憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

白い朝に・・10

2022-09-08 20:02:00 | 白い朝に・・・(執筆中)

私の記憶の中の瞳子・・。
瞳子をだきしめた、あの日、瞳子は異性との接触に恐れを感じていたのは事実だと思う。
私だけが、瞳子にとって異性であり、異性に抗体をもっていない瞳子は、

血小板の中に入り込んだ私を感情では受け入れようとしながら、やはり拒絶反応を起こしていたと思う。
私というワクチンが、そのまま、瞳子に抗体を作りあげたとき、私と瞳子はなんの不安も拒絶反応という副作用を発症することなく、自然に結ばれるはずだった。
だが、瞳子はワクチンの母体たるべき私でなく拒絶するべきウィルスに冒された。
だから、当然、拒絶反応を引き起こすに決まっている。

それが、なぜ、父親である教授を誘うのか?
教授は瞳子が別人格をもったと考え、その別人格が娼婦のような人格なのだとショックをうけている。
だが、あの瞳子がかいまみせた拒絶反応を知っている私にとって、別人格の浮上とは、思えなかった。

むしろ、そう・・、たとえば・・・
「教授、瞳子は、暴行を受けたとき、おそらく、結婚後、性交渉・・というと意味合いがちがってくるのですが、こんな事をくりかえしていかなければならないんだと思ったんじゃないかと考えるのです。

でも、それを否定し拒絶するということは、私を受け入れないということにつながるわけですから、瞳子はセックスがどんなかたちであろうと、暴行であろうと、結婚・・夫婦生活という・・そういうものであろうと、「これは好意を現す手段」という認識にすりかえていったんじゃないかと思うのです。

もちろん、そんな、認識の仕方がおかしいことは承知しています。

でも、そういう認識をしないと、瞳子は「欲望の犠牲」にされた自分をみじめに痛めつけてしまうだけなのです。

そして、好意を表す手段として、瞳子はあなたに好意をみせてきた。それだけなんですよ。

けして、教授の考えるような見境のない人間になったわけでないと思うのです。

父親であることを認識してなくても、教授へ好意をもっていると思います。

ただ、その表現方法が曲がってしまっただけなのです。

だから、もし、私の考えが正しいのなら、おそらく、瞳子は教授と私以外にはそういう表現、好意をみせないとも考えられるのです。

だから、ほかの男を誘う・・これはないと思いますし、間違いなく、瞳子が正気を失っても、私への感情は残っていると考えます。

教授の思うような瞳子じゃない。狂ってもなお、教授を私を思っているんですよ。ショック状態のときに教授を恐れたのは、仕方がないことだと思います。

でも、今、そうやって、瞳子が好意をしめしたということは、回復の兆しじゃないでしょうか?
私に対して、恐怖しかみせないのか、また、ほかの男性をみても、いずれ、「誘う」行動をとるのか?

教授はそこまで、たしかめて、結論なさいましたか?」
瞳子の中の埋火を、もっと大切にしなきゃ、瞳子は回復しやしない。狂気は周りが助長するものでしかない。

教授が、肉親から、瞳子を狂ったものとしてあつかってしまったら、瞳子ははいあがってこない。自分の中にとじこもってしまう。
「だからこそ、瞳子を私にください。本当に好意と行為を織り交ぜて大丈夫な人間は、教授にとっても瞳子にとっても私しかいないのですよ」
教授の眉間のしわがいくぶんか、浅くなったように見えた。



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