畑の片隅が一面の薄紫色になっているのが見えた。
シオン(紫苑)が咲いていたのだった。
シオンは背丈が人の伸長と同じくらいになるほどの花。
庭で育てられていることが多いけれど、野草なんですよね。
以前にどこかの野草園で見たことがあったと思う。
今昔物語に出てくる花なので、平安時代末期には日本にあったのでしょうね。
今昔物語の中では、父の死をいたむ兄弟の物語がある。
『父の死後、兄弟それぞれが墓前に花を植えた。
兄は忘れ草(カンゾウ)、弟はシオンを植えた。
時がたつにつれ、兄は墓参りをしなくなったが弟はずっと墓参りを続けた。
墓の中には父の屍を守っていた鬼がいて、その鬼が感心な弟に予知能力を与えたため、弟はそのおかげでずっと幸せに暮らした。』という話。
その後は忘れたくないことがあるときには紫苑を植えると良いと語り伝えられている。
そこから来たのかどうか、シオンの花言葉は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」などとなっている。
学名:Aster tataricus
英名:Tatarian aster
別名:オニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)
科・属名 :キク科 シオン属
原産地: 日本、シベリア、中国、朝鮮半島
[9月初旬のシオン]
[10月初旬のシオン]
開花期間が長いためなのか、9月には蕾が多かったものが、10月にはほとんどが開いていた。