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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

結果を残せていないことに焦りを感じるジョナサン・ラーソンに共感しつつ、演じたアンドリュー・ガーフィールドのマルチっぷりに驚く『tick, tick... BOOM! : チック、チック...ブーン!』

2021年12月16日 00時18分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:18/265
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
ミュージカル
自伝映画
ジョナサン・ラーソン

【元になった出来事や原作・過去作など】
・ミュージカル
 "tick, tick... BOOM!"(1990)

【あらすじ】
舞台は1990年のニューヨーク。
ウェイターをしながら、
アメリカのミュージカル界での大ブレイクを狙い、
作品を創作中の若きミュージカル作曲家、
ジョナサン・ラーソン(アンドリュー・ガーフィールド)。
ブレイクのチャンスとなる公演を目前に控えたある日、
ジョンはさまざまな要因によるプレッシャーで焦りを感じていた。

ニューヨークを出て、
芸術活動を広げることを夢見る恋人のスーザン(アレクサンドラ・シップ)、
夢をあきらめて経済的な安定を追い求める友人のマイケル(ロビン・デ・ヘスス)、
さらにはエイズのまん延で破滅的な影響を受ける芸術界。

残された時間で一体何をすべきなのか?
刻一刻と期限を迫られる思いのジョンは、
人生の岐路に立たされ、
誰もが避けられない問いにぶつかる。

【感想】
『レント』(1996)で有名なジョナサン・ラーソン。
本作は、彼の自伝的ミュージカルを映画化したもの。
ネトフリでも配信してるけど、
これは映画館で観て欲しいわ(今日で都内は上映終了だけどw)。

これがすごく面白かった!
30歳を目前に控え、
変に焦り出すジョン。
なぜなら、様々なミュージカルの楽曲を手掛けた
スティーヴン・ソンドハイムやビートルズのメンバーは、
その年頃にはもう成功を収めていたから。
彼らと比較して、
まだ何もできていないことに焦りと苛立ちを感じる
ジョンの気持ちはよくわかる。
決して競争するものではないけれど、
仕事でもスポーツでも、
やっぱり他人の成功を見てしまうと、
「自分は何をやっているんだろう」って思うことはあるから。
特に、30歳前後の人なら共感しやすいかもしれない。

ジョン自身もあれだけのミュージカルを生み出せるクリエイターだからね、
なかなかのアスペというか没頭っぷりだった(笑)
曲がどうしても書けなくて、
他のことに手がつかず、
電気代も払わなければ、
恋人のスーザンの進路についてもほぼスルー。
それにしびれを切らして口論になるのだけど、
それすらも「歌にできないか」と考えてしまい、
余計に彼女を怒らせる始末(笑)

劇中で使われる歌のほぼすべては
ジョナサン・ラーソンが作ったもの。
ミュージカル映画というだけあって、
ソロからデュエット、大合唱まで、
様々な歌が聴けるのは映画の『レント』と同様で面白い。
ただ、今回は映画館の音響設備がよかったこともあってか、
より歌のクオリティが高く感じられたかな。
特に、カレッサを演じた
ヴァネッサ・ハジェンズのパフォーマンスは圧巻!
声量がとんでもないんだけど、
ずっと笑顔で歌い続けられるところが尋常じゃない。

でも、今回一番驚いたのは、
ジョンを演じたアンドリュー・ガーフィールド。
『アメイジング・スパイダーマン』(2012)でスーパーヒーローもやりつつ、
『ハクソー・リッジ』(2016)で戦争モノも出て、
『沈黙 -サイレンス-』(2016)で神父も演じる。
かなり幅広い役を演じてきてるなって思ってたところに、
こんなにも歌って踊れちゃうのかよって。
もともと舞台がキャリアのスタートだからこそ成せる業なんだろうなー。

ミュージカル映画好きな人は観て欲しい。
伝記的な映画って淡々としていることが多いんだけど、
歌と踊りがあるおかげで、
メチャクチャ面白いエンターテインメントに仕上がってるので。

Watch tick, tick...BOOM! | Netflix Official Site

On the brink of turning 30, a promising theater composer navigates lov...

 

基本まったりとした医療モノ『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』

2021年12月16日 00時15分37秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年秋ドラマで面白かった順位:2/2
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【要素】
医療ドラマ
ヒューマンドラマ
放射線技師

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 横幕智裕『ラジエーションハウス』(2015~)

・テレビドラマ
 『ラジエーションハウス 〜放射線科の診断レポート〜』(2019)

【あらすじ】
前作から2年。
アメリカでのプロジェクトがひと段落した
診療放射線技師の五十嵐唯織(窪田正孝)は日本に帰国。
もともと勤務していた甘春総合病院への復帰を望んでいた。

しかし、そこでは新院長の灰島将人(髙嶋政宏)が病院の合理化を実施。
放射線科医はいらないと言い出し、
読影はすべて外部の『遠隔画像診断センター』に委託してしまう。
それに伴い、ラジエーションハウスも規模を縮小。
かつてのメンバーたちも、
広瀬裕乃(広瀬アリス)と小野寺俊夫(遠藤憲一)以外は、
他の病院へ転職などしていた。

一時はこのままバラバラで終わりかと思ったものの、
ラジエーションハウスの必要性が認められ、
全員戻ってくることに。
こうして、再び忙しい日々が始まろうとしていた。

果たして、大きなトラブルもなく業務を続けられるのか。
そして、五十嵐と杏(本田翼)の関係性の発展はあるのだろうか。

【感想】
よくも悪くも前作のまんまかなっていう印象だった。
医療ドラマにしては、
そこまで緊迫感や緊急性が強い感じではないかなー。

だから、個人的にはそこまでハマりはせず(笑)
その分、技師同士の絡みや患者との向き合いに
尺が割かれていたようには感じるけど。
技師たちはもはや同僚というより家族みたいな感じがするぐらいには仲がよくて、
こういう職場はちょっといいなと思ったり(笑)

ただ、意外に泣けたりするんだよ。
個人的には、第4話でたまき(山口紗弥加)の母・るり子(中田喜子)が
登場した回はちょっとうるっと来た。
おせっかいながらも娘の身を案じる母親の姿にね。

あとはやっぱり、
放射線科の検査でそんなことまでわかるんだっていう勉強にはなる。
一般人からしたら、
画像のどこがどういう色だとどうなんだってのがさっぱりだけど、
それで見つかる病気もあるから。
第8話に出てきたセルトリヒ・ライディッヒ腫瘍。
これが子宮にできると、
男性ホルモンが出て、
声が低くなったり、
脱毛が起きたりするらしい。
最終回に出てきた先天性の異常代謝であるファブリ病なんかも、
このドラマを観なかったら一生名前すら知らなかったかもしれない。

