増田俊男氏はマスコミの犠牲になったが、語るところは一貫性がある。!!
増田ワールドは、資本の意思を読み解くところから来ている。その意味では、当代随一の経済予測家であると自他とも認める存在であることは間違いない。私自身、氏の『時事直言』は10年近く愛読してきたし、講演会も拝聴した。著書も拝見した。
先般氏の『投資疑惑報道』が流れたが、真相を知るべき立場ではない。が、それに対する氏の反論はhttp://www.chokugen.com/の第450緊急号(2008年01月25日号)に詳しいので、双方を読み比べてみて判断する他はない。識別の初歩は、一方的情報もって判断しないことにある。いわゆる主尋問と反対尋問が無くて、証拠採用することはあり得ない事と同理である。
経済といえども、理論が先にありきでは決してない。人間が先にありきである。理論は、すべて後付である。さもなければ、誘導の為の理論が造られる。理論誘導である。これでは実相が分からない。氏は、経済を資本と意思と称して、その観点で見る。資本の意思というのは、当然、資本家の意思である。資本を駆使する人間の意思のことであって、現在の世界経済にあっては、畢竟、ロックフェラーや国際金融資本家をおいてない。それを氏は米国の真のオーナーと呼んでいる。これは正しい。氏はオーナーの意思を読み、経済を説く。故に、ことのほか正鵠を射る。この点において、氏の主張は今も昔も一貫しており、まやかしは無い。
現在の経済は、いやが上にもこれを主流としており、抗うすべがなきがごとくであるから、氏の主張はほとんど正確である。この中において、日本の為すべき事も氏の主張には傾聴に値することが多くある。いずれ自明の論理(ここで言うのは、大自然の法則)で、現代の資本主義経済が崩壊するとしても、現在、その中にあって如何に処すべきかと言うことは別であって、氏の主張は現実的対応としては優れものである。
自動車は危ない、事故は避けられないとしても、運転中は最大限慎重な運転を要する。と、同じである。やがて、決して事故らない乗り物も登場するであろうが、それは先のことである。又、それは必ず登場する。
その意味で、早とちりをした『投資疑惑報道』の記者に心情的抗議を込めて氏の最新『時事直言』を転載する。
尚、『ペンは剣よりも強い。』のは、『ペンは使い方によっては、剣より怖い。』というのが正解である。ちなみに『女は、男より強い。』 のは、『女は扱い方によっては、男より怖い。』と言うことに似ている。(ジョークm(_ _)m)
【転載開始】「福田首相にモノ申す」
The Great Depression(大恐慌)寸前のアメリカ経済
2 月18日号(No. 454)は「バーナンキ(米FRB議長)にモノ申す」という題で議長の米経済認識、FRBのManifest Destiny(何が何でもしなくてはならない使命)、金融・財政政策発動のタイミング、迫り来るThe Great Depression(1929年型の大恐慌)のリスクについて述べた。今アメリカの経済危機を救えるのは日本しかないと考える。だから福田首相の責任は 重大であり、与党にそのことを認識してもらいたいと願っている。もし日本がアメリカ経済救済に動かなければ、アメリカにとっての選択は「国際戦争」しかな くなる。
さて、福田首相をはじめ日本の政策担当責任者にアメリカ経済救済提言をする前に、アメリカ自身としては戦争以外に救いようがなくなっているアメリカ経済危機をもう一度認識していただきたいと思う。
先 ず、今回のアメリカのサブプライム問題に端を発した世界的信用収縮と資産バブルの崩壊は複合的に担保し合った金融商品がレバレッジを重ね、まさにピラミッ ド化しながら世界中に拡散した結果である。したがってサブプライム問題の発端地のFRBでさえ信用・資産収縮の規模と範囲を把握できないでいる。中央銀行 さえ知り得ない資産バブル崩壊の実態を知るには、かつてのPaul Volcker(ボルカー)のように、手を打つ前に「放置」して市場に答えを求めればいい。つまり、地価も株価も落ちるところまで放置して自律調整作用が 働き始めるまで待つ戦略である。患者の風邪が治るかどうかわからないのに最後のアスピリンを飲ませる医者はやぶ医者である。その意味ではバーナンキFRB 議長はやぶ医者といわれても仕方がない。今アメリカでインフレが加速している中、景気重視でFRBがさらなる利下げを続ければハイパーインフレは必至だろ う。景気後退がインフレにブレーキを掛けるというバーナンキの期待は間違っている。先の見えないEquity market(株式市場)から債券や商品市場に資金が移動するから商品価格は上昇して結果消費者物価を押し上げる。FRBの期待に反してアメリカ経済はい まやStagflation(不況とハイパーインフレ)に陥ろうとしている。
「日本がアメリカと世界を救う」(徳間書店)
内 需拡大後の、資産バブル崩壊で不況のドン底にあるアメリカ経済が成長に向かうことができる唯一の機会は利下げによるドル安を梃子に外需拡大、外需依存型経 済の推進のみである。同盟国日本の役割は内需拡大を促進しアメリカ経済が目指す外需依存戦略に迎合することである。日本が内需拡大型景気政策を推進するこ とは、今まで国民に実感が持てなかったバランスシート上の景気を国民実感型景気に切り替えることにもなる。
今、 福田首相がアメリカのため、世界のため、結果日本国民のためになすべきことは、思い切った財政出動、公共投資である。極度な予算きりつめ型の消極的財政健 全化戦略から一挙に積極的財政健全化政策、すなわち果敢でタイムリーな公共投資で民需拡大、内需拡大で歳入増をはかる方向に舵を切り替えるべきである。ア メリカの政治がウルトラCの国際戦争に走る前に日本が積極財政に切り替えることを世界に宣言すれば、国際資金が商品市場から日本のEquity market(株式市場)へ殺到するだろう。株高、資産高で日本の銀行も動きやすくなり不動産市場も活性化する。「オールドファッション識者」の話を聞く のはいい加減にして、ここらでアメリカのため、世界のため、わが国民のため、福田首相の大英断を期待したい。【転載終了】