乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

京菓子雑感 2  (尾州屋 京風そば餅)

2008-02-24 | お出かけ

 

  京菓子雑感  2

  (尾州屋 京風そば餅)

 

 

 先日の『京菓子雑感 (阿闍梨餅、柏餅味噌餡、水無月黒) 』に続き、饅頭ネタで申し訳ない。

 昨日子どもが、四条河原町にある尾州屋の『京風そば餅』を持ち帰った。

 

「蕎麦饅頭かって来たよ。」

 久しぶりの蕎麦饅頭。

「お父さんの好きな、すはま は、なかったよ。生八橋はあったけど、作っているのかな・・・。」

といった、たわいない会話である。 

 

 包みを開けると、饅頭の 柔らかだが香ばしい皮の香りが辺りに漂う。

 

 久しぶりに食べる蕎麦饅頭の味は・・・少し以前と違っていた。

 餡のしっとり感はいい具合だが、甘さが違う。

 思うに水あめの分量は同じだろうが、砂糖は控えめになっている。

 多分 最近流行のトレハロースに、ほんの少し 甘味を置き換えたのかもしれない。

 微量の甘味配合の違いは、饅頭好きの人間にとっては大きな問題である。

 『京菓子雑感 』でも書いたと思うが、普段使いの饅頭に上品さは求めない。

 多少の味の引っ掛かりが個性となって、好みへと発展する。

 ところが、今回食べた蕎麦饅頭は、非常に上品な味に収まっている。

 おそらく、京都の人間のように何かあれば饅頭を買い求めて食べる県民とは違った普通の味覚を保っておられるまともな舌の方たちには、改良された上品な味の蕎麦饅頭の方が美味しいと思う。

 そういうと、京都は全国で砂糖の消費が一位だともいう。

 私の舌は、必要以上に甘味を求めているのかもしれない。

 

 柏餅味噌餡の場合は山椒、水無月の黒の場合は黒糖のえぐみ、八橋の場合はニッキといった具合で、味や香りにアクセントが欲しい。

 そして蕎麦饅頭の場合も例外に漏れず、皮の香りと黒ゴマの香りが良い。

 ただ、黒ゴマが二、三粒、以前に比べて増えている。

 よく見ると、皮の上のみならず、ゴマは側面や底にも付いていた。

 たまたまなのだろうか・・・。

 あぶらがのり、増量した黒ゴマは、思いのほか香りと味が濃い。

 

「変わっちゃったね・・・。」

を合言葉に、家族消沈。

 

 とはいえ、以前の尾州屋 京風そば餅が美味すぎただけで、他の菓子に比べて、かなり美味いことも付け加えておく。

 味は変われど、この饅頭、かなり美味い。

 土産のひとつとして、或いは普段のおやつとして、阿闍梨餅と共に、他府県の方にもお勧めできる一品である。

 ちょっとした有名な和菓子に比べ、しっとり感といい、蕎麦風味といい、餡の細やかさといい、他にはない独自の美味さが感じられる。

 また買うであろう、親しみ深い 庶民の蕎麦饅頭。

 これで消費税込み一個百円とは、驚きの美味さと安さ。

 尾州屋は高島屋にもなびかず、立ち退きを断り、老舗の味の大筋を守るといった、かなりの意気込みが感じられる。

 それを考えると、現代の嗜好に少し近づけた味は当然であり、トレハロースといった健康志向も加わるとあっては、この饅頭も捨てたものではない。

 今も美味いこの饅頭を、子どもにまた買ってきてほしいと告げたのは、いうまでもない。

 

 蕎麦饅頭、蕎麦饅頭と読んではいるが、本来の名称は 何度も書いている 『尾州屋 京風そば餅』。

 子どもが、

「尾州屋 京風そば餅って書いてあるが、普通に蕎麦饅頭と読むんだ・・・。」

と不思議がっていた。

『まぁね、これがこだわりなのよ・・・。』

と、つぶやき、ほくそ笑む。

 

 我が家は饅頭を食べる機会がとても多いと思う。

 先日の阿闍梨餅の土産のあと、蕎麦饅頭までの間そんなに日はたってないのだが、一人は加賀の土産で羽二重餅、一人は大阪の加賀屋という料理屋で加賀のきんつばを買ってきてくれた。

 たまたま同日に二人の子が、加賀の菓子の土産を持ち帰ったのが、おかしい。

 これも縁ということか・・・と、意味無きことを思いながら、饅頭を楽しむ機会を与え給うた わが子二人に感謝しながら、茶をすする。

 