灰島院長との対立はけっこうあっさり終わったよね。
要は、ラジエーションハウス側は「ひとりの患者にもしっかり向き合う」ことを信条とし、
院長としては「合理的判断で利益を取る」ことを重視する。
結局、どちらも患者を救うことに変わりはないってことで決着したけど、
11話も続いた主張の対立が、
たったの5分でカタがついた。
まあ、ドラマだったらそんなもんか(笑)

ドラマは最終回だったけど、
12月20日にスペシャルがあって、
2022年4月29日に劇場版が公開されるらしい。
けっこう人気なんだなー。

ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~ - フジテレビ

ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~ - オフィシャルサイト。毎週月曜よる9時放送。出演:窪田正孝 本田翼

フジテレビ

 

ロンドンで夢と希望に満ち溢れた少女が恐怖と絶望に陥る新感覚ファッショナブルホラー『ラストナイト・イン・ソーホー』

2021年12月14日 00時27分32秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:18/264
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
ホラー
スリラー
タイムリープ
ファッション

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、
ロンドンのデザイン学校に入学する。
しかし、同級生たちとの寮生活に馴染めず、
ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。

新居のアパートで眠りに着くと、
夢の中で60年代のソーホーにいた。
そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会うと、
身体も感覚も彼女とシンクロしていく。
夢の中の体験が現実にも影響を与え、
充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、
タイムリープを繰り返していく。

だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。
その日を境に現実で謎の亡霊が現れ始め、
徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。
そんな中、サンディを殺した殺人鬼が現代にも生きている可能性に気づき、
エロイーズはたった1人で事件の真相を追いかけるのだが……。

果たして、殺人鬼は一体誰なのか?
そして亡霊の目的とは-!?

【感想】
この前観た『マリグナント 狂暴な悪夢』に続き、
メチャクチャ面白かったホラー映画。
最近の海外のホラー映画、きてる(笑)
この映画は主に3つの点で非常に秀逸だと思った。

①予想できないストーリー
話がどう転ぶのか最後までわからなくて、
よく練られたストーリーだなって思った。
エロイーズが夢の中で出会う艶やかな雰囲気を身にまとったサンディ。
彼女は一体何者なのか、
よくわからないまま、
なぜかエロイーズとサンディは身体と感覚がシンクロしていく。
そして、夢の中の出来事のはずなのに、
現実世界にも影響が出始めて。

こういう設定は他の作品にもあるけれど、
まさかすぎる展開にびっくりだった。

②思わず見とれてしまうほどの煌びやかな光景
エロイーズが夢の中で迷い込んだのは1960年代のソーホーなんだけど、
その街並みの再現がすごい。
中でも一番目に焼きついたのは、
夜なのに夜だと感じさせないぐらいの光の数々。
夜のディズニーランドのワールドバザールかのような、
暖色系の光が街を照らす姿が本当に美しかった。
劇中の映画館に『007/サンダーボール作戦』の看板があったのも、
『007』ファンとしては感慨深い。

また、エロイーズが昼間着ている服やサンディのドレスもオシャレで、
ホラーなのにファッショナブルというギャップもよき。

③圧倒的な美しさを放つ2人
この映画の一番のポイントはここと言っても過言ではないかもしれない。
メインの2人が美しすぎるのなんのって。
『ジョジョ・ラビット』(2019)や『オールド』(2021)のトーマシン・マッケンジー。
『スプリット』(2016)や『クイーンズ・ギャンビット』(2020)のアニャ・テイラー=ジョイ。
この2人がとにかくオーラありまくり。

トーマシン・マッケンジーはまさに美少女そのもの。
透き通るような白い肌に、整った目鼻立ちが本当に綺麗。
一方、アニャ・テイラー=ジョイは艶やかな美女。
どこかに闇を抱えてそうな雰囲気を醸し出しつつ、
まわりの男を次々に魅了していくエロさを持つ。
それに、2人とも肌の色が白くて、
ブロンドヘアがものすごく似合うんだよ。

でも、ただかわいいだけじゃないのがこの2人のいいところ。
精神が病んでいるときの死にそうな表情や、
ピンチに陥るときの鬼気迫る表情なんかは特に印象的。
美女と恐怖、美女と絶望、美女と狂気、
美女ってだけで正の方向に振り切ってるから、
負の現象との対比がものすごく映えるなって思った。

ひとつ気になるところがあるとすれば、
エロイーズのもともと幻影が見える力はなんだったのかな(笑)

ホラーなんだけど、
ファッショナブルだし、
色使いは綺麗だし、
そういう意味でも斬新なホラー映画だと感じる。
そんなに怖い話でもないし、
いろんな意味で目の保養になるので、
ぜひ観て欲しい作品。

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』オフィシャルサイト

2021年12月10日(金)全国公開|『ベイビー・ドライバー』エドガー・ライト最新作!アニャ・テイラー=ジョイ×トーマシン・マッケンジー、注...

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』オフィシャルサイト

 

起きてしまった未曾有の大惨事にどう対処していくかを描いたヒューマンドラマ『日本沈没ー希望のひとー』

2021年12月13日 00時18分38秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年秋ドラマで面白かった順位:1/1👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★★☆

【要素】
ヒューマンドラマ
自然災害
日本沈没

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 小松左京『日本沈没』(1973)

・漫画
 さいとう・プロ『日本沈没』(1970年代)
 一色登希彦『日本沈没』(2006~2008)

・映画
 『日本沈没』(1973、2006)

・ラジオドラマ
 『日本沈没』(1973、1980)

・テレビドラマ
 『日本沈没』(1974)

・アニメ
 『日本沈没2020』(2020)

【あらすじ】
2023年、東京。
東山総理(仲村トオル)は、
世界環境会議で地球物理学の権威である世良教授(國村隼)のもと、
「COMS<コムス>」のさらなる推進を高らかに表明した。
これは二酸化炭素を排出しない新たなエネルギーの抽出施設だ。

さらに、官房長官の長沼周也(杉本哲太)が、
東山が“未来の日本”を見据えて各省庁の優秀な若手官僚たちを集めた
“日本未来推進会議”を発足すると発表。
そのメンバーに環境省の天海啓示(小栗旬)、
経産省の常盤紘一(松山ケンイチ)も選ばれていた。

ある日、ネットに関東沈没へ警鐘を鳴らす
田所雄介(香川照之)の記事が載る。
「近い将来、伊豆沖で島が沈没する。
 その島の沈没は、私が恐れてきた関東沈没の前兆になる」
と予言する田所。

