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2010年度 45冊目
『團十郎の歌舞伎案内』
十二代目 市川團十郎
十二代目 市川團十郎 著
PHP新書
河出書房新社
2008年04月15日 発行
237ページ 770円
以前から気になっていた『團十郎の歌舞伎案内』を楽しむ。
歌舞伎の誕生など歌舞伎に関したことにとどまること無く、伝統芸能の誕生や伝統芸能全般。
強いては当時の動きや風習なども民俗学的立場から解き明かす歌舞伎役者市川團十郎は、読み進むにつれ すごい人だなと感じた。
以前から理論家で有名なことは知ってはいたが、民俗学社折口 信夫氏の名が出てきた時には、團十郎さんとは一体どんな役者なんだろうと 驚くことしきりなし。
歴史的習俗的背景からとらえて書かれた部分は論理歴で知性的。
今まで持っていたイメージに知性がプラスされ、素敵な役者だったことに気づく。
幸四郎さんに感じる知性的な部分を市川團十郎さんにも見いだし、好きになりそうだった。
歴史的習俗的背景部分は幾分原稿的な感じがして、不思議だった。
最後まで読むと、理由ははっきりとした。
市川團十郎さんの高校までの母校でもある青山学園大学で集中講義を持たれたとのこと。
何コマの授業家はわからないが、やはり原稿をもとに書き改めたれたものであった。
納得。(プラス笑み)
歴史的習俗的背景の後は歌舞伎を通じて体験されたことや感じられたこと。
歌舞伎十八番の演目毎の詳細。
今までにテレビなどで来た話もあるが、初めての部分も多い。
こちら後半部分はわたしが以前から抱いている十二代目 市川團十郎さんのイメージそのもの。
歌舞伎役者さんらしい勢いと香りが伝わってくる、ほのぼのとした部分だ。
普通の歌舞伎役者本はここの部分だけを膨らませて書いたものが多い。
そういったことから考えると『團十郎の歌舞伎案内』は内容的に二冊分の価値があり、お得感がある。
民俗学に少し関心のあるわたしにとってこの本は満足がいくものであった。
この本で興味深い部分は二点。
P,110の『楽』という意味合い。
神楽や猿楽や散楽などは学者に寄っていろいろ言われているが、團十郎三のこの本では「遊び」という意味だと強調。
『遊び』
この考え方が日本の演劇のいちばん源であると思うと記される。
この「楽=遊び」という発想から、日本の演劇や芸能が発達したとまずは理解してもらいたいと説く。
日本の演劇や芸能の発祥は諸々の学説があるように思う。
基本は同じことを違う角度からとくと、このようにいってもいいだろう。
だが、できればどういった先生たちがいっておられるかまでを記してほしかった。
これを探すのはわたしには難しい。
もう一点は 歌舞伎では基本的なことがらであろう『柱巻という見得』
はずかしながら『鳴神』などで見られるあの!見得は、『柱巻という見得』だというのだと、本日知った。
この本を読んで良かった。
この本を読み終え、浮世絵の数々を思い出した。
團十郎や海老蔵(や幸四郎)の浮世絵は数多く残っている。
こういった内容の集中講義を受けた学生も仕合せだと感じた。
おそらくこの内容の授業を聞いた学生の中には 初めて歌舞伎を観た学生もいるだろう。
そして歌舞伎十八番の中のわかりやすい面白い演目に触れた学生は、歌舞伎を好きになった人もいるのではないかと思う。
伝統芸能に携わる演じてたちはこういった地道な活動も良いのではないかと感じた。
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『俵藤太物語絵巻』二度目を読む 22 三軸 将門に再度対面する秀郷 秀郷は偽って将門に対面した。
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『俵藤太物語絵巻』二度目を読む 21 三軸 北山の陣での対戦。影武者六人と並ぶ将門 秀郷たちの軍は将門の陣を攻めた。将門の体は金属で、同じ姿のものが六人いた。官軍は破れて退いた。
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『俵藤太物語絵巻』二度目を読む 20 中巻読了(次回から下巻) 東海道を行く官軍 朝廷からはさらに軍勢を下総に向かわせた。
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