野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

モンシロチョウとスジグロシロチョウ このごろ事情

2023-04-12 | 自然観察会

モンシロチョウとスジグロシロチョウのこのごろの事情

 

多くの学校では入学式が終わり、いよいよ学習に力がはいります。

小学校3年理科では、5月に昆虫の体について学習します。

多くの教科書で、昆虫の体で取り上げる昆虫はモンシロチョウ。

それで、苦労するのが5月になって、モンシロチョウの幼虫青虫を集めること。

今の間に、花壇にキャベツの苗を3株ほど植えておくと、モンシロチョウが産卵にやってくるので、青虫の観察にまにあいます。

 

昆虫と植物の関係を勉強するのに、野外での観察は必須ですが、最近はタブレットで画像を見て終わりにすることができるので、虫の嫌いな先生にとっては便利なツールになっていまいました。

さて、

 

図鑑などでは「モンシロチョウは人家近くに多いのに対し、スジグロシロチョウは山地に多い傾向がある。」とあります。

モンシロチョウとスジグロシロチョウの最近の事情をお話しします。

 

モンシロチョウは日当たりのよい場所を好み、キャベツなどのアブラナ科の植物(とくに野菜にたまごを産むので農家にとってはこまりもの)に産卵する。

スジグロシロチョウは林の中のような、やや暗い涼しい場所を好み、タネツケバナやイヌガラシなどのアブラナ科の植物に産卵する。モンシロチョウに比べてアブラナ科であればよいというので選ぶ植物は多いのが特徴です。これが、図鑑などに書いてある事柄です。

ところが、都市化とともに、キャベツ畑が少なくなり、畑が住宅となり、モンシロチョウの産卵場所が少なくなってきました。それで、モンシロチョウが着目したのが川原に生えているセイヨウカラシナです。

モンシロチョウの幼虫青虫を探しに行くなら、むかしはキャベツ畑(農薬ですぐにいなくなってしまいますが)でしたが、川原のセイヨウカラシナの葉を探しに行くと見つかります。

スジグロシロチョウはというと、ビルの谷間にある緑地を生活の場所に移しました。

都会にふつうに見られるアブラナ科の植物に産卵するので、モンシロチョウよりは都会では目立つようになってきたのが、このごろの事情です。


ヒバリ 天に歌う

2023-04-11 | 自然観察会

ヒバリ

 

麦畑に巣をつくり、空高く舞い上がって一日中のどかにさえずる。昔は田んぼに米の収穫が終わると麦を植える。二毛作の様子がよくみられました。日本の麦が見られなくなったのは海外から安い小麦がはいってくるとだんだん作られなり、麦踏も過去のことばになっています。

背の低い草地が、なくなってきたので、近年ではヒバリなどの草地性の野鳥も減少しているといいます。

阪神間や播磨地域の、広い下流の河川敷では草刈りを定期的にするので、そのような場所ではふつうにみられます。

 

春はヒバリにとって繁殖期です。

オスは、メスを呼ぶために、空に舞い上がり、ホバリングをしながら

「フィチフィチフィチ / ピージョルピー チョフチョフチョフ/ピー ジュルジュル…」

とさえずります。

滞空時間は20秒から1分ぐらいで、長いときには20分間もさえずり続けるといわれています。

 

今はできませんが、ヒバリを飼うことが人気の野鳥の一つでした。

江戸時代には、「放しヒバリ」「揚げヒバリ」といって、籠から出したヒバリが空に昇らせて滞空時間を競う遊びがありました。

 

ヒバリのなかまはユーラシア大陸、アフリカ大陸の北部、イギリスなどに15属75種います。日本ではヒバリ1種のみが生息しています。

世界的にも減少傾向にあるそうです。

世界各地の古い詩や物語などにも数多く登場しています。


胞子で増える植物(3) スギゴケのなかま

2023-04-10 | フィールドガイド--植物編--

スギゴケのなかま

苔庭のコケに使われて有名なのはスギゴケのなかま。

スギゴケのなかま、蘚類に所属する種は、約 13000 種が記録されている(Magill 2010)という。

 

そのなかで、猪名川流域でみられるスギゴケのなかまを紹介する。(「生きている猪名川」旧版による)

