この夏は特に暑い。
暑いと今までになかったようなトラブルに見舞われる。
ファンレスのオーディオPC canarino Fils5にしてから4年余り。
これまでトラブルらしいトラブルはなかったが、使用中にPCの電源が突然落ちるということが立て続けに起こった。
これまでも夏はそれなりに暑かったが、こんなトラブルは起きなことがない。
昨年の夏から今までに変更したところといえば、そうcanarinoのデュアル電源化キット「canarino DC due」を入れている。
これを入れてから初めての夏である。
これが原因なのか?
電源の落ち方からすると、オーバーヒートからの保護システムが働いているような感じだが、原因がよくわからない。
canarino DC due導入当時に音の変化を確認したが、電源をデュアル化しても大きな変化は感じられなかったので、トラブルが続くようであればcanarino DC dueを取り外して元の状態に戻せばいい。
ただ、電源が落ちる原因がこのデュアル電源化キットなのかはっきりさせたい。
その前にせっかくデュアル電源化キットを入れたので、正式にデュアル電源化を試しておきたい。
現在PCの電源はエルサウンドのアナログ電源Improved12V5Aである。
この12V5A仕様はもう販売されていないが、PSEを取得した12V1.5A版は販売されている。
12V5Aの方を消費電力の多いCPU用に使用し、1.5Aをメイン(CPU以外)に使用すれば電力容量的には十分間に合うのは以前確認しているので、思い切ってImproved12V1.5Aを購入することにした。
デュアル電源化がうまくいかない場合は、Improved12V1.5AをRME ADI-2 DACに使えばいい。
現在ADI-2 DACに使っている電源WP-906PSがいま一つ電圧が安定せず、電源投入直後だとDACに電圧エラーが出て起動しないことが常態化しているからだ。
ほどなくしてImproved12V1.5Aが到着し、ようやく同じ種類の電源でデュアル電源化をすることができた(電流容量は異なるが)。
デュアル電源化をしてcanarino Fils5をしばらく使ってみたが、とりあえず電源が落ちるという現象は発生しなくなった。
シングル電源だとトラブルが出るのに、デュアル電源にすると大丈夫というのは解せないところがあったが結果オーライ。
電源トラブルが続いたので、しばらくDiretta経由で音楽を聴いていなかったので、久しぶりにDirettaで音を出してみる。
コントロールソフトをfidataに替えてから、再生が開始されないというトラブルはなくなった。
とりあえずCPUID HW MonitorでCPUの状態をモニターしながら音楽を再生してみる。
通常はCPUのクロックが可変状態になっており、Windowsの設定からターボブーストをOFFにしてあるのでクロックの上限は定格の2.8GHzになっている。
ただ、音楽を再生した途端に、全てのCPU Coreがターボブーストクロックの4.0GHzに固定されてしまう。
Direttaの設定でクロックが固定されるので、CPUの使用率の方が変化する。
使用率自体は2%程度、CPUの温度も40度前半と安定している。
DirettaはCPUのクロックの変動は音に悪い影響があるという考え方で、クロックと通信のスループットを可変させずに固定にする制御をしていたような記憶がある。
ただ、Windows上で設定してるターボブーストOFFが効いていないようで、クロックがターボブーストONの4.0GHzになってしまっている。
異変は早くも1曲目の途中で現れた。
バリバリバリというノイズが音楽に交じり、CPUの使用率が急上昇。
ターボブーストがONの状態になっているので、CPUの温度も急激に上がり、60度を超えたあたりで電源が落ちた。
タスクマネージャーでプロセスの状況も確認しながら、もう一度再生してみる。
今回も再生から10分と経たないうちに、ノイズが発生。
タスクマネージャーのプロセスを見ると、厄介な奴が姿を現していた。
奴の名前は、Winodws Module Installer Worker。
こいつはWindows Updateに関係するものなので起動しないように無効にするわけにもいかないが、いつ起動するか分からず、動き始めるCPUにかなりの負荷をかけるという厄介な代物。
ファンレスのPCなのでCPUファンが全開になって急速に冷やすということができないため、急激なCPUの温度上昇に対応できずに保護回路が働いて電源が落ちてしまうようだ。
こうならないようにターボブーストをオフにしているのだが、Direttaはこれをキャンセルしてしまうらしい。
さて困った。
ターボブーストをオフにするにはBIOS設定から実行するのが一般的だが、自分の場合はWindowsの設定でこれを行っていた。
ノートPCではBIOSにターボブーストを設定する項目がなく、やむを得ずWindows上から設定していて、その流れでcanarino Fils5でもWindowsから設定していた。
canarinoFils5のBIOS設定でターボブーストをオフにすることができれば、Direttaが起動してもクロックの上限が定格の2.8GHzになり、熱暴走で保護回路が働くということがなくなるのでは、と考えた。
しばらくぶりでcanarino Fils5のBIOS Utilityを起動。
マザーボードはASUSである。
インターフェースがUEFIになってからというものBIOS設定でもマウスが使えていいね。
BIOS設定画面を徘徊することしばし、詳細設定の奥の方にターボブーストの設定を発見。
BIOS Utilityの画面をEZ Modeから詳細設定に切り替えた上で、
詳細>CPU設定>CPU Power Management Control>ターボモードを「有効」から「無効」に変更した。
さて今度はどうか。
音楽を再生した状態で、CPUのクロックを確認するとクロックは定格の2.8GHzに固定されていた。
この状態で様子を見たが、WEBブラウザを立ち上げていると、裏でいろいろなプロセスが動くようで、また例のWinodws Module Installer Workerが動き始めた。
CPU温度が上がったが、クロックが定格上限になっているため、CPUの温度は50度程度で収まっており、ノイズは発生するものの電源が落ちるということはなかった。
さらにWEBブラウザを起動せずに音楽再生を行ったが、この状態だとノイズが発生することもなく、アルバム1枚を聴き終えることができた。
こうして、なんとかcanarino Fils5のデュアル電源化は運用の見込みが立った。
正直音の方は、電源がシングルだろうがデュアルだろうが、自分の環境ではほとんど違いは感じられない。
次のPCもファンレスのcanarino Fils5にするつもりだが、現行モデルのCPUが全てT付きの35Wモデルになるので、Improved12V5Aのシングルでも容量的には十分だ。
Improved12V1.5Aの方はADI-2 DACに回した方がいいかもしれない。
まあ、とりあえず自分が選んだJPLAYといい、Direttaという音はいいのだが、正直扱いが難しい。
特にJPLAYとDirettaはリソースの競合が起こっているのを設定でごまかして使っている状態なので、ROON導入時にはJPLAYには引退してもらうようになるのかな。