闇と光の慈愛のコントラスト(89)新たな時
==第二章、闇と光==
--新たな時(002)闇の担い手②--
-時を戻そう-
闇の種族の村が焼かれている。
総出で村を襲いに行ったみたいである。
アイリスは、十字架につるされている。
周りには、誰もいない。
そう確認するとエンビは、十字架を登った。
エンビは、アイリスの胴体を綱(なわ)で十字架に巻いて結び付けた。
そして、楔(くさび)を抜く。
アイリスは、気を失い、血を流しぐったりしている。
エンビは、必死で楔を抜いた。
そして、綱を自分に巻き直した。
そして、ゆっくり降りる。
(重い。これは、命の重さだ)
エンビは、降りるとアイリスを背中に担(かつぎ)ぎなおした。
草原の向こうの民家は、赤く燃えていた。
エンビは、そそくさと十字架を降りると森に入っていった。
(見つからずにすんだ)
森を東へ急ぐ。いや、東かは、分からない。
光の村から反対に逃げたかった。
とにかく見つからないように遠くに逃げるのだ。
どこをどう歩いたか分からない。
切り立った崖の下に着いた。
ぽっかり穴が開いている。
「洞窟だ」
エンビは、洞窟を少し入ったところにアイリスを降ろした。
そして、水と木を集めに行った。
水を木の葉に入れて運んできた。
そっとアイリスの口に運ぶ。
アイリスは、「ゴクッ」と喉が動く。
そして、薄目を開ける。
「エ エ ェンビなの」
また、気を失う。
(生きている。良かった)
何度も往復した。
木を擦り火をつける。
薬草を傷口に貼る。
やらねばならないことは、一杯ある。
(もっと、洞窟の奥に入らないと)
エンビは、松明(たいまつ)を作り奥へ進んだ。
-そして、時は重なる-
アクティスは、再開を喜んだ。アイリスは、唯一の生き残りである。
「アイリスを助けてくれてありがとう」
つづく。 次回(光の未来)
#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #闇の担い手