0291_神々の合議(016)裕也の冒険-地獄の業⑨⑩-
--地獄の業⑨冷風地獄--
目の前には、雪山が聳(そび)え立っている。
裕也は、雪山の前に連れてこられた。
「この山を上まで登り、戻ってこい」
冷風地獄とは、家から閉め出して、家の子供や人を寒さで凍死させた罪を償(つぐな)う地獄です。
裕也の足には靴下を履いている。
だが、霊にそれが意味あるものか分からない。
山に足を踏み入れる。
「冷た くない」
裕也の体の周りに空気の膜が出来ていた。
地獄の妖精は、必死で守っていた。
でも、裕也の心は暖かい。
それだけで、地獄の妖精は、充分である。
頂上に着いた。雪の強風は、止んでいた。
地獄が見渡せる。
業火は、止んでいた。
裕也は、山を無事に下山した。
「次は、引き裂き地獄だ」
鬼たちも穏やかに安心していた。
--地獄の業⑩引き裂き地獄--
引き裂き地獄とは、車事故等で体を引き裂いた罪を償う地獄です。
両手両足を鎖で牛に繋(つな)がれる。
鬼は、首輪を引っ張る。
「もぉぉぉ」
牛は、ビクとも動かない。拒否をしている。
鬼は、牛に鞭(むち)を入れる。
「ヒン」
牛は、涙を浮かべ動き出した。
鎖がピンと伸びる。
裕也の体がピンと張る。
(今度は、だめかなぁ。
牛さん。ごめん)
限界まで体が張り詰めた。
「ガチャン。 ガチャン。 ガチャン。 ガチャン。」
四つの全ての鉄の鎖が切れた。
(成功!)
地獄の妖精は、楽しそうである。
(地獄の妖精さん。ありがとう)
裕也は、地獄の妖精に感謝した。
つづく。次回(地獄の業⑪-虫地獄-)
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