ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

「はやりを」河野裕子 桃食みて

2010-09-30 05:57:50 | クンストカンマー(美術収集室)
真剣に子を憎むこと多くなり打つこと少くなりて今年のやんま

真剣に子を憎むほど打てなくなる。憎んで打つことはただの暴力になるからだ。しかし消化することの出来ない気持ちは消えない。それは今年のやんまのように存在するのだ。トンボではなく「やんま」としたのがこの一首の臍だろう。

短歌人十月号

2010-09-30 05:56:32 | 平成23年短歌人誌より
「お、あ、冷た」ひとり言いつつ傘させばとたんに雨の音が聞こえる

投げ出せる訳もないからアオサギは僕のかわりに中空を飛ぶ

自らを未来へつなぎ止めるためカップラーメン買い込んでおく

唐突に逝ってしまった人の夢。梅雨の終わりを告げる雨音

この男世が世ならとてもよい憲兵になるそんな真面目さ

真っ直ぐな君の言葉はいつだってポテトサラダのキュウリのようだ