コダマゴケ

樹の幹にかたまって生育しています。よくまわりを見ると、他の種類のコケも見られます。乾燥に耐える性質を持ったコケたちです。

ハイゴケ

日当たりのよい地上にマット状になります。芝地の間にもよく見られます。枕の詰め物に利用されたこともあり、属名は「睡眠」を意味しています。

ヒジキゴケ

日当たりのよい乾いた岩上によく見られます。コケはじめじめしたところを好むようにおもいますが、耐乾性を持った種類も多くあります。

ギンゴケ

日当たりのよい地上や岩上、コンクリート上に塊になって生えています。南極にも生えており、日本でも

海岸近くから富士山の頂上まで見られます。

コゴメゴケ

乾いた樹幹に見られる代表種、小さな種類ですが、よく胞子体をつけていて名の由来になっているようです。

ケギボウシゴケ

川原の岩上に見られる代表種、炎天下でも日陰になることのない様なところにもかたまって大きな群落を作っています。生命力の強さを感じます。

ギボウシゴケ

前種と同様に日当たりのよい岩上に生育しています。胞子体をつけていると赤色のさく歯が目立つところから「擬宝珠」ゴケと名付けられました。

ハリガネゴケ

湿った岩上や土の上に群生しているがヘチマゴケの仲間と区別がむずかしいものです。セン類の見分け方で重要なのは胞子体の形やそのつくりが決め手でルーペなどで細かい観察が必要です。

ホソバオキナゴケ

園芸店などでサツキゴケ・ヤマゴケとして盆栽の植え込みように売られていることもあります。木の根元などに塊になって生えています。

コスギゴケ

教科書などによく紹介されるスギゴケです。この仲間には熱帯に40-50cmにもなるドーソニアゴケがあります。

タマゴケ

湿った土の上や土手にかたまってクッション状に生えています。(さく)が球形になるのですが、早春の若い胞子体では未成長で紡錘形をしています。

 

ヒロハツヤゴケ

岩上や樹幹につやのあるマット状に広がっています。セン類にはつやのある葉を持つものも多く、匍匐しているか直立しているかも観察しなければなりません。

サワゴケ

名のとおり沢沿いの水の滴り落ちているところに群生します。タマゴケの仲間で胞子体の先(さく)が球形をしています。

カヤゴケの1種

渓流沿いに生える種類はいくつかありますが、似た種類が多く正確な名を調べるには胞子体を見ることです。ゲンジホタルの産卵場所にはこのようなコケむした土手が利用されます。

オオミズゴケ

湿地を代表する植物の1つです。北半球の冷涼な湿地ではその保水力が洪水を防ぐ役割をしていると言われています


今日の滋賀県「海津」のサクラ

2023-04-09 | 野生生物を調査研究する会の紹介

ナチュラリストクラブ 2023年度

第1回 「海津大崎の桜を見ながらハイキング」報告

 

海津大崎は、琵琶湖八景「暁霧・海津大崎の岩礁」としても知られる景勝地です。今回は「日本のさくら名所100選」にも選ばれている海津大崎の桜を見に行きます。

★ 日   時  : 4月9日(日) 10:00~15:00

★ 集合場所 : JR湖西線マキノ駅 10:00

★ 持 ち 物  : 弁当・水筒・その他必要なもの

 

Jrのマキノ駅の到着が9時27分だったので、十分余裕でみなさん集合

日曜日 マキノ駅は6つぐらいの大小の団体でごった返していました。

さて今日のサクラは

先月、下見のころの写真とくらべてみていただくと、桜は残念でしたが 

成果はナチュラリストクラブのホームページで(報告は来週初めになると思います)

https://barmam.sakura.ne.jp/naturalist/


胞子で増える植物 ゼニゴケのなかま

2023-04-08 | フィールドガイド--植物編--

胞子でふえる植物(2) ゼニゴケのなかま

 

今回はコケのなかまの紹介

 

ゼニゴケのなかまは理科の教科書に、苔類の代表として掲載されている。人家の近く、特に家の北側など、やや湿った場所にみられるコケ。

 

