エリザベス二世なき後、英王室の権威と求心力の低下が取り沙汰されるなかで行われたチャールズ三世の戴冠式は、王室の栄光がまだまだ失われていないことを示すに足る壮麗な式典でした。
欧州で伝統的な戴冠式を行っているのはイギリスだけだそうです。
私がネット配信を見始めたのはこのあたりからです。
この前には秘儀「塗油」の儀式がパーティションに囲われた中で行われたようです。
エリザベス二世戴冠式では天蓋の中で「塗油」の儀式が行われたという。壮麗な天蓋からパーティションへ、これも経費節約のためでしょうね。
「塗油」の儀式について”英王室に詳しいジャーナリスト”多賀幹子は、番組の中で「羊の虱を退治するために油を塗ったのです。」と訳の分からない解説をしていましたが、、
ブリタニカ国際大百科事典小項目事典塗油式
とゆしき
unctio; anointing油または脂を人または物に塗ってそれらのものが神聖なものとの新しい関係を得たことを象徴する儀式で,ほとんどの宗教に普遍的にみられる。塗油の施し方,その材質などは宗教や機会によって多様である。 (1) 肉体的,精神的疾患に対する癒やし。 (2) 塗油されたものを聖なるものとし,日常的使用から除外して神や神的なもののためにのみ用いる聖別。 (3) 特に人間の場合,特別な資格,権威,身分,能力などが与えられる叙階または叙任。多くの宗教では教職者 (司祭など) が塗油によって叙任された。またユダヤ教では司祭や王が位につくとき塗油によってその聖性と神の恵みが象徴された。ここから,イスラエルの未来の救済者も塗油された者,すなわちメシアと呼ばれるようになった。
😇 キリスト教の母体はユダヤ教ですから、ブリタニカ国際大百科事典小項目事典の解説のほうが多賀幹子よりは親切です。
戴冠式では「塗油」の儀式が一番重要な部分で、これがなくては戴冠式の意味がなくなるという。「羊の虱退治」では、到底その重要性が理解できないでしょう。
戴冠された国王は戴冠用の椅子から玉座に移動。その後は王室伝統の儀式となります。
王室伝統の儀式の最初に大主教が国王へ忠誠を誓っていましたが、日本のメディアは、この大主教の忠誠の誓いを全く報じません。
神の権威の代行者大司教が地上の権威の実行者国王に忠誠を誓う。って、結構重要なポイントだと思うのですけれど…。
天皇とイギリス国王の違いが如実に表れているところだと思うのですけれど…。
日本のマスコミはウィリアム王子の忠誠の誓いは報じてもカンタベリー大主教がチャールズ国王に忠誠を誓ったことは報じない。
戴冠式の宗教的部分を報じたくないのか、それとも別の理由があるのか、
忠誠の誓いは、本来大主教ー皇太子ー王族諸侯と三十数人続くのを今回式典簡素化のため皇太子を王族諸侯の代表とし、大主教ー皇太子の二人だけにしたという。
式典の簡素化も簡素化ですが、王族諸侯が次々と跪いて国王に忠誠を誓う時代ではなくなったのかもしれません。。
<続く>