ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います・補足】名護市長選(2022年1月23日)に岸本洋平氏が政策発表と、私のコメント(20211202)

2021年12月02日 | 名護市政

 2022年1月23日が名護市長選の投開票日となっている。これに現職の渡具知武豊氏が中央政府に寄り添う形で2期目を狙う。これに対して、新基地建設反対を掲げて岸本洋平氏(48)が、オール沖縄の支持を得て、立候補を明らかにしている。

 岸本洋平氏が11月28日に政策発表記者会見を行っている。いかなる政策で渡具知現市長と対抗し、これからの名護市を牽引していくつもりなのかを同氏のちらしと沖縄タイムスの記事から紹介したい。

 彼は「ガジュマルの樹構想」を掲げている。記者会見を聞いていない私にはわかりにくいが、①幼児から大学生までトータルでの子育て支援と銘打った「子ども太陽基金」の創設、②ネット販売課「ガジュマルネット」新設、③名桜大学に「薬学部」の新設の3本柱に、④子どもが育つ未来へのまちづくり、⑤安心安全な住みよいまち作り、⑥地域経済活性化で豊かなまちづくり、⑦若者の集うまちづくり、⑧高齢者と家族の笑顔を守るまち作り、⑨誰ひとり取り残さない市政運営、⑩岸本建男が目指した「小さな世界都市・名護」を創る、を掲げている。

【註:岸本建男は洋平氏の父。元名護市長

元名護市長・岸本建男さん/リベラルと基地の狭間で苦悩 | 取材ノート | 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC)

 岸本洋平氏は、「辺野古・大浦湾の埋め立て・新基地建設を認めない」を掲げ、渡具知市政と正面から対決していく。現市長は、基地建設を容認しながら、国と県の裁判結果を見定めていくと、反対・賛成の意思表示を抑えてきた。しかし防衛省の基地再編交付金を得て、保育料・給食費・子ども医療費の無料化を実現してきた。また新基地建設にとって決定的とも言える辺野古美謝川の付け替え工事を黙認し、防衛省に下駄を預けてしまった。これをもって渡具知市長が明確な基地建設推進派であると馬脚を現したのだ。

 岸本洋平氏が掲げる上記の政策は、まだまだ抽象的だ。具体的な政策が必ずしも明確でない。各項目ごとの関連が示されていない。「ガジュマルの樹のように100年先も大きく成長し続ける名護市」を掲げる以上、その裏付けを求めたい。

 その根本に新基地建設反対が位置づけられているのだろう。「住民に多大な影響を与える沿岸案は受け入れられない。生物多様性に富んだ大浦湾の自然を守り、世界自然遺産として注目される財産を次世代に受け継いでいく」と言う以上、名護市民にここをどう説明していくのか。また、100年先の平和を現時点から如何に作り上げていくのか。ここに、名護市のみならず沖縄県内の市(町村)政の根幹があるはずだ。

 このためには、この新基地建設が、米日共同の対中戦争の前身拠点となることを明らかにしていく必要がある。また実際に平時の演習が従来と如何に変わるのかの検討も行い、市民に警告を発しなければなるまい。渡具知市政のように傍観している場合じゃないのだ。

 はっきり言おう。軟弱地場の問題等があり、普天間基地の返還はまずあり得ない。しかし一方で、予定通り完成しなければ、辺野古・大浦湾はゼロになるかと言えばそうではないだろう。ここに来るのは、MV-22オスプレイとヘリコプターなどに抑え、限定的な「完成」となりかねないのだ。

 もしもこうなれば、「負担軽減」どころの話ではなくなる。市民の生活に責任を持つ市政として、国に突っ込みどころ満載の現計画を追及していくべきだ。玉城デニー知事が国から変更承認申請を「不承認」としたばかりであり、県と名護市の連携が問われているのだ。

 繰り返すが、100年後も見据えた「ガジュマルの樹」構想を打ち出す以上、これに見合った平和政策を明示し、説得力のある政治を行っていただきたい。

 岸本氏の政策について、私の関心領域に限って若干コメントしたい。①名桜大への薬学部新設は、大いに進めるべきだろう。名桜大には人間健康学部があり、また北部に統合病院建設の動きがある中での薬学部新設はこうした構想に合致している。沖縄県内に薬学部が一つもない現状は、沖縄県の医療体制の充実を図る上で、大きな制約条件となっているだろう。また名桜大には、国際学群と人間健康学部しかない現状を名護市・北部の市町村の充実に資する意味で根本的に再検討していくことは大きな課題だといえるだろう。

 ②「子どもが育つ未来へのまちづくり」の中に、「子育て交流拠点『小さな図書館』を地域に設置」とあり、興味深い。まちなかにある図書館の可能性は、無限大に広がっていくはずだ。この際、子育てを孤立させず、また、貧困対策を併せて考えていただきたい。また「若者の集うまちづくり」とも絡め、学生ボランティアを育成することも地域社会に生きる学びの場づくりとしても進めるべきだろう。

 ③「世界自然遺産」のやんばるの森と海に言及されているが、ネガティブなところにも目を向けていただきたい。北部訓練場の返還地から危険物が廃棄されたままになっている現状は看過できるものではない。そして北部訓練場の全面返還の促進と併せて、世界に誇れる自然遺産にしていくべきだろう。

 私は岸本洋平氏の立場と政策を基本的に支持していく。来る名護市長選での彼の勝利に少しでも寄与したい。

 

 



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