(写真は道頓堀川対岸の宝恵駕篭出発式の様子。
1/10 今宮戎の日に)
大阪松竹座壽 初春大歌舞伎
平成21年1月3日(土)~27日(火)
一月十日、夫と娘と私の三人で 大阪松竹座壽 初春大歌舞伎 昼の部を楽しむ。
今回は『義経千本桜 鳥居前』、『良弁杉由来 二月堂』、『玩辞楼十二曲の内 廓文章 吉田屋 』、『お祭り』の四演目。
家族は『吉田屋』が印象深いと言っていた。
まぁ、感想としては、妥当な線だろう。
だが、仁左衛門丈の『お祭り』は鯔背である。
にひ!!っと笑い、きり!!っとしまる。
なんと言っても、いい男っというより他はない。
蝶柄の首抜き衣装から男前の仁左衛門丈のお顔。
祭らしく、また正月にも合う獅子舞のような衣装は 江戸の心意気を感じる。
私はといえば、鼻の下はのびきり。でれでれの阿呆状態。
こんな女房、母親に、家族たちはよくつきあってくれているなぁと、心より感心及び感謝(笑み)
だが、夫の話によると、男性から見ても、仁左衛門丈の祭姿は格好いいらしい。
彼は若干の焼き餅を焼きながらも、まぁ仁左衛門丈では仕方なしといった様子。
『よしよし。お前さんも、男前だよ。』
と、内心思いながらも、声には出さない私。
感謝の念で、家族には頭が上がらない。(笑み)
『義経千本桜 鳥居前』も良かった。
というか・・・翫雀丈の大好きな私にとっては、たまらない。
『カッコイイ~!』
と、うっとり。
もうこうなれば仁左衛門と同様、理屈ではないな。
とはいえ、 好きな役者の多いこと、多いこと・・・。
両手では数え切れないほど好きな役者が多い私は、お座敷鳶ならず役者鳶か。(笑み)
孝太郎丈の静御前も、うん!!いい、いい。
いつもの事ながら、気品を感じる。
『義経千本桜 鳥居前』の花道での
「♪もうし、もぅし だんなさま~♪」
の場で、声を出して歌う香具師がいた。
誰でも知っている台詞を歌うのは、御願いだから やめて欲しいな・・・。(笑み)
好きな場面が、台無しだよ(笑み)
『良弁杉由来 二月堂』は我當丈が大熱演。
涙ぐちゃぐちゃで、顔は目張りが流れて真っ赤に頬が染まっていた。
私は我當丈が大好きなんだ!
大好きといえば 秀太郎丈も同様。
今回の秀太郎丈のメイクには感心した。
彼女、いや、秀太郎丈とはわからぬくらいの地味な作り。
上手い!
声を聞いて、秀太郎丈とわかったよ。
『良弁杉由来 二月堂』の話しは至って単純。
鷹にさらわれた我が子の様子を、母が杉の幹に張り紙。
そして再会。
こんなに短く書いたら、怒られるかな(笑み)
肉付きありを付け加えておこう(笑み)
『良弁杉由来 二月堂』の筋や台詞は結構地味だから、好みが分かれるところかな。
『吉田屋』も『義経千本桜 鳥居前』も、今までに何度観たか知れない演目だが、何度観ても良い物は良いし、楽しい。
今回も『葛の葉』の時のように 扇屋丈が熱演。
始まって三分の一くらいは台詞のあとに手の仕草やしなをつけ、人形浄瑠璃のような手法を取り入れ、籐十郎丈の仕草を上手く取り入れられていた。
そこの部分は特に好きだったな。
中判にさしかかり、今度は細やかさと言うよりも、全体の雰囲気で演じられていた。
籐十郎丈とは少し演じ方は離れたが、若さがあって良しとしよう。
ただ残念なことに、冬芝居でありながら暑苦しかった。
寒さを感じさせないのが、惜しい。
茶をこぼし、ぬぐう場面で、着物に汗が落ちたのには少し唖然。
茶(実際には無い)をぬぐわず、少々汗に目を奪われ、手ぬぐいでおさえておられた。(笑み)
舞台はことのほかライトなどで暑いのだろう。
役者さんたちのご苦労を 身にしみて感じた演目であった。
『吉田屋』は家族の言うように、今回印象深い舞台であった。
全体に楽しめ、満足した。
籐十郎丈が少し控えめで、扇屋丈をもり立てておられる様子が伝わってきた。
こういったふとした ほんの一瞬の表情は、役者さんのお人柄が伺えて、私は好きである。
夕霧といえばこんな事があった。
私が観た十日、伊左衛門が炬燵で寝ていて 夕霧が入ってきたときのこと。
たいへんに上手い、いい声の大向こうがかかった。
「成駒屋!!」
アラ!ら~、やっちまったね。(爆)
扇屋丈は最近めきめきと力をつけられているのだろうか・・・。
ここのところ、注目し始めている役者さんの一人である。
紙衣着て引っ張られる仕草や夕霧をのぞき見に行く場面。すねる、ふて寝、炬燵またぎ・・・何度観てもこの芝居『吉田屋』は かわいいな。
また、めでたしめでたし!が、心地良い。
途中で今宮戎の宝恵駕篭に乗られた扇屋丈の様子なども盛り込まれ、初春らしい華やぎの感じられる舞台に仕上がっていた。
待ってました!!
またまた 『お祭り』に戻ってきた。
もう、何も申しますまい。
親子そろわれての息(粋)の合うこと、この上なし。
良かったとだけ、付け加えておきましょう!!
昼の部
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 鳥居前
佐藤忠信実は源九郎狐 翫 雀
源義経 愛之助
武蔵坊弁慶 薪 車
静御前 孝太郎
二、良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい) 二月堂
良弁大僧正 我 當
僧順円 吉 弥
同法善 薪 車
渚の方 秀太郎
三、玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう)
吉田屋
藤屋伊左衛門 扇 雀
吉田屋喜左衛門 段四郎
女房おきさ 竹三郎
扇屋夕霧 藤十郎
四、お祭り(おまつり)
鳶頭 仁左衛門
芸者 孝太郎
最後になりましたが、この記録はあくまでも一月十日に演じられた舞台を観た、個人的な感想です。
他の日や 他の方はまた違った印象を受けられるかも知れません。
お気づきの点などがございましたら、お教え下さいますれば嬉しいです。