歌人の中で尊敬している塚本邦雄の御子息の塚本青史氏の書いた「わが父 塚本邦雄」を昨年、図書館で借りてきました。大抵の歌人は歌を読めば、生き方は推察できるので、伝記を読む必要はないのですが、この歌人だけは一体どうい人生だったのかといたく興味が湧くからです。青史氏も文学賞を複数獲得し、文才もあります。
短歌に難解な漢字を多用しておられる理由は、小学生の時から漢和辞典を暗記されていたかららしいし。有名歌人が多数登場し、付き合い方も愉快です。例えば早世した寺山修司が自宅へ遊びに来た時、邦雄は息子の青史氏に、挨拶に出て来いと促されます。青史氏は、「今風呂から出て上半身が裸やから」と言うと、寺山は「それじゃ、下半身も裸になっておいで」と言ったとか。
出生届のとき、戸籍係に「清史のさんずいが抜けているのではないですか」と言われ、邦雄は、「青史だ、喧しい、その節穴のような目をしたお前に何が解るのか」と啖呵をきったとか・・・こういう方も晩年には認知症の症状が現れ、驚きました。
東京にいた30年前、彼の「緑色研究」という歌集を見るため、国会図書館に行きました。ポケットのある上着を脱がされて寒かったことを思い出します。285頁。
