草むしりしながら

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芋名月

2023-09-19 02:47:00 | 草むしりの幼年時代

芋名月

 秋は月がきれいですね。中秋の名月と言われる満月は、別命芋名月とも言われるそうですね。ススキや団子と一緒に里芋の新芋を供えるそうです。思い浮かべてください。満月に里芋。絵になりますね。

 しかし教養もないし風流も解さない私などは、芋と聞くとさつま芋の方を思い浮かべてしまいます。名月にさつま芋?クスッと笑ってしまいますね。

 

 今日は芋名月にちなんだ、とっておきの草むしりの幼年時代の話をしましょう。

 

 私の父は子煩悩な人で、寝る前にはよく昔ばなしをしてくれました。この話はある満月の晩に、父が話してくれたことです。

 十五夜お月さんの晩にはね、夜中に海からタコ(蛸)があがってきて、畑のイモを掘っていくんだよ。だからその日はみんな早く寝て、夜中に外に出ていたりしてはいけないんだよ。蛸が芋を掘れなくなるからね。という話でした。

 蛸が芋を掘るなんて。考えただけでも笑ってしまいますね。芋畑に行って蛸が芋を掘るのを見てみたいと思ったのですが、芋畑に行っては決して行ってはいけないと言われて、おとなしく寝たのを覚えています。

 蛸が掘る芋もきっとさつま芋だと、その時私は思いました。満月の晩さつま芋を抱えて海に逃げ込む蛸の姿を、想像しただけで笑ってしまいますね。

 ところがこの話には続きがありました。かれこれ二十数年前に地元の漁師さんから聞いた話です。満月の晩蛸が芋を掘るところまでは一緒でしたが、その後がちがいます。

 その晩夜中に子どもたちだけで、よその畑に芋を盗みに行ったというのです。満月の晩の芋盗人の犯人は蛸なのだから、見つかっても蛸の真似をすれば怒られないのだとか。そんな馬鹿な!

 私ら山の方の子どもがおとなしく寝ているあいだに、海の方の子どもは蛸の真似をして、芋を盗みに行っていたなんて。本当でしょうか。もう大笑ですね。

 

 さて今年の十五夜は九月二十九日ですね。晴れるといいですね。