0285_神々の合議(010)裕也の冒険-地獄の業③-
--地獄の業③舌抜き地獄--
閻魔大王は、ペンチを取り出した。
2つの端があり、舌を挟んで掴めるようになっている。
鬼は、裕也の両腕を掴んでいる。
裕也を後ろに向け、背中を大王の方に向けた。
鬼は、裕也を持ち上げ、大王に近づける。
裕也は、口を開けてる。
(なぜ、後ろ向き?)
不思議がったが、
ペンチが、後頭部から喉を透過して入って来る。
ゾクッとした。
そして、舌の根元を掴む。
(あ!根元から)
「どごぉぉぉおン」
強烈な衝撃が伝わる。
舌が喉に吸い込まれたのである。
「一回」
鬼が数えだす。
舌が生えて来る。
「ムュ ムュ ムュ」
「どごぉぉぉおン」
「二回」
「どごぉぉぉおン」
「三回」
喉の奥が痛い。
裕也は、口を閉じ全身に力を入れている。
「どごぉぉぉおン」
「四回」
:
「どごぉぉおン」
「百一回」
:
(俺は、何かい嘘をついたのだろう)
「どごぉぉおン」
「百二回」
:
「どごぉぉおン」
「二百回」
:
「どごぉぉおン」
「三百五十一回」
:
「どごぉおン」
「六百四十回」
もう喉に感覚がない。
裕也は、意識と無意識の中にいる。
:
「どごぉン」
「九百九十五回」
もう痛みはない。
意識がはっきり蘇(よみがえ)る。
:
「千」
「ドゴ」
「裕也。舌抜き地獄は終わった」
閻魔大王は、言った。
「ありがとうございます」
裕也は、ぐったり力が抜けた。
「次は、骨折り地獄だ」
閻魔大王の声が裕也の耳に響いた。
つづく。 次回(地獄の種類④-骨折り地獄-)
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