誰もが暴論だとして相手にしなかったが、
その予言は的中する。
さらに、沈没した日之島を始めとして、
関東どころか日本全体が沈没する可能性が確定的となる。

天海を始め、
政府は日本の全国民を救うため、
あらゆる手段を講じることになるが……。

【感想】
今季一発目の最終回。
これまでの日曜劇場の中では
一番スケールが大きかったんじゃないかな。
ハリウッドだったら、
パニック映画でラストに涙する流れになりそうだけど、
このドラマはそうじゃない。
日本沈没という前例のない自然災害に対して、
天海たちは何をするべきなのか、
何ができるのかを描いたヒューマンドラマだった。

正直、前半はちょっと退屈な印象があった。
日本が沈没することはタイトルから明らかなのに、
全然沈没しなくて。
しかも、ラスト5分ぐらいにならないと
事件らしい事件も起きなかったからね。
田所博士の主張に誰も耳を傾けず、
それを支持する天海にも白い目が向けられる中、
「早く沈没して、ほら言わんこっちゃない!ってならないかなー」
と待ってたぐらい。
これはもうハリウッド映画の同じようなシチュエーションが、
ほとんどパニック映画になって、
早々に人々が危機に陥ってるのに観慣れていたから、
余計にそう思ったのかもしれない(笑)

実際に日本沈没がほぼ確定的となって、
日本国民を海外に移住させることが決まってから面白くなってきた。
アメリカと中国との交渉が特に。
2つの大国と同時に話を進めて、
アメリカが先走った報道をしたために中国が怒るとか、
規模は違うけど、
普段の仕事でもありそうな話に共感した人も少なくないのでは。
移民枠の獲得のために、
日本の企業の移転や文化財を手放すなどの話は、
世のビジネスマンも身近に感じられる一幕だったかもしれない。
もし本当にこのドラマのようなことがあったら、
日本の持つIPやキャラクタービジネスの版権も
交渉材料に使われる可能性あるなーなんて思ってたけど。

政府まわりのてんやわんやは、
『シン・ゴジラ』(2017)における、
全然動かない政府を彷彿とさせる部分もあったけど、
このドラマは天海という熱意と行動力のある人物がいたおかげで、
とても前向きに進んでいたように感じる。
それも、彼が言っていた
「日本という国がなくなっても、"人"という財産は残る」という、
すべては"人あってこそ"という主張が根底にあってこそ。

総じて、このドラマは日本には底力があるという
応援メッセージのようにも受け取れた。
第二次世界大戦で負け、
関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災と、
過去にも大きな痛手を何度も負ってきたけれど、
そのたびに力を合わせて復興してきた国だからこそ、
きっとこれからもがんばれると。
まあ、最終回でいきなりウィルスの変異株の話が出て、
割とすぐに特効薬が見つかってしまったのは、
ちょっと都合よすぎる気もしたけど(笑)

そういえば、終盤で常盤が泣きだして、
同僚からハンカチ渡されたときに鼻かんで、
そのまま返したの、
すごいハリウッド映画っぽいなと思った。
日本のドラマや映画で、
泣いているときに鼻かむシーンってそんなにないから。
ネトフリで配信しているからかな(笑)

日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』

毎週日曜よる9時放送。出演は小栗旬、松山ケンイチ、杏、仲村トオル、香川照之ほか。諦めずに未来を信じ続けた者たちの究極の人間ドラマ。

TBSテレビ

 

リアリティを追求した制作スタイルに圧倒される『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』

2021年12月12日 17時41分33秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:146/263
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
アクション
シリア内戦
市街地戦

【元になった出来事や原作・過去作など】
・雑誌記事
 Luke Mogelson"The Desperate Battle to Destroy ISIS"(2017)

【あらすじ】
物語の舞台は、
かつては文化の中心だったが、
長引く紛争で今ではすっかり荒廃したイラク第2の都市モスル。
この地で働く21歳の新人警察官カーワ(アダム・ベッサ)は、
ISIS(イスラム過激派組織)に襲われたところを、
あるSWAT部隊に救われる。

部隊を率いるジャーセム少佐(スヘール・ダッバーン)は、
カーワをその場でSWATの一員に徴兵する。
彼がISISに身内を殺されたという、
入隊条件を満たしていたからだ。
彼らは10数名の元警察官で編成された特殊部隊で、
本部からの命令を無視して独自の戦闘を行っていた。
彼らを繋ぐ使命は秘密で、
カーワにも明かされない。

やがて手段を選ばない激烈な戦闘で仲間を失っていく中、
絶望的な状況に直面する。
それでも部隊は、
ISISの要塞へと向かう決断をするのだが──。

【感想】
『アベンジャーズ/エンドゲーム』のルッソ兄弟がプロデューサーってことで鑑賞。
シリア内戦において、実際にあった「モスルの戦い」。
それに関する雑誌記事をベースにしたのが本作だ。

市街地における銃撃戦がメインで、
映画の始まりから終わりまで、
どこかしらで銃声や爆音が聞こえるぐらい、
至る所で戦闘が行われている様子は、
日本に暮らしていたら想像もできない状況だった。
とはいえ、映画として観れば、
普通の戦争映画とは何ら変わりはないかなと個人的には感じる。
むしろ、SWAT部隊の任務遂行の一部始終を淡々と描いているのみなので、
他の戦争映画と比べるとドラマ性は薄いかもしれない。

ただ、この映画で一番印象深いのは、
そのリアルさ。
それもそのはず、本作は監督の意向で、
「アラビア語を母国語とする俳優を起用しなければ意味がない」とし、
難しいキャスティングを実現させたそう。
さらに、キャストは撮影前から実際の戦地で通用するまでの軍事訓練を受けたらしく、
その本格的な制作スタイルに圧倒される。
だから、ややノンフィクション寄りな感じかな。

家族をISISに殺された者たちのみで結成された部隊。
ISISのメンバーを見つけたら容赦なく殺すところに、
彼らの復讐心の強さを感じる。
躊躇なんかしない。
見つけたら殺し、
武器や金を奪い取る。
こう言うと語弊があるかもしれないけど、
本当にゲームか何かのようだった。

でも、実戦では当然痛みを伴うし、
精神も極限まで追いつめられる。
さらに、混戦状態となると味方を撃ってしまうことだってある。
そして、弾が当たったらそこでジ・エンドだ。
そんな状態だからこそ、
警察になってまだ2ヵ月しか経っていなかった新人のカーワも、
映画が終わる頃には、
面構えが特殊部隊員そのものに変わっていた。

どの戦争映画も、
もちろん事実に基づいて作られてはいるけれど、
これはほんの4~5年前に実際にイラクであった出来事で、
場所は市街地かつ民間人も次々に犠牲になるシーンもあり、
とても生々しい内容だ。

