夜汽車

夜更けの妄想が車窓を過ぎる

もし男が夢を食わなかったら

2012年08月14日 06時34分10秒 | 日記
 世の中には”しっかりと現実を見据えて”生きる男が”成熟した大人の男”、”頼りがいのある”男、との見方があり常識でもある。これに異議を唱える者はまずもって居ない。異議を唱える者は変人かいつまでも”大人になりきれない、ショーもない”男、とされる。
 私は異議を唱える。これほどつまらない、退屈な男も居ないし男本来の存在意義を放棄してまで”生存”に汲々とするくだらない存在である。それに頼る女が居るとしたらこれまたつまらない女である。
 シュリーマンは叙事詩オデュッセイを耽読した結果”あそこにはトロイの遺跡が埋まっている!”とその発掘を夢見た。人々はこれを聴いて”バカのフウケの・・・フウケとは肥前方言で、普化僧がその言葉の起こり、つまり遊行乞食坊主同然の意・・・言い、夢を喰うアホンダラ呼ばわりした。ところが・・・いざ掘ってみると”世紀の大発見!!”だった。こうして単なる伝説が現実の歴史に復活して人類史に新たな観点が整えられた。
 トーマス・エジソンはアルバイトで雇われていた貨物列車の中で実験をやって火事を出し、真夜中の線路に放り出された。しかしこのバカモノ少年が居たから人類は電灯や蓄音機の恩恵にあずかった。
 スウェン・ヘディンはタクラ・マカンと言う過酷な砂漠を半死の状態でさまよって有名なロプ・ノールを発見、そしてそれが『さまよえる湖』であることを確認、また『楼蘭』の遺跡を発見した。
 トール・ハイエルダールは南米チリからバルサ材の筏に乗って南太平洋に船出し、海流に乗ればポリネシア諸島に漂着することを証明した。
 男が夢を見、夢を追い続けたから世の中は新しいものを享受でき、新しい観点が開けて”進歩”があった。”カネを稼ぐ”ことに汲々とし、小心翼翼と暮らす男は男の勲章を捨ててしまった抜け殻である。
 政治家、芸術家、軍人、起業家、探検家、登山家、庭師、全てその本質は『夢追う人』である。男は元々そのように創られているのだ。ただこの特質がいびつに発揮されると博打うちや女を探求するものになったり詐欺師山師の類になったりするからそこは用心しなければならない。
 ”夢みたいなことばかり考えていつまでも大人になりきれない”と我が子を嘆くバカ親や”アイツは夢を食っているバクと言う生き物だ一生をそれで棒に振る愚か者”などと評価するあなた、あなたは『男』が解っていない。
 

 
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