新歌舞伎『あらしのよるに』 2.0★/5 発刊30周年記念 中村 獅童 きむらゆういち 原作(講談社刊) 今井豊茂 脚本 藤間勘十郎 演出・振付
新歌舞伎『あらしのよるに』を観た。
おそらく、自宅で動画を見ていた分には、小半時間で見ることを断念したであろうと思われる舞台であったことを始めに記しておきたい。
役者が誰かが分からないような厚化粧の本舞台であったが、中でも個性的な顔である中村 獅童と、二枚目差を隠せないほどの個性的な河原崎 権十郎だけは、出てきた瞬間で誰かが解る。
また、良い意味で独特の声と言い回しの市村 萬次郎は、人声聞いただけで誰かが解る。
付け加えておくならば、私は毎度歌舞伎鑑賞の際には、出演者のチェックなどは入念さに欠けるのだが、そんな中でさえ、上の三人は、即座に分かった。
また、脚本に多少の強引さが見られるが、そんな台詞でさえ中村 壱太郎は歌舞伎にしていた。
歌舞伎らしく感じられたのは、市村 萬次郎、中村 壱太郎、河原崎権十郎、坂東 新悟など。
新歌舞伎と雖も、歌舞伎の基本から大きく逸脱した言い回しは、私としては感心しない。
舞台全体は、歌舞伎のだいご味ともいえる場面が多く散らばしてあり、1970年代の猿之助劇団のスーパー歌舞伎の小型版を思い浮かべた。
当時の猿之助劇団起用の 京劇とまではいかないが、とにかくアクロバットのように、くるくるバク転で舞っておられた。
全体を通して、振り付けは良かったように感じる。
会場中は大興奮で、ことあるごとに手拍子爆発。
こういった芝居も、時の流れか、、、とほくそえむ。
上にも書いたが、絵本がベースとなっているため、歌舞伎本来の江草などがない。
全体を通して、【人情物】に加えてのこのようにに成り下がっていた・
私は歌舞伎で、このように【教訓】を前に出す重厚さに欠ける話があまり好きではない。
説経くさく、くどい。
歌舞伎で【教訓】は、ひらひらと薄過ぎる、、、と感じたのは、私だけか。
そんな中でも、上にも書いた通り、うまい役者がいて、歌舞伎を逸脱しなかった。
さぞや、やりにくい舞台であろうと察したが役者もしょせん、お金儲け。
やらざるを得ないのであろうと感じた。
会場を見渡すと、いつもとは違うおしゃれ度の観客が多く、また子連れも多い。
上演中はあちらでもこちらでも、大きな声で親子で話している。
せっかくこのような経験をさせてあげていらっしゃるなら、ついでの観劇マナーもお教えになられればいいのだが、親御様が率先して話されていらっしゃった。
会場スタッフも注意といった配慮はない。
芝居を観たい観客は大声の雑談を、あきらめる以外にはなかった。
感心したのは、狼六法。
あれを狼六法とよんで良いのかどうかはわからないが、狼が振る六法を始めて見たので、興奮した。
ただし、この六法を振っているときも、会場中が爆発の手拍子。
歌舞伎の六法で手拍子はいささかなじみのない風景だが、観客は大変盛り上がっていたのであろうと、ほくそ笑む。
全体の感想は 2.0★/5と、低め。
上にも書いたが自宅で動画なら、小半時間で見ることを断念した舞台であった。
がぶ めい みい姫 はく 穴熊ぴか たぷ 山羊のおじじ がい 狼のおばば ぎろ |
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