憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

踊り娘・・15

2022-12-21 14:16:37 | 踊り娘

舞台がはねたというのに、帰宅の足取りが重い。
少し前までなら、サーシャと並んで帰る時刻は
充実感につつまれていた。
家に帰るという事は、ひいては、明日への準備。
また、半裸身でおどるために身体を休めるだけ。
食事・・・をとって、風呂に入り、それから・・・。
なにもする事が無くなっている。
とりとめないお喋り。
サーシャに癒されていたくつろぎの時間も今は無い。
物思いが流れるままに
とぼとぼと歩くターニャの目に映る町並みも暗く
店々の多くが戸を閉めている。
「あ・・」
うっかりしていた。
イワノフとの話しのあとに、
パンをかっておこうとおもったのに、
そのまま、劇場にはいってしまって・・・。
いつものパン屋は・・・もうすっかり戸締りをし終えている。
無理の無いことだろう。
ただでさえ、
朝の早い仕事。
こんな遅くまで店を開けているわけが無い。
どうしようか・・・。
最近、増え出したコンビニエンスストアも、
ココから歩いてだと、15分。
それも逆に引き返さなきゃならない方向。
ココまで、戻ってくるのに
30分・・・・。
それから、家まで・・・。
もう・・いいや・・。
わずかな、時間でしかないと思うけど
それさえ・・・もう・・だるい。
家に帰れば・・なにか・・あるだろう・・・。
ターニャは明日まで、空腹を辛抱できるだろうと
向きを変えず、歩き出した。

暗い部屋。
灯りをつけるのも自分。
まだ、薄ら寒い季節の深夜の部屋は
人気がなかった分いっそう、冷たく寒い。
小さな溜め息をついて
冷蔵庫を開けてみる。
ヨーグルトと卵と牛乳とレタスとベーコン。
おかずとデザートがあるけど、肝心の主食になる物がない。
パスタ・・もない。
小麦粉・・は?
パンケーキでもと覗き込んだ袋の中にわずかに小麦粉が残っていた。

 

サーシャがキエフにいってしまった後
ターニャがアフターで踊るようになって
買い置きもあまり足してない。

パンを千切ってミルクで飲み込んで
なんだか、マトモに食べてないから
なにも、買ってないのか、
買って無いから・・マトモに食べてないのか。

いずれにせよ・・
なにか、パンケーキ?でもたべるしかない。

ふと瞳をずらしテーブルの上のサーシャの手紙を見つめる。
なんだか・・・。
それも、今は読みたくない。

きっと、栄光への足跡でしかないサーシャの手紙は、
今のターニャが読むに
引き比べてしまう自分があまりにも惨めでみすぼらしい。

明日・・。
今・・それを読んだら、きっと、ねたみとうらやましさで・・・
悲しくなる。
サーシャの手紙は暖かなまなざしで読みたいと、思う。

きっと、くたびれすぎてるせい・・・。
ゆっくり寝れば・・・もう、大丈夫。
明日・・
明日・・・
朝一番で読むからね。

サーシャの手紙にわびると
ターニャはパンケーキをつくるために、
まず、エプロンに手を伸ばした。



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