草むしりしながら

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古事記あらすじ17

2019-12-04 07:57:34 | 古事記
内田英雄文 古事記あらすじ 17

第六章国譲り

㈢きじのお使い

 いっぽう高天原では天若日子の帰りを今か今かと待ちわびていました。なにしろ天菩比神を使わしてから十一年も経っています。そこで「泣女(なまめ)のきじ」をやってようすを探らせることにしました。

 泣女のきじは早速下界に飛んで行くと、天若日子家の前の木にとまり、ケンケンと早口でわめきたてました。これを聞きつけたのが、天佐具売(あまさぐめ)という意地悪ばあさんでした。

 天佐具売は天若日子の所に走っていき、門前で鳴いているきじを射殺してくれと言いました。天若日子はきじの言葉をよく聞きもしないで、高天原の宝物の弓矢を放ちました。矢はきじの胸を射抜きそのまま天へ飛び立ちました。天若日子は大得意になりました。

 さてきじを射抜いた矢はそのままずんずん飛び続け、高天原の高木神(たかぎのかみ)の足元に落ちました。その矢は天羽羽矢に間違いなく、白い羽根は、真っ赤な血で染まっています。いったいこれはどうゆうことだろうか。

 そこで矢が地面に明けた穴から下に落としてみました。もし天若日子が悪い心をおこしたならば、この矢に当って死ぬはずです。そして矢は天若日子の胸板に、ぐさりと突き刺さってしまいました。

 天若日子の妻の下照比売の悲しい泣き声が、高天原まで聞こえてきました。天若日子の父親の国玉神やお母様や兄弟たちは出雲に下ってきて、葬式のための準備をしました。

 この時、国玉神は弔いに来た高日子根(たかひこね)神を、天若日子と見間違えてしまいました。死人と間違えられ怒った高日子根神は喪屋を切り倒してしまいました。結局天若日子は死んだのちまでも、お弔いをしてもらえませんでした。

㈣建御雷神(たけみかづちのかみ)
 高天原ではまたまた会議が開かれ、今度は強い神様を選ぶことになりました。選ばれたのは建御雷神(たけみかづちのかみ)という高天原でも一、二を争う強いかみさまです。

 建御雷神は天鳥船(あまのとりぶね)に乗りこみ、稲妻のような勢いで、出雲の国を目指して飛び下っていきました。

古事記あらすじ16

2019-12-02 15:24:03 | 古事記
内田英雄文 古事 あらすじ16

第六章 国譲り(くにゆずり)

㈠高天原の神々の会議

 その頃高天原では日本の国全体をおさめるために、天照大神のお子様を日本の国にくださねばならないことになりました。しかし下界にはまだまだ悪いことをする神や人間が、うようよいます。こんなことでは大御神の御子の天忍穂耳命(あまのおしほみみのみこと)は下界に降りていかれません。

 そこで天照大御神は天安(あまやす)の河原に八百万(やおよろず)の神々を集めて会議をお開きになりました。

 高天原で一番の知恵者の思金命(おもかねのみこと)が議長の席に着き、高天原の神々が輪になって座っています。八百万の神々は頭をひねって考えましが、いい考えが浮かびません。その時思金神命が、大国主命が治めている出雲の国が良いのではないかと言いました。

 出雲の国はもともと大御神さまの国ですが、大国主命が苦心してひらいた国です。素直に返すでしょうか。

 そこで大国主命と気があいそうな天菩比神(あめのほひのかみ)お使いとしてくだるって行きました。しかし気が合いすぎたのか、三年も音沙汰なしです。

㈡天若日子(あめわかひこ)

 いつまで経っても菩比神は帰って来ず、高天原では再び会議が開かれました。
考えてみればこんな仕事は人がいいだけでは駄目だということになり、若くて頭のいい国玉神(くにたまがみ)の子どもの天若日子が選ばれました。  

 天照大御神は天麻迦古弓(あまのまかこゆみ)と天羽羽矢(あまのははや)を天若日子にお授けになりました。若い天若日子は大国主を説き伏せて手柄を立ててやろうと、大得意になって、下界に下って行きました。

 しかし出雲の国は、高天原にも劣らないほどの立派な国で、大国主の命は顔を見るのがまぶしいほどの立派な方でした。

 大国主命は高天原から来た天若日子を、心から敬い、下にも置かないくらいにもてなしました。天若日子は大国主命の娘の下照比売(しもてるひめ)と結婚をして、高天原の任務をきれいさっぱり忘れて、この出雲の国の主になろうという考えさえ抱くようになっていました。

