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京菓子雑感 2
(尾州屋 京風そば餅)
先日の『京菓子雑感 (阿闍梨餅、柏餅味噌餡、水無月黒) 』に続き、饅頭ネタで申し訳ない。
昨日子どもが、四条河原町にある尾州屋の『京風そば餅』を持ち帰った。
「蕎麦饅頭かって来たよ。」
久しぶりの蕎麦饅頭。
「お父さんの好きな、すはま は、なかったよ。生八橋はあったけど、作っているのかな・・・。」
といった、たわいない会話である。
包みを開けると、饅頭の 柔らかだが香ばしい皮の香りが辺りに漂う。
久しぶりに食べる蕎麦饅頭の味は・・・少し以前と違っていた。
餡のしっとり感はいい具合だが、甘さが違う。
思うに水あめの分量は同じだろうが、砂糖は控えめになっている。
多分 最近流行のトレハロースに、ほんの少し 甘味を置き換えたのかもしれない。
微量の甘味配合の違いは、饅頭好きの人間にとっては大きな問題である。
『京菓子雑感 』でも書いたと思うが、普段使いの饅頭に上品さは求めない。
多少の味の引っ掛かりが個性となって、好みへと発展する。
ところが、今回食べた蕎麦饅頭は、非常に上品な味に収まっている。
おそらく、京都の人間のように何かあれば饅頭を買い求めて食べる県民とは違った普通の味覚を保っておられるまともな舌の方たちには、改良された上品な味の蕎麦饅頭の方が美味しいと思う。
そういうと、京都は全国で砂糖の消費が一位だともいう。
私の舌は、必要以上に甘味を求めているのかもしれない。
柏餅味噌餡の場合は山椒、水無月の黒の場合は黒糖のえぐみ、八橋の場合はニッキといった具合で、味や香りにアクセントが欲しい。
そして蕎麦饅頭の場合も例外に漏れず、皮の香りと黒ゴマの香りが良い。
ただ、黒ゴマが二、三粒、以前に比べて増えている。
よく見ると、皮の上のみならず、ゴマは側面や底にも付いていた。
たまたまなのだろうか・・・。
あぶらがのり、増量した黒ゴマは、思いのほか香りと味が濃い。
「変わっちゃったね・・・。」
を合言葉に、家族消沈。
とはいえ、以前の尾州屋 京風そば餅が美味すぎただけで、他の菓子に比べて、かなり美味いことも付け加えておく。
味は変われど、この饅頭、かなり美味い。
土産のひとつとして、或いは普段のおやつとして、阿闍梨餅と共に、他府県の方にもお勧めできる一品である。
ちょっとした有名な和菓子に比べ、しっとり感といい、蕎麦風味といい、餡の細やかさといい、他にはない独自の美味さが感じられる。
また買うであろう、親しみ深い 庶民の蕎麦饅頭。
これで消費税込み一個百円とは、驚きの美味さと安さ。
尾州屋は高島屋にもなびかず、立ち退きを断り、老舗の味の大筋を守るといった、かなりの意気込みが感じられる。
それを考えると、現代の嗜好に少し近づけた味は当然であり、トレハロースといった健康志向も加わるとあっては、この饅頭も捨てたものではない。
今も美味いこの饅頭を、子どもにまた買ってきてほしいと告げたのは、いうまでもない。
蕎麦饅頭、蕎麦饅頭と読んではいるが、本来の名称は 何度も書いている 『尾州屋 京風そば餅』。
子どもが、
「尾州屋 京風そば餅って書いてあるが、普通に蕎麦饅頭と読むんだ・・・。」
と不思議がっていた。
『まぁね、これがこだわりなのよ・・・。』
と、つぶやき、ほくそ笑む。
我が家は饅頭を食べる機会がとても多いと思う。
先日の阿闍梨餅の土産のあと、蕎麦饅頭までの間そんなに日はたってないのだが、一人は加賀の土産で羽二重餅、一人は大阪の加賀屋という料理屋で加賀のきんつばを買ってきてくれた。
たまたま同日に二人の子が、加賀の菓子の土産を持ち帰ったのが、おかしい。
これも縁ということか・・・と、意味無きことを思いながら、饅頭を楽しむ機会を与え給うた わが子二人に感謝しながら、茶をすする。
京風そば餅
京都市中京区両替町通川上ル松竹町130
(高島屋すぐそば)
京風そば餅 消費税込み 100円
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