シリア内戦の実態の一部を知るにはいい映画だと思う。

映画『モスル あるSWAT部隊の戦い』公式サイト

TOHOシネマズ シャンテほか絶賛公開中 実在するSWAT部隊の最前線を描く衝撃の戦争アクションドラマ

映画『モスル あるSWAT部隊の戦い』公式サイト

 

後見人ビジネスを軸にした予測不可能なサスペンスが秀逸だった『パーフェクト・ケア』

2021年12月11日 20時46分57秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:20/262
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
サスペンス
後見人ビジネス
野心家すぎる女性

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、
判断力の衰えた高齢者を守り、
ケアすることが仕事だ。
常にたくさんの顧客を抱え、
裁判所からの信頼も厚いマーラだが、
実は医師やケアホームと結託し、
高齢者たちから資産を搾り取る悪徳後見人だった。

パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)と共に、
すべては順風満帆に思えたが、
新たに獲物として狙いを定めた
資産家の老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)をめぐり、
次々と不穏な出来事が発生し始める。
身寄りのないはずのジェニファーの背後には、
なぜかロシアン・マフィア(ピーター・ディンクレイジ)の影が……。

迫りくる生命の危機、
まさに絶体絶命、
マーラの運命は果たして――!?

【感想】
これは想定外に面白い映画だった!
アマプラとかでも配信してるけど、
3週間限定で劇場公開もしてるから、
ぜひ環境が整った映画館で観て欲しい。
ジェットコースターみたいな展開に見入っちゃうから。

マーラのやってることはかなり悪どい。
金のある老人を見つけては、
医師に誇張した診断書を書かせて、
裁判所で後見人の認定を受ける。
それで施設に放り込んだら、
その老人たちの資産はまるっといただくと。
裁判は老人本人も家族もいないのだけど、
そんな簡単に後見人になれるものなのか、、、
とは思うけど(笑)

そんな感じで目をつけたジェニファーが、
実はメチャクチャやべぇやつで、
マーラたちが危機に陥るって流れ。
一体ジェニファーは何者なのか、
マーラたちの運命はどうなるのか、
そして迎える衝撃の結末など、
いろいろまさかすぎる展開で、
テンポよく話が進んでいくから、
すごく楽しめた。

最初は悪どいことしてるマーラたちに
天罰が下ればいいって思ってたんだけど、
マーラのキャラがまた濃くてね、
だんだん惹かれていっちゃうんだよ。
ロシアン・マフィアに対して怯むどころか、
まったく恐れることなくズケズケと
自らの主張を押し通そうとする肝の据わりっぷり。
「アネさん!」と慕いたくなる。

それもこれも、彼女には大金持ちになりたいという強い野心があるから。
この国(アメリカ)で真面目に働けば成功すると信じていた彼女だけど、
それは幻想だと知り、
自分は奪う側にまわることを決意。
強い野心や情熱の前では、
命の危険なんて鼻くそみたいなものなのかもしれない。

ラストもサッパリしたいい終わり方。
野心家だろうが、成功者だろうが、
結局は、、、ってね。
これは続編か前日譚の物語あったら観たいなー。
それぐらいストーリーとキャラクターが魅力的だった。

ちなみに、医師役で出てたアリシア・ウィット、
綺麗な女優さんだけど、
まさかの『デューン/砂の惑星』(1984)で、
アリア(ポールの妹)を演じてた子役ちゃんなんだよね(笑)

映画『パーフェクト・ケア』公式サイト

『ゴーン・ガール』ロザムンド・パイク あらたなる最高傑作の誕生!! 100%共感不能! なのに爽快! 新感覚クライムサスペンス

映画『パーフェクト・ケア』公式サイト

 

人の祝日をメチャクチャにして「あとよろしく」だった『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

2021年12月11日 13時00分45秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/20
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
ディズニー
ストップモーション・アニメーション
ホラーテイスト
ファンタジー
ハロウィン
クリスマス

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
ハロウィン・タウンのカボチャ大王、ジャック・スケリントンは、
来る日も来る日もハロウィンの準備に明け暮れ、
怖がらせる仕事にすっかり飽きてしまっていた。

そんなある日、ジャックは迷い込んだ森の中で
クリスマスツリー型のドアを発見。
くぐり抜けるとそこは、
白い雪と可愛いデコレーションに包まれた街、
クリスマス・タウンだった。

初めて見る光景に魅せられたジャックは、
自らクリスマスを再現しようと研究を開始するが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1993年のアメリカ映画。

『キングダム ハーツ』(2002)でプレイはしたけど、
映画は初めて。
むしろ、『キングダム ハーツ』の再現度が高すぎるなと、
あのゲームを改めて再評価したくなるほど。
ハロウィンとクリスマス、両方のイベントを堪能できる、
まさにシーズンを代表する世界観だと思った。
東京ディズニーランドのホーンテッドマンションが期間限定で、
この作品とコラボする意味がようやくわかった。

1993年の時点でこのドールの柔らかな動きはすごい!
顔の表情からドロドロしたクリーチャーの粘液の動きまで、
細かいところまで表現できていて。
あの活き活きとしたキャラクターたちは、
今観てもチープ感なく、
普通に楽しめる作りになっている。

ストーリーも汎用性がある教訓というか、
他のことにも当てはまりそうで共感しやすい。
ハロウィンで人を脅かすことに飽きたジャックが、
隣の芝生は青く見えるじゃないけど、
クリスマスにうつつを抜かして、
自分が本来やるべきことを見失ってしまうのは、
現実世界でも同様のことを経験している人は多そう。

最後はハッピーエンドにはなるけれど、
ジャックはだいぶ自分勝手な印象を受ける。
クリスマスを乗っ取り、
散々メチャクチャにして、
「やってしまった。。。僕はすべてを失った。。。」
とちょっぴり後悔しつつも、
「やっぱり僕はハロウィンだよね!」つって、
台無しにされたクリスマスの後始末はサンタさんがやるっていう。
いや、そこはおまえも手伝えよとは思ったけど(笑)
逆に、誘拐されてブギーに殺されそうになった挙句、
クリスマスの後始末をしなくてはならないサンタさんの
踏んだり蹴ったり感がかわいそう(笑)

ハロウィンとクリスマスには観たくなる1作だねー。

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

 

ドラマ版とは異なる世界が広がる『あなたの番です 劇場版』

2021年12月10日 21時41分28秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:208/261
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
ミステリー
殺人事件
船上パーティー

【元になった出来事や原作・過去作など】
・テレビドラマ
 『あなたの番です』(2019)

【あらすじ】
平穏な日々を送る、
歳の差カップルの菜奈と翔太は、
引っ越して2年後、
晴れて結婚。
住民会を通じて仲良くなった
マンションの住人たちを招待して、
船上ウェディングパーティーを開催することに。
幸せいっぱいの菜奈と翔太と住人たちを乗せて
出港するクルーズ船。

そして、起こる殺人事件……!