コケのなかま

小さな緑もこの地域では200種類ぐらい見られます。1ミリにもみたない小型の種類から、10センチ以上になる大型のものまで小気候の環境下で様々な生育形態をしています。河川の下流部の開けたところは氾濫原として表土がかき回されるので短期に生育を繰り返す種類が多く見られます。中上流域になると、大小さまざまな岩が点在し、大きな樹木が育たない、開けた日照の厳しい環境下になりますが、そのなかでも耐乾性を持った種類がみられます。最上流域となると、谷も狭まり、空中湿度も高く、一般的なコケによい生育環境となり多くの種類が生育しています。都市部のコンクリート壁や道路沿いの砂塵が積もるようなところのやや湿り気のあるところにも幾種類かのコケがたくましく生育しています。いづれにしても、他の植物が生育していない隙間を埋めている「緑」が広範な性質を持ったコケ植物です。

ゼニゴケのなかま

ハタケゴケ

秋から冬にかけて、田、畦や川原の粘土質の土の上に、この仲間は2年草的な生育をします。氾濫原が元々の生育地と考えられています。

ミカヅキゼニゴケ

1926年仙台で見つかりました。現在では都市部を中心に庭先などによく見られます。ヨーロッパ原産の帰化植物と考えられています。

フタバネゼニゴケ

ゼニゴケの仲間は、杯状体をもち、その中に無性芽(ヤマノイモのムカゴにあたるもの)をたくさん作り、繁殖します。

ケゼニゴケ

ビロウド状の暗緑色の体の先端には、細かな毛がいっぱい生えていてこの名があります。

世界中に分布し、土手や谷川沿いに多く、日陰地を好みます

ホソバミズゼニゴケ

流水中や水の滴るところに生えます。写真のようにタイ類(ゼニゴケの仲間)の胞子体はモヤシのような軸をもつのが特徴です。

フル ノコゴケ

クサリゴケのなかまで、やや乾燥しやすい場所の樹幹や岩上に群生します。次のヤスデゴケのなかまと同様に乾燥に比較的強く、一般てきなコケのイメージとは違います。

ヤスゲゴケの一種

前種と同様に、茎と葉を持った体のつくりになっています。タイ類のなかまは、ほとんどこの形態で、特にヤスデゴケの葉は壺状の特異な形をしています。

ジャゴケ

谷沿いのやや日陰地に生え、北半球に広く分布していますが、熱帯や南半球には生育していません。和名は、葉状体の表面の区画模様をヘビの鱗になぞれたものです。

トサカゴケ

茎葉体のコケでは、葉の形に特徴があります。このコケは葉の先が二裂しています。

ミ ド リヤスデゴケ

人家に近いカキの木などの樹幹によくみられます。乾燥に強く、標本にしていた紙袋の中で半年以上生きています。

フジウロコゴケ

清流に生育する種類です。いつも水の流れがあることが必要で、しかも急すぎず、深すぎず、暗すぎず、限られた場所にみることができます。

(「生きている猪名川」旧版より ; 生きているシリーズで猪名川旧版が一番コケの紹介が多い。)


胞子で増える植物!?(菌類)

2023-04-08 | フィールドガイド--植物編--

胞子でふえる植物(菌類)

 

菌類にまつわる10の秘密、最新研究で明らかに

ヘレン・ブリッグス、BBCニュース(2018年9月13日)

報告書「State of the World's Fungi(世界の菌類の状態)」の紹介だ。

「菌界は地球生命にとって欠かせない存在」であると報告している。

食用きのこや、ペニシリンを作り出すカビも菌類。菌ちゃん農法の植物が水や栄養素を土壌から吸い上げる手伝いを利用してことから無肥料で農業をおこなう実践も菌類。

血中コレステロールを下げたり臓器移植を可能にしたりする薬になることがわかってきた。

今回は「生きている猪名川(旧版)より」胞子で増える植物菌類から

菌類は 植物でも動物でもない第3の生物ということになってきていますが

 

生物の世界は、界、門、綱、目、科、属、種の階級を設けて分類しています。現在知られている種数は150万種、そのうち狭義の植物界(種子植物・シダ植物・コケ植物)は25万種、そのうち胞子でふえるシダが1万種、コケが2万種が数えられています。しかしまだ正確な種類数を誰も知ってはいません。

 日本にはシダが約800種、コケはセン類が約1200種、タイ類が約600種、それに種子植物を含めると約6000種近く知られています。そのうち維管束植物の約1000種あまりが、絶滅の危機に瀕していると言われています。

