フェリーを降り立ち、ホテルに戻った私たちは、まず何よりも溜まっていた洗濯物を片付けました。
洗濯時間は30分。
乾燥時間は1時間半という長丁場。
おかげですっかりフワフワに出来上がりました。
さすがにこの年になると、暇があっても街中へ出歩きたい気分にはなりません。
少しでも休息を取る・・・でないと、後々困りますから。
そして夜・・・・
一ヶ月前から予約しておいたお店へ向かいます。
割烹あけぼの
https://tabelog.com/okinawa/A4705/A470501/47001969/
食べログやGoogleのクチコミを片っ端から読み漁った結果、こちらの店がヒットしました。
地元民に人気ということで、既に満席状態。
前もっての予約は必須のようです。
人当たりのよいお姉さんにお世話されながら、とにかくメニューを隅から隅までチェック。
ある程度、人気メニューを絞ってきていたので、迷うことはなかったのですが、とにかく美味しそうなラインナップに喉が鳴りました。
ひとまずビール&お茶で乾杯!
くはあぁぁぁあああ・・・・・・染み渡るぅ・・・
沖縄で飲むビールは最高ですね。
ささっと登場したのが付きだし。
島らっきょうと鰹の煮物。
どっちもうまかぁ!
そしてお待ちかね、お刺身盛り合わせ(画像は一人前:2000円)がででんとお目見え。
盛りだくさんのネタに心躍り、目が輝きます。
鰹と烏賊が特に美味しかったなあ。
そしてこれ!
石垣牛の握り・・・他、烏賊、鮪のトロ、カンパチ・・・
うんまい!どれもこれも美味しい!
石垣牛の握りにはニンニクが挟まっていて、それがまた良いんです。
蛸の握りも思ったより柔らかくて、いい味わいでした。
こちらは「赤マチ」(沖縄三大高級魚の一つ、ハマダイの事)のカマの煮付け。
これまた甘辛い味付けが素晴らしい。
鮮度の良い身はホクホクだし、目玉は特上に旨いし。
二人して、むしゃぶりつくように頂きました。
ちなみに当初、「浜崎の奥さん」(トガリエビス)という魚の煮付けを頂きたかったんですが、残念な事に売り切れだったんです。(涙)
ちなみに皆さんはバターソテーが旨いと仰っていました。
んでもって、これはアバサーの唐揚げ。
「アバサー」とはハリセンボンの事。
なので結構小骨が多いんですよ。
でも淡泊な身は揚げることによって、すごくうま味が出てくる。
レモンをギュウギュウに搾って、爽やかに頂きます。
石垣島名物、養殖の車海老!
皮も柔らかいので、ペロッといけました。
〆は梅しそとゴーヤの細巻きを。
口の中がさっぱりして、大満足。
特にゴーヤにはおかかが混ざっていて、とても美味しかった。
自宅でも真似したいですね。
二人で9450円でした。
は?締めたんとちゃうんかい!!?
