なぜ・・・
「ご院さん、これ見て下さい。」
出してくださったのは記念文集。
お孫さんの作文が掲載されていました。
「すごいですね~」
御往生されて一年が来ます。
大好きなお爺ちゃんを思い書かれた文は光景が目に浮かぶようでした。
坊っちゃんスタジアムで行われたヤクルトのゲームを観戦した時のこと。
大好きなヤクルトを応援して勝って嬉しかったこと。
そして、今も歩いているお爺ちゃんと散歩した道のこと。
「癌」という大変な病になり、
「なぜ、お爺ちゃんが・・・」そう思っていた。
亡くなったことを聞き駆け付けたお爺ちゃんの部屋、
今にも起きそうな顔がそこにある。
小学4年の少女は、小さき胸でいっぱい思うことがあったのでしょう。
それを読ませていただきながらフッと思ったのは義父のこと。
娘は5年生でした。
感受性の強い娘でしたので沢山泣いていました。
こちらでは教えてやれないようなことをいろいろ教えてくれた義父。
義父にとっても初孫でしたのでそれはそれは大切にしてくれたことです。
「もうすぐ中学生だのう・・・
中学校になったらはがき通信を送らんといかんのう・・・
〇〇や、中学生になったらいろんなことがあるぞ!
楽しいこと、辛いこと、沢山あるがな…〇〇、
願生れよ!
ジイも願生るからな・・・」
入院されて家族で見舞いに行った時の何気ない会話でした。
この何気ない会話の中に、「やっぱり・・・!」って頷くコイツがそこにいたことです。
ガンバるんです!
でも、そこでつぶやかれた義父の「ガンバル」とは、
「頑張る」ではなく「願生る」と聞こえたのです・・・コイツには。
一人ぼっちじゃないんだぞ、
阿弥陀さまがず~っと支えとって下さるから大切に生き抜くんだぞ。
そう感じたのです。
有難いひと時でした。
今は一人ぼっちで歩く散歩道。
でも、ふっと気付く時があるのでしょう。
稲が実れば稲の香りが・・・
蓮華が咲けば蓮華の香りが・・・
一緒にいてくれたことに気付くのです。
あ~、お爺ちゃんと一緒に歩いていたよな~
寂しいけれど寂しくない。
今も一緒にいてくださる、
ず~っとず~っと抱きしめていてくださる。
大切に生き抜いてくれよって共に歩んでくださる願いの中に生かさせていただこう!