広義の植物では、藻類や藍藻類を含めます。いわゆる有機物を生産する生物たちです。これらのエネルギー源から多種多様な生物の世界が展開されています。

胞子でふえるものには、このほかに菌類(キノコや地衣類)が世界に約10万種あります。

 

菌類のなかま

カワラタケの1種

広葉樹の枯れ木に屋根瓦状に多数重なって発生します。サルノコシカケのなかま(タコウキン多孔菌

科)で、もっとも普通な木材腐朽菌です。

 

ムラサキホコリカビの1種

原生生物界、変形菌門、真性変形菌綱、ムラサキホコリカビ目、に属しています。

腐朽木などの上に発生し、ふつうにみられます。変形菌は短時間の間に移動しながら体型を変化させることでこの名があります。

 

ウメノキゴケ

菌類と藻類が共生して体を作っています。菌類は藻類に生活場所を提供し、藻類は菌類に栄養を与えているのです。サクラなどの樹幹や岩上にへばりついています。

(生きている猪名川より)


春の山菜

2023-04-07 | 市民講座

春の山菜 

 

里山での作業で、冬に草刈りをした場所をみるとワラビがでていた。例年より2週間ほど早い。

今年の暖かさは、半端じゃないなと思う。

 

武庫川のサクラを見に行くときにすでにコゴミが大きくなっていたので早いなと思っていたが、ワラビまで

 

里山での山菜はフキノトウ、ツクシ、ノカンゾウが終わればワラビ、そしてセリ、ヤマウド、タラ、筍と続く。

 

山菜は、食べるときには“あく抜き”をします。「これ食べれるん?!」と家にもってかえるのはよいのですが、あく抜きを忘れると大変なことに。そのままだと、“えぐ味み”、“しぶ味”、“にが味”などの強つよい風味の“あく”でおいしくないといことになります。おいしく食べるためには「あく」を取とり除のぞ

くことが必要です(これを「あく抜き」といいます)。

 

昔の人はこれらを食べる方法を知っていました。

あく抜きの方法は山菜によってさまざまですが、一般的には、あくの弱いものは

  • ひとつまみの塩でゆでる。② 冷水にさらす。

そして、あくの強いものは

  • 重そうや米こめぬかを入いれた熱湯に漬つけ、一ひとばん漬けおく。② 冷水にさらす。

重そうが手に入らない昔の人は灰汁をつかってあくを抜いて食べました。

どの山菜も大量に食べるのはよくないので注意が必要です。

植物がこうした毒を持つのは、動物からの食害を防ぐためや病気の原因となる微生物の侵入を防ぐためといわれています。

フキノトウ

かおりとほろ苦さで人気の山菜ですが、ペタシテニンという物質がふくまれています。肝臓によくないのであく抜きが必要です。てんぷらにするとあく抜き無しで食べることができます。

栄養はビタミンE(α-トコフェノール)、ビタミンK、葉酸を多く含み、カリウムがとれます。

ツクシ(すぎな)

ツクシにはチアミナーゼという物質がふくまれています。ビタミンB1をこわす酵素です。あくを抜くと取り除くことができます。

つくしは、β-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。

ビタミンE(α-トコフェノール)、葉酸、ビタミンC、カリウムなども豊富な山菜です。

ワラビ

ワラビにはプタキロサイドという物質がふくまれています。重そうなどであくを抜きます。

ビタミンB2、葉酸が豊富で、ビタミンE(α-トコフェノール)がとれます。


竹のなかま

2023-04-06 | 自然観察会

タケノコ

3月から5月にかけて旬の「たけのこ」はモウソウチクのたけのこです。

タケノコは竹の地下茎から出る若芽の部分をいいます。

 

タケのなかま

タケには節があります。枝の出ていない節の部分をよく見ると、タケによって違いがあることに気づきます。節をもとに竹の見分け方を紹介します。

ハチクやマダケでは節が2本の環で出来ています。ハチクでは枝の第一節目をきると、つまっています。マダケでは空洞があります。ハチクは誤って「破竹」と書かれることがありますが、本当は表面が少し白い粉をつけたように白いことから「淡竹」と書くのが正しい名です。 