逃げ場のない船上で、
ひとり、またひとりと殺されていく。
謎解きに乗り出す菜奈と翔太と住人たち。
だが、そこには思わぬ殺意が交錯していた……!!?

【感想】
2019年に放送されたドラマの映画版。
ただ、内容はパラレルワールドで、
キャラクター設定は引き継いでいるものの、
ストーリーは全然別。
ネタバレしたら終わりなので、
ほとんど何も書けないけど、
ドラマの雰囲気や要素を142分の中に詰め込んだ感じなので、
ドラマ版を観ていた人ならより楽しめると思う。
ほとんどのキャストが続投だし。
「ドラマ版でああだった人が、映画では、、、」
みたいな違いも面白い。

とはいえ、個人的には「うーん」っていう感じだった。
142分の中にあれだけの人数を入れ込むのは、
ちょっと無理があったかもなー。
ほとんど焦点が当たっていない人もいて、
もったいなさが目立つ。

また、ストーリーとしても短い時間の中で伏線がたくさん貼られるから、
やや情報過多な印象。
けっこう観るのに体力使うんだよね。
その状態で、翔太の菜奈ちゃんにベッタリ&
向こう見ずな性格はさらに疲れを誘う(笑)
最後の真犯人がわかるシーンはよかったけどね
(まあ、それはどのサスペンス映画も同じかもしれないけど)。

やっぱり、2クールにわたって全20話+スピンオフがあるからこそ、
話も人物も深掘りできるから、
それがあって成立する世界観かもなーと感じる。
僕はドラマ版をガッツリ観てしまったので、
初見の人にどう映るかはわからないけど、、、
あとで配信されてから観るでもいいかも(笑)
そもそも、マンションの住人全員を結婚パーティーに呼ぶって、
そんな仲良し住居なんてあるのだろうか。。。

同じ船上での殺人事件なら
『ナイル殺人事件』の方が期待できそうだ。

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大ヒット上映中!日本中に考察ブームを巻き起こした『あな番』が映画化!W主演:原田知世×田中圭。この冬、新たな悪夢が始まる…‼超難解な謎を解け...

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アート界の知られざる闇が垣間見える『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

2021年12月09日 00時39分53秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:207/260
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
ドキュメンタリー
サスペンス
アート
レオナルド・ダ・ヴィンチ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・絵画
 レオナルド・ダ・ヴィンチ『サルバトール・ムンディ』

【あらすじ】
2017年、アート界に激震が走った。
1枚の絵画がオークションで、
史上最高額となる510億円で落札されたのだ。
それは、レオナルド・ダ・ヴィンチの
最後の絵画とされる『サルバトール・ムンディ』。
「男性版モナ・リザ」とも呼ばれているものだ。

誰が購入したのか?
ダ・ヴィンチによる真作だと証明されたのか?
全世界の関心を集め、
今なお謎めいているこの名画。
その秘密を紐解いていくと同時に、
知られざるアート界の生々しいからくりも暴いていく。

【感想】
アート界ってこんなにもプレイヤーが多いんだ
っていうのがわかるだけでも有意義な映画。
ドキュメンタリーではあるんだけど、
『サルバトール・ムンディ』を巡る謎を紐解いていく構成や
BGMの使われ方から、
サスペンス映画っぽい作り。

僕はアートにはあまり興味がないというか、
何がすごいのかよくわからないっていうタチなんだけど、
それでもレオナルド・ダ・ヴィンチはわかるし、
彼に限らず、
昔の絵画がとんでもない金額で取引されていることも知っている。

しかも、もともとは一般家庭で見つかり、
当初は名も無き競売会社のカタログに載っていたぐらいで、
ニューヨークの美術商が13万円で落札したのが始まり。
そこから、あれよあれよという間に510億円って。

この絵が見つかって、
専門家が集められるも、
これがダ・ヴィンチ本人が描いたものかどうかは、
いまだに議論が分かれているのだとか。
ダ・ヴィンチが描いたに違いないと言う人もいれば、
弟子が描いたと主張する人もいる。
まあ、もう答えは出ないんじゃないか。
何か証拠があるわけじゃないし。

でも、ダ・ヴィンチが関わった幻の絵画であることに違いはなく、
それだけでアート界隈では注目の的。
先のオークションでも、
スタートからすでに300億円近い。
そんな値段がつくぐらいだから、
いろんな連中が寄ってくる。
不当に高額な手数料をふっかける仲介人や、
大衆向けマーケティングプランを考えてPVを作る者も。
そこにはあのレオナルド・ディカプリオも利用されていたり。
さらには、この絵を使って国力を高めようとする
サウジアラビアの皇太子までもが出てくる始末。
本当に、たった1枚の絵画になぜここまで人が群がり、
金額が跳ね上がるのかが不思議でならない。

僕が思うに「雰囲気」なんだと思う。
前に誰かから「商売は雰囲気」って聞いたことあるけど、
まさにそれかなって。
本当にすごいかどうかはもはや大事ではない。
「すごそう」っていう雰囲気が金を生むんだと。
大しておいしくもないスイーツでも、
「ハリウッドセレブの間で大流行」つって、
表参道に店を構えるだけで、
それっぽく見えるのと同じかも(笑)

もちろん、レオナルド・ダ・ヴィンチはすごい芸術家だとは思う。
でも、モノ自体に価値があるのではなく、
それに価値があると信じる人たちが、
モノの価値を決めている。
いいモノが必ずしも売れるわけではない。
大したことがなくても売れるモノはある。
ましてや絵画という、
機能性は一切ない嗜好品であればなおさら、
いかに欲しいと思う人を増やすかが大事なのかなと。
それでも510億円はやりすぎだと思うけど。

ただ、このドキュメンタリー、
答えもゴールもなく、
美術商、専門家、研究者、美術館といったいろんな人たちのインタビューを元に、
ああでもないこうでもないと話しているだけなので、
ちょっと退屈に感じる部分はある。
美術の講義を聞いている感じかな(笑)
とはいえ、アート界の闇と、
モノの価値って何だろうっていうことを考えさせられる映画ではあった。

ちなみに、芸術家として有名なダ・ヴィンチだけど、
ネットで調べたら彼が業績を残した分野は以下の35個だそうだ。
天は二物を与えないんじゃなかったのか。
鏡文字、音楽、建築、料理、数学、幾何学、生理学、組織学、
解剖学、美術解剖学、人体解剖学、動物解剖学、植物解剖学、
博物学、動物学、植物学、鉱物学、天文学、気象学、地質学、
地理学、物理学、化学、光学、力学、工学、飛行力学、飛行機の安定、
航空力学、航空工学、自動車工学、材料工学、土木工学、軍事工学、潜水服。

映画『ダヴィンチは誰に微笑む』公式サイト

ダ・ヴィンチ最後の「傑作」!? 13万円だった絵が史上最高額510億円に。アート界の闇を暴く!欲望まみれのミステリー・ノンフィクション!11...

