(著者の栗山民也氏が能楽に夢中だったとのことで、『天鼓』を選ぶ。)
記録だけ 2008年度 36冊目
『演出家の仕事』
著者 栗山 民也
岩波新書 新赤版 1105
2007年11月20日 第1版
221ページ 740円+税
5月3日夜中、『演出家の仕事』を読了。
久しぶりの岩波新書の新赤版は読みやすかった。
内容も芝居に関する物で、とても興味深い。
著者演出作品では、勘三郎丈と森光子出演の『寝坊な豆腐や(?)』位しか見ていないと思う。それもテレビ(歌舞チャン)。
表現法や細やかなことにも触れられていたので、今後芝居を見るにあたって、今までとは違った部分に興味を持つかも知れない。
明治から現代に至るまでで小鼓の第一人者とされていた人の鼓を打つレコードを録音したが、鼓奏者から、キャンセルされたとのこと。
当時のレコードではジージーとノイズが入る。
奏者は無の空間(間)ということが非常に大切といい、この企画は断られたとのこと。
私は能楽はまだ30回くらいしか聴いてない能楽鑑賞の初心者だが、何となく分かるような気がする。
感心したのはP.136からの「太陽劇団との出会い」の項目。
休憩を含め、5時間にも及ぶ舞台。
役者は舞台衣装のまま、観客にカレーの昼食を取らせるといった、インドを内外から感じさせる舞台だそうだ。
これは、真実、新しいのだろうか。
もう二十年以上も前になるだろうか。
ポンピドゥセンターで見た、立体的現代美術を思い浮かべる。
それは、欧州の飲み屋を音から臭いに至るまで再現されていた。
それを同方向に発展させ、また終了前には観客とインドについて、リアリティに意見を交わすといった志は、演劇に於いては斬新とも言える。
また、コメディなどの舞台の対話方式などを考えると、消して新しくはないとも感じる。
だが、インドを総合的にとらえ演出されたことを思うと、見てみなければ分からない。
要するに、この舞台が見てみたいと、無意識に感じたのに過ぎないのであろう・・・。