月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

助手席のはなし

2011年05月27日 22時24分11秒 | ふうわりふわり(坊守日記)

ご院さんとふたりで出かける時、わたしはいつも助手席に座ります。

そして、必ずといっていいほど・・・眠ってしまいます。

今日も1時間程の道のりのうち、45分間眠っていました。

どうやらその寝方がハンパじゃないそうです。

「首が折れるんじゃないか」とご院さんが心配するほど、がっくん、がっくん・・・

時折、ゴンッ!と助手席の窓に頭を強打しては、「ガラス割れてない?」とご院さんに苦笑されるのです。

 

せっかくのふたりきりの時間、ゆっくりおしゃべりもできそうなのに・・・

やっぱり眠ってしまいました。

少し遠くへ出かけるときには、必ず「寝とっていいよ」と言ってくださるから・・・というのもあるでしょうが

たぶん、安心できる空間だからでしょう。

ご院さんの運転は、とってもとっても心地よいのです。

(たしか、初めてのドライブでもうとうとっと眠ってしまったような・・・)

 

何の心配もなく目的地へと連れて行ってくださる・・・

わたしにとっては、阿弥陀さまの“弘誓のふね”に匹敵するくらい乗り心地のよい“ご院さんの助手席”です。


住職連呼

2011年05月27日 21時09分57秒 | 仏々相念(住職日記)

伽をしてくださいます・・・

 

「お幾つになられたですか?」「95になります。」

身体の調子を崩されたので8月にお約束していたご縁を早められお勤めなされました。

病院に入院されているのですが、痛み止めを打ち外出許可を受けての御帰宅でした。

 

話しの好きなお方で、ご縁をいただきお会いしますとず~っと話し相手になってくださっていました。

お悪くされたと聞いていたのでどんなになっているのか案じていましたが、

ベットに横になっておられるもののいつものように話しかけてくださいます、

「住職さん・・・住職さん・・・」

40過ぎのぺーぺーに95歳の大先輩が優しく語りかけてくださいます。

 

仏間の次の間にベットを置かれ横になったままお参りができるようにされています。

お勤めの間、「なまんだぶ なまんだぶ・・・」とお念仏申される声を聞かせていただきます。

有難いな~・・・

今日のご縁であります、懐かしい奥様の声が聞こえてきそうでした、

「お爺さん、安心して下さい。ここにいますから・・・一緒にいますから・・・」

 

「住職さん、簡単に消えそうでなかなか消えません・・・

世の中には若い方が早くにお亡くなりになることを聞きます。それに比べ私みたいな早く死んでもいいものが残っています。」

早く死んでもいい命なんてありません。

でも、年を重ねながら下のものが亡くなっていくことの辛さはたまりません。

出来ることなら代わってやりたい・・・この方もそんな切ないひと時を乗り越えてこられました。

 

「もう十分生かさせていただきました・・・」

そうおっしゃる周りには、息子さん・娘さん・お嫁さん・お孫さん・・・

皆さんが優しく支えて下さっておられ優しい空気に包まれるようでした。

 

さぁ、お互いに今生の命生き抜いて力無くして終わるときにはお浄土に参らせていただきましょうね!

お浄土にお参りさせていただきますとそこにフンズリ返ることができません、

急ぎ還ってきて喚び続けてくださいます。

私もお念仏申させていただきながら、「大丈夫、大丈夫」って聞かせていただいたことです。

 

いいひと時をありがとうございました。