先日、写真教室のセンセと仲間で、伊丹美術館で開催されていた「大原治雄写真展」に行った。
写真家…平間至さんが、ギャラリートークされるのに合わせて,、私たちは、出かけたのだが、NHKの「日曜美術館」で紹介されたからだろうか、何十人も集まったのには驚いた。
大原さんは、1927年、17才の時、高知から移民としてブラジルに渡り、コーヒー農園を開拓した人、ブラジルの自然や家族たちの姿を撮影したアマチュア写真家。
過酷な労働の日々であったにもかかわらず、そのつらさを感じさせない、農園の風景や、家族の日常を切り取ったモノクロームの写真の数々。光の使い方、巧みな構図は、美しくスタイリッシュと言っていいほどだ。
私には、移民としてペルーに渡り、養鶏場で働き、終戦後、敗戦国となった日本に戻るに戻れず、アメリカに移住した叔父がいる。
大学時代、シカゴに住む叔父を訪ねたときに、涙を流して語ってくれた叔父さんの人生に思いをはせる。
一度、日本に戻り、幼い私と一緒に撮った叔父さんは、写真の中で、笑っている。
もう、随分前に亡くなった叔父さんの笑顔を、もうリアルには、見ることはできない。しかし、写真は、それを鮮明に記憶してくれる。
大原さんは、妻・幸さんの死後、9人の子どもたちひとり一人のために、過去の膨大なネガを見直し、1冊あたり300枚近い写真を選び焼き増しし、その子の特徴や母の思い出、家族の歴史を1年がかりで『アルバム帖』を、作成した。
このファミリーフォトの記録を通じて、私たちは、家族の風景を、普遍的なものとして寄り添って見ることができる。
写真の力を感じた写真展でした。伊丹美術館での展覧会は、終了して、次は、清里フォトアートミュージアムに、巡回するそう。10月22日からで、少し時間があくが、機会があればぜひ。