 月日の経つのは早いもので八年の歳月が、夢のように過ぎていきました。




古事記あらすじ15

2019-12-02 07:11:06 | 古事記
内田英雄文 古事記あらすじ15

第五章大国主命

(十一)小さな神様

 大穴牟遅命は道を作ったり田畑をひらいたり、人々の病気を治したりなりなさいました。しかしひとりでなさるには、とても難しい仕事でした。

 そんなある日、御大(みお)の御岬(みさき)に立って海を眺めておいでになりましたところ、豆の殻の船をこいでいる親指ほどの小さなか神さまが、こちらに向かってくるのが見えました。

 命は海の中の神さまをひろいあげると、名前を尋ねました。しかし返事がありません。耳が聞こえないのか、口がきけないのかと命がおっしゃると、飛び跳ねて怒り出しました。

 命は誰かこの方の名前を知らないかと、そこら中に向かって仰いました。すると蛙が山田の案山子の久延毘古(くえびこ)が知っていると鳴きました。偉い学者の久延毘古は、この方は高天原の神産巣日神(かみむすびのかみ)のお子様で、少名毘古那命(すくなびこなのみこと)様ですと教えて下さいました。

 慌てて高天原にのぼって行った大穴牟遅命に神産巣日神は、体は小さいがなかなか知恵のある子なので、兄弟になって二人で出雲の国をおひらき下さいと仰いました。

(十二)常世の国(とこよのくに)へ

 お二人は一緒に仕事をなさることになりました。ある時お二人はどちらが兄になるか我慢比べをして、少名毘古那命が勝ちました。

 それから大穴牟遅命は少名毘古命をいつも肩に乗せて歩くようになりました。この小さな神さまは本当にりこうで、何か用事があると弟の大穴牟遅命の耳もとで命令いたします。

 谷間から温泉を掘り当てたり、病気の直る薬草を摘んだり、ため池を作ったりと、人々のためになることばかりでした。おかげで出雲の国はますます立派になりました。

 二人が最後に淡島(あわじま)という島においでになったときです。少名毘古那命はこれまでの大穴牟遅命の働きに感謝し、自分の治めなければならい「常世国(とこよのくに)に行くことを告げました。

 そして大穴牟遅命に、あなたの力はもう大物主神(おおものぬしかみ)という力のまで成長したので、後の仕事は一人で立派に成し遂げられるとお仰せになり、旅立っていきました。

 人々はみな幸せになり、大穴牟遅命を尊んで、大きな国の主だというので、大国主命とおよびするようになりました。

古事記あらすじ14

2019-12-01 06:25:17 | 古事記
内田英雄文 古事記あらすじ14

第五章大国主命

㈨ねずみの声

   須佐之男命は弓と矢を持って、命を連れて広い草原にお出かけなりました。そして「生弓矢がほしければ、自分の力でとってまいれ」と、矢を遠くに射ました。

 この広い野原の中から、一本の矢を探し出さなければなりません。命が懸命に矢を捜していると、突然草原から火が出ました。命は炎に取り囲まれて、逃げることが出来ません。

 もう終わりだと思ったとき、小さな白ねずみが現れ、「内は洞穴、外はぶすぶす」と鳴きました。命が地面を強くお踏みになると、大きな穴があき、命はその中に落ち込みました。おかげで命はたすかりました。

 ねずみにお礼をいって外に出てみると、外はいち面の焼け野原です。あの矢もさっきの野火で焼けたのかと、命が考え込んでいると、子ねずみたちが一本の矢を担いできました。

 子ねずみたちが羽根を食べてしまったのですが、確かに命が探していた矢です。命は矢を持って須勢理毘売の元に帰ってきました。

㈩逃げる大穴牟遅命

 しかし須佐之男命は羽根を無くした罰に自分の頭のしらみを取れと仰せになりました。しかし須佐之男命の頭には、大むかでがうようよとたかっています。すると須勢理毘売が、赤土と黒い椋の実を渡しました。命はそれをかみ砕いて、吐き出しました。それは、むかでを噛み潰したように見えます。

 須佐之男命はすっかり気を良くして、うとうとしています。須勢理毘売が天詔琴(あまののりごと)を弾き始めると、すやすやと眠っておしまいになりました。その隙に命は生太刀と生弓矢、神々を呼び出すとこの出来る天詔琴をお持ちになり、須佐之男命髪を柱に縛り付けて、姫と一緒にそっと家を抜け出ました。

 ところが琴の音で目を覚ました須佐之男命が追いかけてきました。けれども姫を妃にして命には大国主神(おおくにぬしのかみ)なって、出雲の国を治めるように仰せになりました。

 兄さんたちは降参して命の家来になり、それから出雲の国はいっそう栄えました。