夜汽車

夜更けの妄想が車窓を過ぎる

ギターについ考えていた頃の記事1

2017年05月02日 23時02分47秒 | 日記

 ギター調弦でアルベニス作曲のグラナダを演奏できる人は少ないと思う。EからBのセーハで左指が疲れてしまって続けられない。だから殆どのギターは楽器として失格だと思う。どんなに有名な製作家の作品でも私がこの曲をギター調弦で演奏できなければその楽器は私にとって価値がない。そういうわけで今持っているギターはみな価値がない、或いは編曲が不味い。弾けない編曲を平気で市場に出す無神経厚かましさは我々を小バカにしているのか。
 でもこの美しい曲をつまらない楽器や自分で弾けもしない編曲を出版する横着さで埋もれさせるのは勿体無いと私は頭を捻った。そして思い着いたのがリュート調弦。3コースをF#にするとこの難曲が案外あっさりと弾けるようになる。しかしここでまた問題が発生する。フレッティングの不正確な楽器はたちまち馬脚をあらわすのだ。理由は簡単、5F,7F,9F等のセーハで中指、小指が4,3コースを跳ね回って旋律を演奏するようになり、人さし指が和音を支える。音程のなっていない楽器はすぐに分かるが、どう分かるかと言うと演奏に何となく興が乗らない、と言う形で出てくる。和音が微妙にずれるのだ。さらに、殆どの楽器の7F以上、特に3、4コースは歌わない。ギター製作家のコンクールがあるらしいが下らない工芸的出来など云々せずにギター調弦とリュート調弦の両方で演奏して楽器として成立するかどうかを見ればいい。凝ったモザイク、奇をてらう口輪、ヘッドの彫刻造型など幼稚且つ素人騙しの無用の長物。音程はどの調のどの和音でも正確か?
 バイオリン族のただ一つの装飾は糸ぐらの巻き毛の彫刻である。ギターから一切の装飾が無くなった時がこの楽器が本当に楽器であっておもちゃでなくなる時である。


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