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脱北者が韓国でプロボクサーを目指すという強い生命力を感じるた『ファイター、北からの挑戦者』

2021年12月08日 20時28分58秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:206/259
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
脱北者
ボクシング

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
韓国、ソウル。
ひとりの女が小さなアパートに辿り着いた。
脱北者、リ・ジナ(イム・ソンミ)。

休む間もなく食堂で働き出した彼女は、
中国に残した父を呼び寄せるために、
より多くのお金を稼ごうと、
清掃の仕事を掛け持ちすることにした。
そこは、館長とトレーナーのテス(ペク・ソンビ)が2人で切り盛りするボクシングジムで、
悲惨な過去と怒りを抱えて壁を作るジナに、
2人は静かに燃えるファイティングスピリットを感じ取る。

グローブを渡されたジナは、
次第にボクシングの世界にのめり込んでいくのだった――。

【感想】
韓国ならではの映画という感じ。
主人公のジナが北朝鮮から脱北して韓国にやってくるという、
他の国では作りづらい設定だからだ。

ジナの置かれた状況はかなりハード。
母親は幼い頃に家族を捨て、
先に韓国に来ており、
新しい家族がいる状況。
父親は北朝鮮に残したまま、
いつこちらに来れるかもわからない。
仕事の斡旋など、
支援してくれる人はいるけど、
基本はジナひとり。

そんな彼女の居場所となったのが、
掛け持ちで働くことになったボクシングジム。
当初は清掃員として働いていたものの、
軍隊出身ということもあり、
ボクシングの経験はあった。
何気なくやったシャドーボクシングを見た館長が、
彼女をプロボクサーに育てることを決意。

脱北者ということで白い目で見られることもあるけれど、
ジナはひとり国を離れて隣国にやってきた身。
プロボクサーになって、
大金を稼ぐことで、
生活の基盤を築こうとする執念は
並々ならぬものを感じる。

ただ、この映画、
ちょっと惜しいというか、
どっちつかずなところがあって。
タイトルからしてボクシングをメインに据えようとはしているんだけど、
ボクシングのシーンはそこまで多くない。
むしろ、途中から自分を捨てた母親との軋轢にフォーカスが当たっており、
「ボクシングを通じて何かする」っていう印象が弱かったかな。
あくまでもメインは彼女の家族の物語であって、
ボクシング自体は流れで始めたっていう感じが強い。
そういう意味では、
いわゆるスポ根ではなく、
ヒューマンドラマだね。
それはそれでいいんだけど。

とはいえ、その母親も急に出てきたから、
ジナの抱えてきた鬱憤ってのが感じ取りづらい部分はある。
せめて、幼少期の回想シーンみたいなのがあれば、
もっと彼女に感情移入できたかもしれないけれど。
脱北者っていう割には、
その表面的な設定だけで、
あんまり本編に絡んでいないような気がした。
『トゥルーノース』(2021)を観ると、
北朝鮮での生活の辛さはわかるけどね。
これは生まれも育ちも韓国じゃないと
伝わりづらい設定かもしれない。

あとは、テンポがあまりよくないのも気になるところ。
見つめ合うシーンや酒を飲むシーンといった
何気ないところの尺が長すぎる。
「そんなに必要?」ってぐらい長いので、
ちょっと間延びしてるかなーって思っちゃった。

なので、設定自体はすごく期待できるんだけど、
その割にはそこまで強い引きにはならなかったなっていう映画でした。

映画『ファイター、北からの挑戦者』公式サイト

北朝鮮から逃れ「脱北者」として人生をスタートさせたジナ。差別や偏見に満ちた孤独な毎日に、ある時一筋の光が差し込んだ。国家に翻弄されながら明日...

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体の売り方が斬新だった『皮膚を売った男』

2021年12月08日 00時26分55秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:193/258
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
シリアス
アート
タトゥー

【元になった出来事や原作・過去作など】
・インスピレーション(アート作品)
 ヴィム・デルボア“Tim”

【あらすじ】
シリア難民のサム(ヤヤ・マヘイニ)は、
偶然出会った芸術家からある提案を受ける。
それは、大金と自由を手に入れる代わりに、
背中にタトゥーを施し、
彼自身が“アート作品”になることだった。

美術館に展示され、
世界を自由に行き来できるようになったサムは、
国境を越え離れ離れになっていた恋人に会いに行く。
しかし、思いもよらない事態が次々と巻き起こり、
次第に精神的に追い詰められてゆくことに。

世界中から注目されるアート作品“サム”を待ち受ける運命とは…。

【感想】
設定が面白いと思ったので鑑賞。
最初は皮膚を剥ぐホラーかと思ったんだけど(笑)
体を売って得たお金で、
国外にいる恋人に会いに行く主人公サムの話でした。

その体の売り方が斬新で。
よくあるような、いわゆる「ウリ」で稼ぐとかそんなんじゃなく。
背中にビザ(入国許可のね)のタトゥーを入れて展示されるというもの。
販売額と転売額の1/3がサムの懐に入る契約。
大体3桁万円ユーロで取引されるからね。
1ユーロを127円としたら、相当な額だよ。
展示中はじっと座ってるだけだし、
背中に大きなタトゥーがあっても、
その後の日常生活で困ることがないならば、
おいしい仕事かなと思ってしまった(笑)

でも、ほぼそれだけで終わってしまうのがやや物足りなさがあるかなあ。
背中にタトゥーを入れて、
展示されて、
お金もらって、
何だかんだで別れた恋人とも会えて。
ちゃんちゃんって感じだから。

まあ、途中からサムも精神的にまいってきて、
ついには問題行動を起こしてしまう描写はある。
そりゃ長期間の拘束に加えて、
常に好奇の目にさらされるからね。
精神的に辛いのは理解できるけれども。

でも、そもそも自分の意志で志願したわけでしょ。
それで大金を得てるんだから、
そこは我慢して然るべきなのではと感じてしまった。
しかも、観客に見せるのは背中だけで、
後ろ向いてるわけだから、
そんな辛いかなって(笑)
よく街中のパフォーマンスで、
時間が止まった設定でずっと静止してる人いるけど、
そっちの方がよっぽど大変なんじゃないかと思う。

とはいえ、背中に吹き出物ができてしまうシーンは、
アートの対象が「ナマモノ」ゆえのリアルさがあって、
一番印象に残ったところ。
こればっかりは生きている限り、
防ぎようがないわな。
ただでさえ、ストレスフルな状況なんだし。
即病院に連れて行かれて、
ギュウって中身出されてたけど(笑)

なので、設定は斬新だったけど、
映画としてはそこまでハマりきれなかった映画でした、
個人的には。

映画『皮膚を売った男』オフィシャルサイト

第93回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート!監督:カウテール・ベン・ハニア 出演:ヤヤ・マヘイニ、ディア・リアン、ケーン・デ・ボーウ、モニ...

