2021年3月26日夜、私は佐賀県嬉野市に居た。テレビをつけっぱなしで、寝ていたようだ。ふとみると、メールの着信に気づかされた。眠いまぶたをこすりながら見ると、「名護市長選候補が岸本洋平に決まったよ」とあったのだ。驚いて暫く眠れなくなってしまった。まったく!!
ご存じの通り、名護市長選は2018年2月にあったので、次期市長選は22年1月か2月に迫っている。この前回の選挙で、我々は稲嶺進候補を落としてしまい、この3年茨の道を歩んできた。
保守系の渡具知武豊氏は新基地建設の賛否を選挙以来今日まで明示していない。名護での彼の位置は保守系と言うよりも「自公政権のお気に召すまま市長」だ。稲嶺市長は、基地関連の補助金を拒み、それぞれの予算をたぐり寄せながら基地・軍事に縛られない市政運営に尽力し、「未来の子どもたちのために」を掲げてきた。渡具知市長はこれと真逆な市政だ。
あれから3年が経った現在も、渡具知市長は新基地建設の賛否を隠し通している。このため、2020年4月に沖縄防衛局が沖縄県に出してきた変更申請に関する地元市長の意見書も提出を見送ってしまった。彼が出したのは、辺野古川河口部の作業ヤードへの用途変更を見送ったことを了承するものだった。それはそうだろう。既に作業ヤードは基地建設予定地内にできあがっているのだから、不要に決まっている。
彼は、軟弱地盤といわれている新たな設計変更にひと言も言及しようとしていないのだ。何故か?! 言及すれば、国がやっている工事に言及することになり、大なり小なり国に異論を唱えることになってしまうからだ。これは口が裂けても言いたくないようだ。100%国に向いている市長が市民の暮らし・未来に責任をもてるわけがない。
①軟弱地盤の埋立計画を容認するということは、久辺3区(久志・豊原・辺野古)と二見以北10区の地域住民の安全と健康への責任放棄であり、②ジュゴンが棲むサンゴ礁の海の破壊に加担し、さらに③新基地建設が「琉球島嶼防衛」の要となる前進基地建設となる中で、このまますすめば、名護市民はもとより、沖縄県民をはじめ、日本列島全ての在住者を戦争に叩き込む国策を容認することになるにちがいない。渡具知武豊市長は、この責任重大な立場をいささかなりとも弁えているのだろうか。
こうした中での野党側、オール沖縄会議系の市長候補選考委員会(委員長:山里将雄県議)は、昨年10月から進んでいたようだ。3月20日の選考委員会で岸本洋平氏(48)に立候補を要請と決まったようだ。彼は2006年の市議選以来現在4期目。彼の父が故岸本建男元名護市長。逆格差論を提唱したり、1999年当時「15年使用期限」などの条件付き容認などを唱えて奮戦してきた。だから岸本洋平氏は、名護での知名度は高く、保守層への浸透を図ることはできるだろう。
しかし冒頭に記したように、新基地建設反対というこの国と対峙し続ける胆力があるか否か、市民・職員とともに歩むコミュニケーション力があるか否か、歴史から学ぶ理性と知性があるか否かなど、今後の課題は多岐に亘る。勝負は1年を切っており、市民自治と国策との闘いという多重な対峙を強いられる。私も意を決して、全力で支援していきたい。私たちが自信を持って闘わない限り、国策選挙を打破できないのだ。これは前回選挙の私なりの総括だ。