■電源トラブルは解決していなかった
この夏は特に暑い。
暑いと今までになかったようなトラブルに見舞われる。
ファンレスのオーディオPC canarino Fils5をデュアル電源化してから電源トラブルに見舞われていた。
BIOSの設定でターボブーストをOFFにして一件落着のはずが、そんなに甘くはなく、やはりPCの使用中に電源が落ちる。
ターボブーストをOFFにしてあるのでCPUのクロックは定格の2.8GHzで頭打ちになるのだが、そうなるとCPUの使用率の方が上昇する。
CPUに負荷がかかった状態になると、CPUの使用率が100%に張り付いて、しばらくすると電源が落ちる。
急激なCPU温度上昇にパッシブのクーリングが対応できないようだ。
今回は、PCを再起動しようとしても電源が入らない。
これはPCを壊してしまったかとかなり焦ったが、CPU用の電源であるImproved12V5Aの電源ケーブルを一度抜いたら電源が復活した。
どうも電源の容量オーバーで電源の保護機能が作動して、電流をシャットダウンしたようだ。
電源をデュアル化せず、シングル電源で使う場合はImproved12V5Aの電源容量をオーバーするということはこれまではなかった。
せっかくデュアル電源化キット「canarino DC due」を入れたのにもったいないが、安全重視でPCはシングル電源で使うことにした。
そうするとサブ電源用に購入したImproved12V1.5Aが余ってしまうわけだが、
これは当初の想定どおり、DACであるRME ADI-2 DACの電源にすることにした。
ADI-2 DACに使っている電源WP-906PSがいま一つ電圧が安定せず、
電源投入直後だとDACに電圧エラーが出て起動しないことが頻発していたからだ。
静かな環境だとWP-906PSの発振音が気になるようになってきたこともあるので、むしろこの方がいい。
■電源をシングルに戻す
PCの電源をImproved12V5Aに戻し、DACの電源をImproved12V1.5Aに替えた。
そうするといままでのトラブルはなくなり、一発でADI-2 DACが起動するようになった。
やはりこの組み合わせの方がよさそうだ。
さて問題は、まともに音楽が聴けるかどうかだ。
音を出してみよう。
いつもなら試聴用のソースをかけるところだが、ふと自分のライブラリーで目についたビリー・ジョエルを聴いてみたくなった。
中高生のときにカセットテープでよく聴いていたが、たいぶ後になってからCDを1枚も持っていないことに気づき購入した「Greatest Hits」。
1970年代から1980年代のヒット曲が並ぶ。
1970年代の曲はアナログマスターということもあり、この年代の音がする。
この年代の曲とHD650とは非常に相性がいい。
決してHi-Fiというわけではないが、とにかく聴き心地がいい。
1980年代の曲になると、録音環境も変わってぐっとデジタルっぽく、Hi-Fiな感じなる。
ふと目についた「Good night Saigon」。
大学時代の友人が好きで、酒を飲んで酔っ払うと歌っていた。
久しぶりにこの曲を聴いてみる。
イントロは鈴虫の鳴き声。
ベトナムにも鈴虫はいるのだろう。
昔聴いたときはあまり印象に残らなかったが、今この環境で聴くと鈴虫の鳴き声がきれいに聞こえる。
その後に続いて聞こえるヘリコプターのローターの風切り音との対比が印象的だ。
問題の電源であるが、CPUの使用率をモニターしていると、DIRETTA経由で音楽を聴いているときのCPU使用率は3から4%。
CPUのクロックが定格2.8GHzで固定された状態だが、使用率の方は極めて少ない。
再生を開始してから5分ほどすると、やはりノイズが乗り出して、CPU使用率が30%台にはね上がる。
ノイズの方はまもなく消えたが、バックグラウンドで何かプロセスが走っている状態だとCPU使用率は40%弱になって、
CPUの温度もじわじわ上昇してくる。
しばらくしてCPUの使用率が元に戻った。
CPUの温度も40度程度で安定している。
そのまま30分ほど聴き続けたが、ヒートシンクになっているPCの筐体に熱が蓄積されてきているようで、
CPUの温度は45度になったが、音楽再生に問題は発生しなかった。
電源をシングルで使うと、電源の容量オーバーも発生せず、まあまあ安定した状態を保っている。
■canarino DC due逝く
しばらくこの状態で問題なく使えていた。
この夏の暑さも収まり、PCへの熱負荷もぐっと少なくなった頃、その時は来た。
普通にPCを使っているときに、ディスプレイの画面が真っ暗になり、PCの電源ボタンを見ると、ランプが消えている。
その時はすぐに電源が復旧し、PCが再起動して収まった。
しかし、次はそうはいかず、また電源が落ちるとPCの電源が入らない。
電源の方のランプは点いているので、電力の供給はあるようだがPCが起動しない。
これはまずい。
PC側の電源ジャックを抜き差ししてみたが効果はなし。
このPCも購入して4年以上経つので、ハードトラブルがあってもおかしくはないが、ちょっと早すぎる。
これまでの電源トラブルはcanarino DC dueを導入してから起こっている。
自分が使っているPC canarino Fils5にも適合するのを確認してから購入しているが、トラブルが続いている。
こうなった以上は、電源配線をもとに戻すしかないか。
オリジナルの電源ジャックはとってあるので、これをPCにつけ直すことにする。
canarino DC dueの取扱説明書は取ってあるので、これを見ながら電源回路をもとに戻す。
取り外したcanarino DC dueを確認してみたが、特に以上はないようだが、基盤の裏を確認すると、一部フラックスが溶けたような形跡がある。
回路のショートはなさそうだが、かなり発熱していたのは間違いないようだ。
電源回路をもとに戻し、電源アダプターを接続して電源は入るか確認する。
電源アダプターを接続すると、マザーボード上のLEDランプが点灯した。
canarino DC dueのときは電源アダプターを接続しても、このLEDランプが点灯していなかったので、
PC側に問題があるのではなく、canarino DC dueのトラブルで確定だ。
電源ボタンを押すと、ちゃんとPCの電源ラップが点灯し、PCの買い替えという事態は回避された。
■PC買替が不安
canarino DC dueを導入して1年余り、canarino DC dueの故障ととしか考えられない状態になった。
オーディオ的な効果はほとんど感じられなかったので、安定している元の状態に戻しても何の問題もないのだが、今後のPC買替には不安が残る。
現在使用しているcanarino Fils5でファンレスPCは2台目である。
もうファン付のPCは使う気はしないので、次もファンレスPCにしたいのだが、ファンレスとなる選択肢が極端に狭まる。
現実的には、またcanarino Filsを選択するしかないのだが、現行のcanarino Filsには標準でcanarino DC dueが装備されており、それ以外のオプションはない。
本体価格が高額になっていることもあり、買替にはかなりの不安が残る。
これ以外に拡張スロットがついているファンレスのデスクトップPCは見当たらないので、
思い切ってノートPCにするという手もあるが、いろいろと使い勝手が悪くなる。
今使っているcanarino Fils5をもうしばらく延命させて、その間に考えることにしたい。