映画『皮膚を売った男』オフィシャルサイト

 

同性愛者の苦悩と理解への歩み寄りを描いた『彼女が好きなものは』

2021年12月06日 23時28分59秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:105/257
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ラブストーリー
ヒューマンドラマ
同性愛

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(2018)

【あらすじ】
高校生の安藤純(神尾楓珠)は自分がゲイであることを隠している。
ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、
男性同⼠の恋愛をテーマとした、
いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。
BL好きを隠している紗枝から
「誰にも⾔わないで」と口止めされ、
そこから2人は急接近。
しばらしくて、純は紗枝から告白される。

「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。
一縷の望みをかけ、
純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、
付き合うことになったのだが…。

【感想】
普通のラブストーリーかと思いきや、
むしろ同性愛者であることの苦悩を描いたヒューマンドラマ。

前半は学園を舞台にした恋愛映画。
ゲイであることを隠している主人公と、
彼に恋しているヒロイン。
いつカミングアウトするのかなという、
話の盛り上がり的な期待は持っていたけど、
話としては普通の学園恋愛モノとなんら変わらなかったので、
あんまり目新しさもなく、
淡々と進んでいた印象。

ところが、後半に入って少し経ったあたりからメチャクチャ面白くなる。
ゲイであることがバレてからのすったもんだ。
「自分は異常なんじゃないか」
「いつか女の子を好きになれる日が来るんじゃないか」
そういった苦悩を胸に抱えて生きてきた背景と、
その押さえ込んできた苦しみが爆発するところが、
とても心に突き刺さる。
ずっと隠してきた自分の心の内を
素直に吐露する神尾楓珠の演技はよかった。

そんな純の想いを知り、
紗枝もずっと隠してきたことを公にすることで、
ある意味彼と同じ立場に立って、
歩み寄ろうとするスタンスも印象的。

純も紗枝も、
一昔前だったら絶対言わないままだったんじゃないかな。
もちろん、人に言えないことってのは今でもあるし、
それは本人の性格やまわりにいる人たちの理解にもよるから、
何でもかんでも話しちゃえとは思わない。
でも、お互いのアイデンティティや好みを認め合うことで、
ひとりで抱え込むことなく、
少しずつオープンにできる社会になるといいなあと思える映画だった。

映画『彼女が好きなものは』公式サイト

【ゲイ】であることを隠している僕。【BL好き】を隠している彼女。交わるはずのなかった2人の純粋でいびつな恋物語。出演:神尾楓珠 山田杏奈 前...

映画『彼女が好きなものは』公式サイト

 

強い愛情や性欲って人を暴走させるよねって思った『悪なき殺人』

2021年12月05日 19時36分58秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:89/256
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
サスペンス
スリラー
不倫
ネット恋愛
ネクロフィリア

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 コラン・ニエル"Seules les bêtes"(2017)

【あらすじ】
フランスの山中にある寒村で、1人の女性が失踪し殺された。

疑われたのは農夫・ジョゼフ(ダミアン・ボナール)。
ジョゼフと不倫する女・アリス(ロール・カラミー)。
妻のアリスに隠れてネット恋愛する夫・ミシェル(ドゥニ・メノーシェ)。
そして、遠く離れたアフリカで詐欺を行うアルマン(ギィ・ロジェ・ンドラン)。
秘密を抱えた5人の男女がひとつの殺人事件を介して絡まり合っていく。

だが、我々はまだ知らない…。
この事件がフランスから5000kmも離れた場所から始まり、
たったひとつの「偶然」が連鎖し、悪意なき人間が殺人者になることを。

【感想】
「そう来るのか!」という驚きの連続だったサスペンス映画。
発端となる殺人事件を冒頭に示した後、3つのエピソードが展開される。
そこで描かれる5人の男女の偶然の連鎖がとても面白かった。

「あのときあの人がやっていたことは、実はこういう理由があったから」。
「ここでこの人が言っていたことは、実は巡り巡ってこういうことだった」。
そういった人々の偶然の繋がりが、
後々大きな意味を持ってくる構成が、
この映画の最大の魅力。
時系列にはバラつきがあるので、
下手したら訳わからなくなりそうだけれど、
そこをうまい具合に展開させていくのが、
監督のセンスが光るところなのかなと。

「人間は"偶然"には勝てない」

この映画のメッセージなのだけど、
まさにその偶然の連鎖によって生まれる悲劇だからこそ、
誰にも悪意がない。
ゆえに、『悪なき殺人』というタイトルなのだ。

その偶然が繋がっていく中でポイントとなるのが、
人間の色恋沙汰。
不倫やネット恋愛など、
現代らしいシチュエーションの中で渦巻く嫉妬や性欲が、
暴走の火種になる。
それだけありふれた動機ともいえるので、
各登場人物の行動背景は共感しやすいというか、
腹落ちしやすいのも、
ストーリーが理解しやすくなる要因かも。

もちろん、フィクションであるから、
すべては作られた偶然ではあるんだけど、
うまく連鎖して物語として機能させることができていることが
すごいなと思える映画でした。

映画『悪なき殺人』 公式サイト - 悪なき殺人 12/3(金)公開!

12/3(金) 公開 映画『悪なき殺人』 公式サイト - Only the Animals - 人間は「偶然」には勝てない ー - 2019...

