こんな上方小咄があります。
縁日に行くと、植木屋の店がある。
客 「植木屋、ここにある種はちゃんと育つか?」
植 「へい、そらもう大事に世話してもろうと、立派に育ちます」
客 「そうか。ちゃんと芽はでるか?」
植 「へい! 立派な芽が二つ出ます」
客 「葉っぱは出るか?」
植 「大きな葉がたくさん出ます」
客 「花は咲くか?」
植 「きれいな花が咲きます」
客 「実はなるか?」
植 「へい、二つの実(み・み)がなります」
客 「そしたら買お!」
これだけなら分からないのですが、「目・歯(口)・鼻・耳」の順に書き、最後は丸で囲むと「顔」になります。
一粒のタネを蒔き、大切に世話をして育てると、花が咲き、実がなります。
同じように、一つの願い事をいつも心にとどめて念じ、大切に育てると、やがては物事を成し遂げることができます。
「念ずれば花開く。花開けば必ず真実を結ぶ」
これは道元禅師というお坊さんの言葉です。
ちなみに、願い事を口で十回となえると「叶」そうです。
※道元禅師=鎌倉時代初期の禅僧 。曹洞宗の開祖 。
※小咄を演じるときは、黒板などに、植木屋の言葉の順に書いていきます。