ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

パピルス 阪森郁代「空の棚」

2010-09-17 06:27:43 | クンストカンマー(美術収集室)
新緑の真昼のねむりを眠るならそのまま束ねられてしまふ

新緑と束ねられるから、若草をイメージした。まさにそんな心地好い昼寝になる予感がしたのだろう。束ねられるも身を任せる心地好さのイメージを引き出す。真昼のねむりを眠るとは少し引っ掛かる。そういう表現があるのだろうか。

智恵子抄 高村光太郎 夜の二人

2010-09-17 06:26:51 | クンストカンマー(美術収集室)
私達の最後が餓死であらうといふ予言は、
しとしとと雪の上に降る霙(みぞれ)まじりの夜の雨の言つた事です。
智恵子は人並はづれた覚悟のよい女だけれど
まだ餓死よりは火あぶりの方をのぞむ中世期の夢を持つてゐます。
私達はすつかり黙つてもう一度雨をきかうと耳をすましました。
少し風が出たと見えて薔薇の枝が窓硝子に爪を立てます。