憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

井戸の柊次郎・壱 9 白蛇抄第8話

2022-08-28 17:34:01 | 井戸の柊次郎・壱  白蛇抄第8話

「もう、しばしで丑三つどきになりましょう」
「うむ」
もうしばし、二人は端座する。
夜半の鐘が丑三つ時をしらせはじめた。
「逢魔刻です」
ひのえが小さく呟く声が静まり
かわりに耳をふさぎたくなる声が
隣室から漏れ出してきていた。
「嗚呼」
声が漏れてくる部屋の襖を
わずかばかり開いてのぞきこんでみた。
夜具はめくり上げられ娘の白い太ももがあらわになっている。
その太ももを両手で抱きこむようにして
娘の開かれた足の間に男根を突き入れている
醜い姿のものがいた。
薄い藻のような物が全身をおおっている。
餓鬼なのであるが、普通の餓鬼の様相ではない。
執心が餓鬼の身体をつくっているようであるが、
実体はあるようにみえない。
いわば、白峰と同じで執心の深さが
有り得ない像を実体化させてしまっているのである。
それで、柊二郎にはみえなかったのである。
そして、娘への交情のためだけの執念は
確かに娘のほとの中に男根を入り込ませ、
娘に恍惚の時をあたえていた。
「う・・・おおお」
みにくい者は腰を揺らめかせて恍惚の声をあげている。
この声も柊二郎の耳には届いてない。
それよりも・・・・。
娘は醜い者のゆらめきを追うように
己の腰をうごめかしはじめていた。
「嗚呼・・・嗚呼」
動きに答えるためか、
あざとく娘の感を深めようというのか、
青緑の蛙の様な指が娘の陰核に伸びてゆくと
執拗な動きで陰核をすり上げてゆく。
同時に軽やかな躍動が始まり、
醜い者の腰が激しく大きくゆすぶられていった。
「お・・・おおおうう」
くちゃくちゃと言う密やかな音が
一層響き渡り、二人の耳にやけに大きく聞こえてくる。
娘が堪えきれぬ歓喜の声を漏らし始めていた。
『既に・・女をおしえこまれきっている』
餓鬼を追い払うことはできるだろう。
が、娘の中に仕組まれた「女」を解く事は出来ない。
醜い者は最後に声を振り絞ると
一物の脈動を娘の中でじっと味わい尽くしていた。
やがて、醜い者が娘から身体を離しすと、
生臭い精のにおいが部屋の中に漂い始めた。
『悪童丸のときとおなじなのか?』
子を孕ませようと言う思念があるというか?
それだけでなく、
この世においての娘の生を掌握する気でいると?
醜い者はふと、襖から覗き込む二人のほうをみた。
二人に気が付いているのか
こちらを向いてにたりとわらうと、娘のほうに姿を向けた。
蛙のような指が娘のほとを愛しむようにまさぐると、
醜いものはふと姿をけした。

 



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