 

 京風そば餅

 京都市中京区両替町通川上ル松竹町130

 (高島屋すぐそば)

 京風そば餅 消費税込み 100円

 

 

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無形文化遺産の能を楽しもう 青山茂氏 金春欣三氏 (公開講座)

2008-02-24 | 能楽・狂言

 

(写真は能装束を着付けされている様子。会場中カメラで写真を撮っておられましたので、私も便乗させていただきました。

 右 オペラ歌手のような声の持ち主の金春欣三氏)

 

 

 公開講座 無形文化遺産の能を楽しもう

 

 二月二十三日土曜日。

 奈良市中部公民館で開かれた、テーマ『無形文化遺産の能を楽しもう』の公開講座参加。

 折込新聞『リビング』には、主催者無記名。

 また、能楽の曲などもない。

 電話で公民館に問い合わせたものの、一向に らちは明かず。

 能楽写真も掲載されていたこともあり、まずは会場に向かう。

 

 そこは奈良ユネスコ協議会及び奈良ユネスコ協会主催であった。

 ユニセフにはなじみがあるものの、ユネスコは知らない。

 会場に入るとユネスコ関係者が多い。

 能楽に興味を持って行った私は、少し場違いな感じを受ける。

 

 

 講義は面白かった。

 手塚山短期大学名誉教授の青山茂氏は、無形文化財のいでたちや意味などを手短に話される。

 

 中でも興味深かった内容は、江戸から奈良奉行所に移ってきた 川路聖謨という武士の日記の中に書かれた内容による、奈良の文化の高さの説明。

『江戸は金持ちが小唄や上節(?)を歌うが、大和は大工や一般の人間が、「船弁慶」などを口ずさむ。・・・文化の高さに舌をまく・・・これは、みながおん祭りに出て、日常の生活の中に取り入れているからではないか・・・・・・。』

といったことが、『寧府記(紀)事』(現在 東大出版より出る)に残されているとのこと。

 青山茂先生のお話、結構面白い。

 

 

 続いて、金春流シテ方の金春欣三氏が、無形文化遺産の能について話された。

 能楽に使われる楽器の説明や面の説明。

 面はいくつか用意されていて、拝見させていただいた。

 面を見ると、うれしい気持ちがこみ上げてくる。

 

 金春欣三氏は『羽衣』の謡いを四度、謡い、会場全員に謡わせて下さった。

 これがまたなかなか難しい。

 言葉はすぐに覚えられたが、抑揚は独特で、リズムがとれない。

 聞いている分には心地の良かった能の謡いも、自分がやるのは御免こうむりたい心境。

 とはいえ、習いでもしない限りはなかなか出来ない貴重な経験とあって、心地小さ目の声で、楽しむ。

 

 金春欣三氏の『羽衣』、面をつけずにマイクをつけて発声されると、まるで和製オペラのようで、惚れ惚れしてしまう。

 あまりの素晴らしさに、息づく暇もない。

 この方大正十三年生まれとは、到底思えない はりのある 通りの良いお声に、うっとりと聞き惚れる。

 能楽師の声も素晴らしい・・・と痛感。

 

 金春欣三氏はあらかじめ用意されていた ツレ用の能装束をユネスコ関係者に着付けされ、説明してくださった。

 衣装と鬘、面、扇をつければ、ある程度は 能楽師のようになるのかと思っていたが、それは考え違い。

 腰の具合や仕草、気品、教養など、能楽に関するそういった何もかもが、能楽師には要求されるようだ。

 それは長年の練習で培うものかもしれない。

 

 能装束を着付けられる途中、金春欣三氏のお内儀様が、

「普段、女の人は能楽師には着付けを手伝うことはしません。一般の人だから、今日は手伝っています。」

と言われた言葉が、印象深い。

 大正十三年、女性も能舞台に立つことが可能となり、ながき月日が流れた今も、そういった決まりごとがあるのが、心地よくもあり、複雑な心境でもある。

 しかし能楽といった、我々には異質な空間の中で、そういった伝統の名残を継承していくことも、また文化なのかもしれないと感じた。

 

 最後に、貴重な経験をさせていただき、楽しい時間をすごさせていただきました関係者の皆様方に、厚く御礼申し上げます。

 ありがとうございました。

 

 2月23日 13:30~15:30

 奈良市中部公民館 5F(奈良市上三条町)

 料金 受講無料

 

 

コメント (6)
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