映画『悪なき殺人』 公式サイト

 

世の中の35歳男性がジャガイモに見えてしまうぐらいブラッド・ピットの肉体美がかっこよすぎた『ファイト・クラブ』

2021年12月05日 18時15分02秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/19
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
サスペンス
殴り合い
肉体美
消費社会

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』(1996)

【あらすじ】
不眠症に悩む保険会社の若きエクゼクティブであるジャック(エドワード・ノートン)は、
出張に出かけた際、
飛行機内でタイラー(ブラッド・ピット)という男と知り合う。
タイラーはエステ・サロンのゴミ箱から人間の脂肪を盗み出し、
石鹸を作って売っているという素性不明の男。

ジャックはタイラーに導かれ、
謎の組織「ファイト・クラブ」のメンバーになるが、
そこは鍛え抜かれた男たちが拳のみで闘いを繰り広げる野蛮な空間だった―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1999年のアメリカ映画。

何気に初鑑賞。
とにもかくにもプラピの肉体美に惹き寄せられる。
公開当時35歳。
太すぎず細すぎない筋肉量に体脂肪率低めに絞られた体。
あれこそ細マッチョと言えるだろう。
今と昔じゃ筋肉の在り方も変わっていそうだけど、
公開してから20年以上経った今でも憧れられる肉体美だった。

お話も面白かった。
一見すると男たちがただ殴り合うだけのアクション映画に見えるけど、
実際はそうではない。
物質的豊かさと精神的豊かさの乖離を示唆しつつ、
後半の予想外な展開にサスペンス要素も感じられる内容だ。

何不自由なく生活しているジャックも、
精神的には満足を得られず、
常に行き場のない気持ちを抱えていた。
タイラーと“出会い”、
ファイト・クラブのメンバーとなることで、
まるで消費社会への反旗を翻すかのような生き様へと変わっていく過程は面白かった。
これはSNS社会へと変わった
今の時代に置き換えても共感できそうな部分がある。

もう20年以上も前の映画なので、
ネタバレもクソもないとは思うものの、
一応伏せてはおくけど、
ジャックとタイラーの“関係”や、
すべてが終わった後に振り返るとわかる、
随所に散りばめられた伏線なんかは、
とても興味深い作りの映画だったと思う。
サブリミナルが入り込む映像も初めて観たけど、
あんな一瞬でも意外と何が映ってるかは判別できるもんだ(笑)

ただ、結局、タイラーが計画して、
スペース・モンキーと名付けられた
ファイト・クラブの選抜メンバーたちが実行している
「騒乱計画(プロジェクト・メイヘム)」の目的がいまいちわかりづらかった。
世直し的な意味があるのかもしれないけど、
ただの暴徒やテロの類にしか見えなかったから。

あと、今ではDCのジョーカーや、
マーベルのモービウスを演じている
ジャレッド・レトが脇役で出ているのも、
個人的には感慨深かったところ。

この映画を監督したデヴィッド・フィンチャーが
今の自分と同い年というのにも驚きだけど、
とにかくプラピの肉体美だけでも一見の価値がある映画かと!

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

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エディとヴェノムの掛け合いに笑い、カーネイジとのド派手バトルに圧倒されるも、一番大事なのはそこじゃなかった『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

2021年12月03日 13時45分36秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:8/255
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【要素】
マーベル
スーパーヒーロー
ヴェノム
アクション
コメディ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 『アメイジング・スパイダーマン』(1988~)

・アニメ
 『スパイダーマン』(1994~1998)
 『スパイダーマン・アンリミテッド』(1999年)
 『スペクタキュラー・スパイダーマン』(2008年~2009年)

・映画
 『スパイダーマン3』(2007)
 『ヴェノム』(2018)

【あらすじ】
取材中のエディ(トム・ハーディ)に噛みつき、
その血液を体内に取り込んだクレタス(ウディ・ハレルソン)。
エディの血液の中に生息していた地球外生命体シンビオートが、
クレタスの体内でその狂気に触れ、結合。
おびただしい数の赤い触手が身体中を蝕み、増殖し、
カーネイジが誕生する。

その高い戦闘力と残虐性で、
収監されていた刑務所の受刑者や警官を無差別に虐殺していくカーネイジ。
<大殺戮>が始まった。

世に放たれたクレタスの目的は、
愛するシェリーク(ナオミ・ハリス)の奪還。
シェリークは音波であらゆる物を破壊する「叫び声」を持っており、
その狂暴性から彼女も収監されていた。

カーネイジとシュリーク、
2つの狂気が今1つになろうとしている――。

【感想】
スパイダーマンの宿敵として描かれるヴェノム。
本作は2018年に公開された『ヴェノム』の続編。

これはマーベル好きは絶対に観なければならない作品だと思う。
いやホント、最後まで観て度肝を抜かれた。。。
今回の特徴的だった点を4つほど挙げておこうかな。

1.エディとヴェノムの関係性
今回、一番印象に残ったのは、
エディとヴェノムの掛け合いのシーン。
前作でも、実は2人の相性っていいよねとは思っていたものの、
今回はまさに「相棒」ってぐらい仲のよさが描かれている。
見た目が怖くて、
明らかに悪そうに見えるヴェノムだけど、
実は意外といいやつで、
むやみやたらに人を食べないという
エディとの約束も忠実に守る。
さらに、失恋したエディを励まそうとする優しささえあるのだ。
ヴェノムは地球では誰かに寄生しないと生きてはいけず、
寄生する相手との相性もエディがベストだから、
物理的にも切っても切れない関係なのだ。

2.スパイダーマンっぽい動きやシチュエーション
次に印象深かったのがこれ。
ヴェノムは触手を伸ばして壁に貼りついたり、
高層ビルを駆け上がることもできる。
まさに、ウェブシューターを使って
縦横無尽に街中を駆け巡るスパイダーマンのようなのだ。
今回は前作以上にそういうシーンが多かった。
しかも、エディの元恋人であるアン(ミシェル・ウィリアムズ)のポジションが、
スパイダーマンにおけるMJそのものだったことも大きい。
終盤で、彼女が高いところから落ちそうになるシーンがあるのだけど、
同じようなシーンは過去のスパイダーマンの映画でもあった。
アンが奇麗なブロンドヘアという要素が、
『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの
MJ(エマ・ストーン)を彷彿とさせる。

3.圧倒的なカーネイジの強さ
こいつはやべぇ。
無数の赤い触手を操り、
殺戮の限りを尽くす。
中でも、終盤のヴェノムとのバトルシーンは圧巻。
お互いに触手を駆使したド派手なプロレスのようで、
これを実写でやっちゃうんだから、
相変わらずハリウッド映画はすげぇなと。

4.サプライズ
サプライズなので内緒(笑)
下手したら、
本編を凌駕するほどの勢いかもしれない。。。

アクションや映像としては、
前作の方が勢いがあったと個人的には感じたけど、
今後の展開を踏まえると、
これは観なくてはならない作品だと思う。
マーベルファンは特に。。。

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』2021年12月3日(金)全国ロードショー | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』 2021年12月3日(金)全国ロードショー

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』2021年12月3日(金)全国ロードショー | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