽きする時もこれくらいの量が適量です。そして、軟らか目の土で行うと楽に出来ます。軟らかさは “耳たぶ” くらいの加減です。

「菊練り」 や 「土殺し」 、そして 「ろくろ挽き」 も、毎日やっていればどんなやり方をしても出来るようになります。しかし、それはその人にしか出来ない自己流のやり方です。我流でしかありません。汎用性がないのです。

誰でもが同じように出来るようにするには、理に叶ったやり方をやらなければなりません。今回ブログに開示したことは、特段に難しいことではありませんが、作陶のコツとも言えるキーポイントなのです。この基本のキが開示されたことによって、陶芸がより広く普及し、身近なものとして浸透することを期待しています。これからは誤解を招くような、陶芸の参考書や、ブログ、そして You Tube 動画も少なくなるでしょう。

電動ろくろは機械です。機械で作るのがろくろです。ただ、機械まかせにせずに人の手で作るようにしましょう。基本を知ってこそ、温かみのある手づくりの陶芸作品が出来上がります。

以上で、電動ろくろが挽けるようになります。今回の連載では説明の順序を逆にしましたが、前々回の 「ろくろの挽き方」 を再度読み返して電動ろくろと向き合って下さい。すぐにろくろ挽きが出来るようになりますよ。



今回も長くなったので 2回に分けて掲載しようかと思いましたが、一気にアップしました。これを書くのも大変でした。ちょっと疲れたかな ・・・ 。最近はコロナの影響でしょうか? ブログへの訪問者数が半減していますが、この連載シリーズを多くの人に読んでもらえると嬉しいですね。目から鱗が落ちたでしょう。お役に立てたでしょう。


 <追記>
「菊練りの仕方」と 「土殺しの仕方」 の記事は、閲覧者が大変多くなりましたので
「陶芸の基本 (ろくろ編) 」 の連載シリーズを一覧表にまとめて下記しましょう。
 ※ 下線の個所をクリックすると直ぐに見れます。

  ⑧ ろくろ挽きの基本
  ⑨ ろくろ挽きについて

  ⑩ ろくろの挽き方
  ⑪ 菊練りの仕方
  ⑫ 土殺し(芯出し)の仕方

  ⑬ ろくろ実践編(その1)
  ⑭ ろくろ実践編(その2)

初心者の方は、「⑪ 菊練りの仕方⇒ ⑫ 土殺しの仕方 ⇒ ⑩ ろくろの挽き方」 の順に読んでいただくと、ろくろ挽きが直ぐに出来るようになります。上達も早いです。理に叶った正しいことを学び、正しいことを行い、正しいことを伝えて行きましょう。尚、詳細は拙著 『生活にうるおいを与える食器づくり』 に記載しています。



 <特記(2022年2月)>
「土殺し (つちごろし) 」 と言う呼称は陶芸の慣用語ですが、このブログではハッシュタグに使えないので、この記事をヤフーなどの 『土殺し』 の検索ページにアップすることが出来ません (Gooブログに改正を申し出中)。この記事にヒットされた方は幸運です。この 「土殺し」 の記事は必読必見です! 理に叶ったやり方を覚えましょう。陶芸の基本をブログにも開示しています。



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大分市内にある数少ない 陶芸教室 「夢工房あすか」 です。
意外にも近くにあるのに気付かない人たちが多いですが、
下記の教室案内をクリックしてご覧下さい。
陶芸を基礎からコツコツと学ぼ~う。
電動ろくろもスムーズに習得できます。



こういう本があるといい。こういう本が欲しかった。
アマゾンの陶芸ベストセラーでNo.1 にランクされたこともある実用書。
アマゾンへは、こちら をクリック。定価は1,400円です。
リユース本には、5,000円のプレミアムも付いてます!!

<補足> アマゾンで通信販売をしてる時に、クチコミに
嬉しいコメントをいただいていますので記載させていただきます。

「陶芸の最も基本的な所から、
比較的細かいポイントに焦点を合わせて紹介してあるので、
かゆい所に手が届くといった感覚で非常に役に立ちます。
少し学んだ経験がある人でも改めて得るものがあるのでは。
作品集もどれも素敵ですね。」


どなたか存じ上げませんが、ありがとうございます! 


≪陶芸の基本シリーズ連載記念の特典≫
自費出版した 『生活にうるおいを与える食器づくり』 の
改訂版は完売しましたが、改訂前の初版が少し残っています。
ほしい方がおられましたらお分けします。

定価は @1,400円ですが、硬貨だとかさばるので、
お札で、送料込みで @1,000円としました。
初版ですが、ページ数は改訂版と変わりません。


※ 令和 2年1月16日から
「いいね」 などの表示ボタンをアップしてみました。
下のどれをクリックしてもブログ画面は変わりませんが、
Goo ブロガー以外の方は、ログインが必要になるようです。
誰でもオープンに参加できると、いいんですけどね ・・・。

又、「いいね」 ボタンなどをポチッとしていただいた後に、
「陶芸のランキングバナー」 もクリックしていただけると深々と
最敬礼です!! 他の陶芸ブログも参考になると思いますよ。

 
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