乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

95; めざせ、面白本の大海『活字たんけん隊』 椎名誠 岩波新書 新赤版 2010年

2010-06-18 | 読書全般(古典など以外の一般書)


(写真は糸杉の谷で。バフメイー・サルバックの遺跡に行く途中に立ち寄った山小屋。

 おじいさんはひとりぐらし。小屋やまわりの塀や暖炉やすべてが手作りだという。

 ラジオは需要な情報源。この日もガイドの方と世界の情勢などをやり合っておられた。

 わたしが訪れた過ぎ前の日くらいに、ア◯リ◯がイランを悪く言ったというニュースが流れ,憤慨しておられた。

 ペルシャ語で話しておられ怒っておられたので心配になったが,わたしたちには親切。

 話が終わってガイドさんがわたしにむかって英語で説明してくださった。

 多分その時のわたしは かなり心配そうだったか、或は興味津々だったのかも。

 さて、どちらだったのでしょうか???(笑))

   


2010年度 95冊目  





            めざせ、面白本の大海

                      『活字たんけん隊』

  



 椎名誠 著
 
 岩波書店

 岩波文庫 新赤版1230

 2010年1月

 219ページ ¥798




 常識の盲点へ―痛快読書案内の四部作の完結篇だという本書を読了。

 わたしは新書タイプの本か好きで少しは読んでいるが、今回の岩波新書 新赤版である『活字たんけん隊』には手こずった。

 新赤版の中には内容の難しいものも多い。
 
 しかし、『活字たんけん隊』はそういった難しい類いのものではない。むしろ簡単。

『活字たんけん隊』は気楽に読めるエッセーで、普通ならばスムーズに読めるはず。

 だが、この本はわたしには普通の四五倍は時間がかかってしまったから、さぁ!大変。

 途中用事を挟むといったことでもなく、花粉症のようなむずむず感を伴って、一気に読む気力も失ったというのが正しい。

 結局昨夜は一日悶々と下気分で過ごし、読み終えたのは日付も変わった夜中の二時をとうにまわっていた。

 
 多分「墓石の下から逃れるために」などを読んで、資料不足で独りよがりな部分が気になり、前に進めなかったからかも知れない。

 加えて彼は、豊富な旅行量を複数回書き込み記述することによって、彼のいう全てがさも真実のごとく読者を押さえつけるという卑怯ともいうべき手段をとっていた。

 子どもがよく使う
「みんな持っているから欲しい」
の【みんな】に若干共通点を感じる。



 椎名誠さんは人気があるので、こんなことを書いているとファンの方におしかりを受けるかも知れない。

 内容的にはわたしのとっても興味をそそるものだし、未だ故の本に入り込めなかったことが不思議でならない。

 いやいや、わたしなりにはっきりとした理由はある。

 ここでは多くは語りたくない。

 ただただ自分の見てこられた世界を例えば『外国では・・・』といった形でひとくくりにされているので、読んでいてつらい。

 こういったことをふまえて振り返ると,『隣村にいくとその地方でくくられていた俗習ががらりと変わる』と明記されていた赤松啓介先生は素晴らしい学者のお一人だと今になっても感じるのである。

 もうこれ以上は申すまい。



 目次は下に載せた。クソ食う人々は文化的事実としては興味があったが,どうしても故開口健さんの ‘ 沖縄てびちの豚足の爪に挟まれた糞(?)がいいお味 云々 ’ のくだりを思い出してしまう。

 開口健さんは誠に洒落ていると痛感。



 それでも めざせ、面白本の大海 『活字たんけん隊』を読んでの収穫はあった。

 読みたいと思う本が一冊見つかったのだから。

            川喜田二郎 『チベット人鳥葬の民』角川

 また、彼の書いている岩田重則著の『「お墓」の誕生』--死者祭祀(さいし)の民俗学は実際に良書だった。

 紹介されている絶版で手に入りにくい本においては出版社を伏せている所も親切だということを付け加えておきたい。





  目次 ▼

博物誌の誘惑
不可解の含有率
道連れの旅
風、自給率100パーセント
地方南北面白本との遭遇
嫌いな言葉
ラ・プラタ川の珍しい動物
布団の中の面白本
クソ食う人々
大日本スリッパ問題
北極圏のカレー合宿
小屋と魔窟
懐かしい未来
墓石の下から逃れるために
石合戦
地球の壊し方




■著者紹介
椎名 誠(しいな・まこと)氏は1944年、東京生まれ。現在、作家、書評誌「本の雑誌」編集長。著書に『犬の系譜』『新宿遊牧民』(講談社)、『岳物語(正・続)』『アド・バード』『大きな約束(正・続)』(集英社)、『中国の鳥人』(新潮社)、『黄金時代』(文藝春秋)、写真集『ONCE UPON A TIME』(本の雑誌社)ほか

コメント (2)
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