茶道で使う茶筅(ちゃせん)はこのハチクで作ります。また、ハチクのタケノコは苦味が無く食べやすく市場などにも出回ります。また、マダケは曲がりにくいので旗ざおなどに用いらてきました。

タケの多くは中国から日本に持って来られたと考えられていますが、モウソウチクはタケノコを採るために中国からもたらされたタケです。

タケはそのほとんどが、同じ地下茎から出ているので、いわば竹林全体が一つの植物ということができます


コバノミツバツツジ 春を代表する花

2023-04-05 | 兵庫の自然

春を代表する花−コバノミツバツツジ

コバノミツバツツジ

武庫川流域で見られる里山の花で春先、雑木林のなかで鮮やかな赤紫色の花が目に付きます。葉が出る前に花が咲くので目立ちます。コバノミツバツツジです。

コバノミツバツツジで有名なのが武庫川下流の西宮市の広田神社。

神社のコバノミツバツツジが昭和44年兵庫県指定天然記念物に指定されました。

神社の敷地内に約2万株が群落を形成しているそうです。

「おじいさんは山へしばかりに・・・」関西ではしばは、「コバノミツバツツジ」

「山に柴刈り」の意味がわかない人も多いかと、

ガス電気のない昔、煮炊き用の木を集めに山に取りに行くことを「柴刈り」といいます。

最近の子どもは、ゴルフ場の芝を刈ると思っている話をきいて笑いましたが。

 

岐阜県から中国地方にかけてみられるコバノミツバツツジです。

兵庫県では ふつうにみられるツツジです。但馬地方にはユキグニミツバツツジがみられます。

コバノミツバツツジの葉柄は毛があり、ユキグニミツバツツジにはないことで区別できます。

また、ユキグニミツバツツジの葉は一回り大きく、よりひし形に近いことからも見わけられます。

六甲山でも一部ユキグニミツバツツジが見つかっていますが、ほとんど全部がコバノミツバツツジとみてよいでしょう。

それ以外の地域でもほとんどがコバノミツバツツジですが、日本海側にいくとユキグニミツバツツジをみることができます。ユキグニミツバツツジは、秋田県以南、鳥取県までの東北、北陸、山陰地方の日本海側に分布する日本海要素植物の植物です

兵庫県内には、ほかにダイセンミツバツツジ、トサノミツバツツジ、オンツツジが生えているそうです。

参考文献 「人と自然のワンダーランドへ、ようこそ」兵庫県立人と自然の博物館編 2023年神戸新聞総合出版センター

 


春の花スプリングエフェメラル「ノウルシ」

2023-04-04 | 兵庫の自然

ノウルシ(トウダイグサ科)

 

「生きている淀川」で紹介したノウルシ。最近自生地が少なくなり、淀川右岸鵜殿に春だけ見られる植物(春植物)です。花時には苞が黄色くなるので、花が咲いたように見えます。

結実するころ、周りのヨシが成長するので、それにあわせて夏になると地上部が枯れてしまい、翌早春まで地下の根茎で過ごします。(スプリングエフェメラルといいます。)

ノウルシは苞が花のように見え、花弁や萼片はありません。

外花弁に見える部分は杯状花序(はいじょうかじょ)の基部にある総苞葉・苞葉になります。

さて、兵庫県では三田市、西脇市、加東市、多可町、たつの市、丹波市でみられる貴重種です。

武庫川では上流の日出坂付近でみられます。

土手焼きのあとの川原で見られます。

葉や茎を傷つけると出る白い乳液がでるのが漆の汁に似ている出のノウルシとつきました。

ノウルシの汁に触れると皮膚に炎症を起こす有毒植物です。

花の様子を観察すると、子房は球形で表面にはイボ状の突起があり、3花柱が立ち更に先端が2つに分かれているがわかります。

全国レベルでは絶滅のおそれがあり、近隣府県でも減少しています。

(2020年時点): 

環境省レッドリスト:準絶滅危惧(NT)

滋賀県レッドデータブック2020年版:―(指定外)

京都府レッドデータブック2015:準絶滅危惧種

三重県レッドデータブック2015:絶滅危惧Ⅱ類(VU)

大阪府レッドリスト2014:絶滅危惧Ⅱ類