足のツメは1本で、尾は長く2本。目が上についており、体全体が平たい。尾が2本でもこれはヒラタカゲロウのなかま
今回はカゲロウを表紙にとりあげている人と自然の博物館の冊子ハーモニーNO22(平成10年7月)
水の妖精
カゲロウの役割
身近な川で、川の中の石を1つ持ち上げてみて下さい。
そこには、驚くほどたくさんの水生昆虫が這いずりまわっていると思います。これらの昆虫の中には、カゲロウの仲間がとてもたくさん含まれています。
特に、本州の河川の中流域では、多い川で全体の9割近くを、少ない川でも約2~3割の個体数がカゲロウの仲間で占められていることが多いようです。
種類も豊富で、一つの石をめくるだけで、10種類以上採集されることは、決して珍しいことではありません。
そんなカゲロウの仲間は、いったい水の中でどんな役割を担っているのでしょうか。
まず第一に考えられるのは、魚をはじめ、その他の肉食動物にとってのエサ資源になっている点です。
カゲロウは体が柔らかい上に、水に流され易く、特に魚にとっては、格好のエサになっているのです。
ですから渓流で、アマゴやハヤ釣りをする人にとっても、[ピンチョロ」などの愛称で呼ばれ、格好のエサなのです。
もし、たくさんの魚や肉食動物を川で見つけることが出来れば、そこには、彼らを支えるだけの十分なエサがあるものと考えられます。
そんな川では、きっと数多くのカケロウの仲間を捕まえることができるでしょう。
では、たくさんの魚や肉食動物を支える程のカゲロウ自身は、どんなエサによって支えられているのでしょうか。
一概に、カゲロウといっても色々な種類のカケロウがいる上に、様々な暮らし方をしているので、どのカゲロウも同じエサを食べている訳ではありません。
あるものは、川底の石の上に生える付着藻類を食べるだろうし、落ち葉や、それが粉々になったゴミのようなものを食べるものもいます。
多くのカケロウの仲間は、デトライタスと呼ばれる、川の中のゴミのような物を食べています。そして、カゲロウの仲間は、川底のいたるところに棲んでいます。
石の隙間や石の裏側、砂利や泥の中など、様々な場所でエサを食べています。
つまり、彼らは、いたるところで川底のゴミ拾いをし、それを体内に取り込んで良質の肉に変えて、魚や他の肉食動物のエサになっているのです(図参照)。
また、運良く、魚などから逃れたものは、成虫となって川の外へと栄養を持ち出すので、水質の浄化にも大きく貢献しています。
そして、川の外では、鳥達が次々と湧き出てくるカゲロウ達を求めて、水辺で囀(さえず)っています。(生態研究部三橋弘宗 カゲロウ図稲田和久 食物連鎖カット西田佐和子)
カゲロウの生態の説明がくわしい。
それ以外に当時の展示の説明や地域の環境を8pにまとめてある
画像はカゲロウの説明にあった画像、写真は生きている武庫川のときに採取したカゲロウの写真です。