記録のみ
2010年度 158冊目 『前方後円墳の世界』
広瀬和雄 著
著者紹介
広瀬和雄(ひろせ・かずお)1947年京都市に生まれる。同志社大学卒業。大阪府教育委員会、大阪府立弥生文化博物館勤務の後、奈良女子大学大学院教授。現在、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授。専攻は、考古学。
著書―『前方後円墳国家』(角川選書)、『日本考古学の通説を疑う』(洋泉社新書y)、『古墳時代政治構造の研究』(塙書房)ほか。
編著書―『縄紋から弥生への新歴史像』(角川書店)、『都市と神殿の誕生』(新人物往来社)、『畿内の巨大古墳とその時代』 『丹後の弥生王墓と巨大古墳』(雄山閣)、『前方後円墳とちりめん街道』(昭和堂)、『日本人の心性を探る』(国立歴史民俗博物館)、『考古学の基礎知識』(角川選書)ほか。
岩波書店
岩波新書 新赤版 1264
2010年8月20日
222ページ 756円
朝から『前方後円墳の世界』を楽しみ、只今読了。
死してカミとなった首長―前方後円墳の祭祀―と 弥生神殿のゆくえ―葬送観念の連続・不連続―と 古墳時代の霊魂観―装飾古墳から考える―
上 三項は民俗学に少し関心のあるわたしにとっては楽しく、付箋を挟んだ数はかなり多い。
ブログ記録したこのあと、ノートに記録しておこうと思う。
今まで見た古墳や博物館、色々な先生方に聞いたお話を思い浮かべながら読む。
この本はおもしろい。
直弧文の美しさや 船や鳥葬などの鳥にまつわる話を思い出し、幸せな時を過ごす。
全国の古墳の話も多く、古墳についてほとんど知らないわたしには、ためになった。
昨年11月には能楽を楽しんだ後に、心合寺山古墳(しおんじやまこふん)や愛宕塚古墳にひとりで行ったことが懐かしい。
古墳の中には複数回は行ったことはあるが、たったひとりで入った愛宕塚古墳を思い出し、またこの本に触発されたようで、これからもゆっくりペースで古墳を見てみたいなと感じる。
著者 広瀬和雄さんの話はかなりおもしろい。
調べて見ると 他にも読みたいと思う本があった。
アンテナを張り巡らせて、この先生の公演があれば是非拝聴したいと感じた。
ただ、現在は国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授。
関西にいらっしゃる間に知らなかったのは大変残念だ。
岩波株式会社より ▼
■目次
はじめに
プロローグ
―東京の古墳公園を訪ねて―
I
前方後円墳を読む
1 〈見る/見せる〉墳墓・前方後円墳
―その形と立地―
2 死してカミとなった首長
―前方後円墳の祭祀―
3 弥生神殿のゆくえ
―葬送観念の連続・不連続―
4 古墳時代の霊魂観
―装飾古墳から考える―
II
前方後円墳どうしのつながりを読む
5 初期大和政権の実像
―畿内五大古墳群―
6 地方首長をどのように統治したか
―九州と東国の例から―
7 変わりゆく中央と地方
―五世紀・東アジア情勢のなかで―
8 北と南の国家フロンティア
エピローグ
―古墳時代の新たな見方―
あとがき
図版出典
本書に登場する古墳・遺跡名一覧
現地を歩き考える、巨大古墳のひみつ
前方後円墳は、上空から見ると鍵穴の形をした、巨大墳墓。3世紀半ばから7世紀までの約350年間、東北地方から九州に至る日本列島の各地で造営された。
前方後円墳というと、天皇陵とされている古墳のように、周濠に水を湛え、鬱蒼と茂った緑を眺めやる、というものと思いきや、築造当初は葺石でギラギラ、埴輪をめぐらすなど、けっこう派手な姿。しかも現在では、考古学の知見に基づき復元され、史跡公園として一般に公開されているものが数多くある。本書は、その格好の案内役。
東京タワー下(芝丸山古墳)や、巨人軍多摩川グラウンドがあったあたりの古墳(野毛大塚古墳)など、都会にも結構、前方後円墳があるとは、意外ではなかろうか。近くに資料館を併設している古墳も多く、本書を読んで現地を訪ねれば、何かと慌ただしい現代からタイムスリップ!
さらには、墓にしては異様に大きく、同じような形を踏襲したものが、なぜ各地で造られたのか、埋葬の方法から何がわかるのか、その世界観にも大胆に推理をはたらかせる。全国の前方後円墳を探査してきた著者がたどりついた「解」に、みなさんはどんな感想をお持ちになるだろうか?