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加藤訓子 パーカッションアーツ

2008-11-09 22:39:21 | 音楽
加藤訓子レクチャーコンサート 
パーカッションアーツ
inアートフォーラムあざみ野



久しぶりの加藤訓子。
今回はアートフォーラムあざみ野の企画で
昼12時からホールでログドラムを
一緒に叩くというワークショップとセットになった
レクチャー式のコンサート。
会場も正式なコンサーホールではなく
レクチャールーム(結構いい設備)で行われた。
自分はコンサートのみ観賞。


※ワークショップで使われたログドラムがホールに置かれていた・・・


そういう企画もののせいか
会場はお子様連れやお年寄りのご夫婦など
市民向けロビーコンサートといった雰囲気。

14時の開演と同時に加藤訓子はいつもどおり
客席後方からオモチャのホースを回しながら
ヒョ~~チャラララ・・・と
コズミックな音を響かせつつ入場。

ワークショップの流れを汲んで
ステージ下のログドラムを叩く
インスタレーションから演奏が始まった。

今日は「宇宙」というテーを明確に打ち出した構成。
「天動説」という言葉にもあるように
物理的な宇宙が本当はどうなっているかは別にして
人間の想像の中で宇宙や天体は
常に美しく、不思議な魅力をたたえて存在している。
そんな人間の想像の中に存在する「宇宙」のイメージを
表現してみたい、ということだった。

前半は『ルーツ・オブ・マリンバ』で
地球をさまよう人間の創造をたどる
時間軸的展開。

後半がジェフスキーの『To the Earth』から始まって
打楽器リズムのインスタレーションをはさみながら
ドナトーニ、クセナキスへと続く
空間的大展開の世界。



会場のアットホームな雰囲気とはまったく別に
今日の演奏のキレのよさ、メリハリの効いた
迫力ある音響とスピードは
ここ数回聴いた中でも最高の完璧さだったと思う。

体にピッタリしたTシャツにスポーティなパンツという
音楽家というよりはアスリートといった方が似合う
コスチュームだったせいもあるけれど
演奏している姿勢の端正な美しさ
ムダのない、流れるようなフォルムは
本当に体操選手の演技を見ているような爽快感を感じさせる。

テーマそのものが「宇宙」という深遠なものを含みながら
以前のような「巫女的な」怪しさやエロティシズムのようなものは
影を潜め、その芯にある人間の明快な創造性や
宇宙や時間に対する純粋な夢や希望を
思いっきりストレートに表現していたように思う。

特に最後の『ルボン(Rebonds [a.b])』クセナキス(1987/89)は
今回初めて聴いた演奏だが
単純なバスドラムの単打から始まって、
祭り太鼓のような複雑なリズムの饗宴に突入、
エネルギーを一気に爆発させる強烈な響きに展開する様は
人間の持つ原始の力の表現であり、ビッグバンそのものでもあろう。

たたき出される音の強烈さは
あの細いからだのどこから、と思わせるほどパワフルだが
最初から最後まで緊張を保ちつつ
体の全てを使って正確無比なリズムと間を叩き分ける技術は
たとえプロとはいえ、さすが世界屈指の才能。
精神と肉体そして宇宙(表現)が完璧に一体となった
もの凄い演奏であった。

絵に描いてしまうと
まるでマンガでしかないのが残念だけれど
オープニングから最後の一音まで
見事に計算された世界観は圧倒的。
改めて、加藤訓子の凄さを実感したコンサートであった。


アメリカ在住のはずの彼女が
半年前に横浜に引越してきたそうな。
なんだかすぐ近くにいるというのも
非常に嬉しい、、、
というミーハーな心理をくすぐる
オマケもあった(^ ^ )のでした。


加藤訓子 パーカッションアーツ アートフォーラムあざみ野にて
2008年11月9日(日)14時~

<演奏曲目>
~プラネット(さまよう人)より「天動説」
 木星―Sound Installation

加藤訓子/ルーツ・オブ・マ・リンバ(2006~)
     1.Roots of MA・RIMBA Ⅰ
     2.てぃんさぐぬ花(沖縄民謡)
     3.Roots of MA・RIMBA Ⅱ-Asia
     4.イパネマの娘(アントニオ・カルロス・ジョビン)
     5.Roots of MA・RIMBA Ⅲ-Africa
     6.ショナ・ドリーム・ダンス(マーク・ダガン)
     7.Roots of MA・RIMBA Ⅳ-Georgian song
     8.Coup d’alle

フレデリック・ジェフスキ/大地への賛歌(1985)
     地球―To the Earth

金星・水星―Sound Installation

フランコ・ドマトーニ/オマー(1985)
     太陽―Omar DUE PEZZI PER VIRAFONO

月・火星・土星―Sound Installation

ヤニス・クセナキス/ルボン(1987/1989)
     タイタンーRebonds[a.b]

アンコール ドボルザーク/家路


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