・・・・という冷静な突っ込みが飛んできそうですが、旅先の胃袋は常に何かを求め続けている。
ちなみに私ではありません。
主人です。
いつの間に調べていたのか、あけぼのさんから徒歩二分ほどの場所にある、こちらの路地奥の店を案内されました。
「メンガテー」という如何にもスナック!って感じの店構えに、「え?わたしもう飲めませんけど?」と心の中で呟く。
しかしここは「石垣島おでん」が有名らしく、その上、「八重山そば」まで頂けるとのこと。
店内から三味線の音色が聞こえてくるので、ちょっとドキドキしながら入店したら、カウンターにはカップルが一組。(相当いちゃついてる)
三味線を持つおじいさん一人。
小上がりにはサラリーマン?らしき集まりが一組と、観光客らしき男性客が一組。
これでほぼ満席状態。
私たちは当然、空いたカウンター(カップルの隣)に座らざるを得ませんでした。
明らかにスナックなのだけど、何故か三味線を鳴らすおじいさんの独断場。
ママらしき婦人と、若くて綺麗なお姉さんが切り盛りしてらっしゃいます。
「飲み物は?」
「あ、飲んできたんでいいです。そばとおでん盛り合わせ下さい。」
いかにも観光客風情の私たちに慣れているのか、何も言わず水を提供してくれたお姉さん。
むしろ水すら要らないほどお腹は満たされていたけど、ここまで来たら腹を括らねばならぬ。
三味線のもの悲しい音色を聴きながら、賑やかになりきれていない店内を見渡すと、かなり年季が入っていると判る。
ちなみにビールは一本1000円。
おでん盛り合わせも1000円。
さすが飲み屋さん・・・価格設定が酒寄り(笑)。
(酒飲んでもらわな、儲からんがな)
問題はすぐ後に発覚した。
カウンターの目の前にあるおでん鍋から、次々と皿に盛られていくおでん。
1番目はテビチ。
一つかと思いきや二つ。
それもデカい。
さらに、ソーセージ、こんにゃく、卵に大根、ちくわに厚揚げ・・・とどめに青菜どっさり。
え?ちょっと・・・・待ちたまえ。
普通、形だけ小綺麗に、そっと乗せて出してくるのがスナックの常套手段でしょうが。
何?そのモリモリ感。
何、そのサービス精神。
いくらおでん好きとはいえ、私そんなに食べられませんよ?
ちらっとベタベタカップルの手元を覗けば、そこにもおでん盛り合わせが・・・。
それもだいぶ食べ残している。
ひいい・・・・・やばい店に来たぞ・・・おい。
ドーーーーーーン
ああ、何か比較出来る物があれば良いのだが。
ものすごい重量ですよ、この一皿・・・。
そうこうしている内に、隣のおじいさんが三味線を止め、そろそろ帰ると言い出した。
しかしこのおじいさんの目の前にあるおでん皿は一つも口が付けられて居らず、それを袋に入れて持ち帰ると言う。
ものすごく慣れた感じでママにお願いする老人。
三味線の演奏に対して、色々話しかけるサラリーマン一行。
帰ると言ってからなんだかんだで10分は居ただろうか。
おじいさんが立ち去った後、サラリーマンは尋ねた。
「ママ、あの人、常連さん?」
「いや、初めてやよ。・・・・私の母親がやってた時代に一度来た事あるらしいけど。それも40年前の話や。」
「まーじーで?俺らと一緒やん。」
その事実を知った客一同、大爆笑。
もちろん私も笑った。
隣のイチャコラカップルも大笑いした。
ここに居る全員が皆、一見さんだったことに笑った。
そしてどこからやって来たのか?という、酔っ払い特有のどうでもいい質問が交わされ、皆それに愛想良く応える。
しかし私は目の前の現実の方が深刻だった。
何せ隣の人は・・・・・
これ(↑)を完食せねばならないのだから。
半分ずつ・・・残しておこう。(心の声)
大根は柔らかく、味が染みていて最高だった。
ソーセージも、ちくわも、テビチなんかは箸でホロホロと解けるくらい柔らかい。
しかしボリュームが半端ない為、どうしても途中で手が止まってしまう。
青菜のほろ苦さはむしろ救いだった。
だがこんにゃくがトドメを刺したのか、それから箸が動かなくなってしまった。
隣のカップルはいちゃつきながら蕎麦を啜り合い、背後では皆が楽しそうに歓談しているが、私の胃はもはや爆発寸前だった。
「もう、無理。卵とテビチ、食べてくれる?」
そして主人は頑張った。
崩れきったテビチを一生懸命箸で掬い上げた。
無論、彼にも限界は近付いていた。
テビチの無残な残骸を残し、私たちは店を去った。
お会計1600円
おでんの味は確かに旨いし、これで1000円はすごく安いと思う。
八重山そばに関しては、西表島の「猪狩家」の方が旨かった。
無理して食べてもろくな事にならない・・・と過去幾度も経験しているのに、本当に愚かな事をしてしまった。
でもあのおじいさんの三味線は上手だったな。
どこかで冷めたおでんを食べながら、またもの悲しい音色を奏でていることだろう。
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てなわけで、二日目の夜はこれにて終了。
ホテルに帰って、速攻胃薬に手を出したことは言うまでもない。
<其の十一へ続く>