露天神社 つゆてんじんじゃ (お初天神)
曽根崎心中でおなじみの『お初天神』に行ってきました。
ここは梅田から徒歩十分。
神社のすぐ横にはビルがそびえ建ち、近くにはゲームセンターや飲食店などの活気のある商店街。
このお初天神だけが静かに奥ゆかしくひっそりと息を潜めた感があり、ちょうど昼頃という事もあって、近くの人々や会社員がベンチでくつろいでおられます。
ビルと商店街を結ぶこのお初天神は通り抜け可能のため、会社員の方たちが昼を急ぐ姿も多く見かけました。
それほど大きくはないこの神社は昔は森の中にあったらしい、と家族が教えてくれました。
お初が勤めていた新町?はここからそれほど遠く無く、1キロ以内のところで心中すた二人の思いはまた『ウメガワチュウベイ』の二人とは違ったものだと察します……
とはいえ『ソネザキシンジュウ』の場合はチカマツモンザエモンの創作ですね……
ブンラクに限らずカブキでも度々演じられるこの『ソネザキシンジュウ』も演じられた当初、爆発的な人気の演目となったそうです。
ヨーロッパでは考えられないようなこの演目の筋書は当時は最たる悲劇のメロドラマとして、人々の心をとらえたのでしょう……
チカマツモンザエモンの作品は芝居或いは原作で読んでもワクワクし、今でも通用する奇抜な展開性が高く、とても楽しめます。
昨今のドラマを見ていてもチカマツを参考にしているものも多く、なんだかこそばがゆくなってしまうことも度々です。
『ソネザキシンジュウ』の好きな場面はわたしの場合はお初のつとめる遊郭でのこと。お初がキセルで
コンッ!
とたたく瞬間。縁側の下にはトクベイ。
思わずお初を演じている役者さんの屋号を心の中でかけてしまいます。いわゆる大向こうというものです。
ここをみたいがためにこの芝居も回を重ねてみてしまうってふしがあります。
このお初も現在ではサカタトウジュウロウさんもなんども演じられています。
この神社の中で私はサカタトウジュウロウさんの名前を二つ見つけました。一つはお初とトクベイの姿を刻まれた写真の石の近くの水しゃく道具一式の寄贈者としての名前。また後一つは平成六年の参拝者として直筆で署名されていたものが境内にはってありました。いずれも名前は『ナカムラガンジロウ』時代のものです。
私たちにとってはなんだか想像の域が広く、楽しめる空間でした。
2006’11’22