第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

コミニケーションエラーが医療訴訟のKey

2021-01-10 17:18:16 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。

医療訴訟に発展する原因のうちにコミニケーションエラーが様々な研究結果から重要であることがわかってきています。

Ref) Malpractice Risks in Communications Failures, 2015 Annual Benchmarking Report, CRICO Strategies

これは、自分が我が国の医療訴訟ケース3400例を解析した印象としてもほぼ同様の感覚をもっています。これはもうまずいなぁという医療訴訟はかならず重大なコミニュケーションエラーがあります。有名な大学病院の医療訴訟などで、医局毎に同じ手術件数を競っていたり、適切な会話ができない雰囲気は必ずエラーが発生しますので、そのようなDisruptive behaviorがあればなるべく早い段階で認識して、評価して、介入しなければならないと考えています。

しかし、それを客観的に数値化することは困難です。

コロナの速報をみていて、本質的なことは同じように感じます。よりよい治療法やワクチンを開発して確実に提供することも大事ですが、システムレベルで(私達は知りません的な、押し付け合い)縦割りの構造をできるだけ減らし、良質な患者ケアの提供ができるかはとても重要な問題と思います。日本の医師数は1000人あたり米国並ですが、病床数が桁違いに多く、少ない医師人数で多くの病床を見ているという諸外国では信じられない状況がじつはあります。

作ってしまった病床数は利益をあげないと潰れてしまいますので、我が国がもつ本当の意味での病床数が効率的効果的に機能するためには極論するとMacro system レベルでのコミニケーションとシステムの改善にありますし、Micro system レベルでは組織-組織、集団-集団、医局や講座レベルで共通目標(Vision とコンセプト)の設定が必要だと思います。

日本で最も救急搬送件数を受け続けている古巣の研修病院が取り上げてられていましたが、病院間での連携と適切なコミニケーションがやはり重要だと思います。施設や後方支援病院や外科系の診療科など、知らない、見たこと無いものに対して医療者が不安になるのは当たり前だと思います。経営上の問題もあるでしょう。

我が国の医療の歪を俯瞰的に観察するに、よかれと思って責任感をもって頑張るところに必ずしわ寄せがくるようなシステム的な欠点があります(逆を言えば、国民皆保険もフリーアクセスなど良い面もそれ以上に多いと思います)。SNSのツイッターを見てしまうと疲れるので、見ないようにしているのですが、一言ではYes/No、良い悪い判断は不可能で難しい問題です。

 

話を戻しますと

Malpractice Risks in Communications Failures, 2015 Annual Benchmarking Report, CRICO Strategies

 

医療裁判にまで発展する原因としてコミニュケーションエラーが(これはうっかりとかいうレベル以上に)があるそうですが、もっともっと根深い人間としての問題があるように思います。このあたりを近いうちにHarvardのメンターと研究に落とし込みたいなぁと今は考えています。